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一章「運命の扉」

第一話「女神と暁」


この世界は錬金術によって守られた


この世界は錬金術によって壊された


この世界は錬金術によって創られた


この世界は誰が創ったのだろうか


そんなことを書いてある本を読みながら私は歩いていた

今私は、仕事の依頼でとある家に向かっている

依頼といっても内容は全く聞かされていないのだが

しかし医者である限り病人は放っておけない

だから基本私は、すべての依頼を受けることにしている

しかし私にも限界がある、体力ではなくこの力の限界が

そう私は錬金術師なのだ、医療系錬金術を使う錬金術師だ

自己紹介は後程しよう

何故なら、もう目的地が見えてきたからだ

すごく大きい門がある

和風の豪邸に住んでいるのが今回の患者らしい

玄関の表札には、モルゲンロートと書いてある

なにかを思い出しそうだったが、門が開く音で忘れてしまった

門が開くとそこには使用人らしき人物が現れた

「本日はお越しいただきありがとうございます、旦那様がなかで待っておりますのでご案内させていただきます」

と堅苦しい挨拶をしてきた

「ありがとうね、ずいぶん豪華な屋敷だけど旦那様って言う人は何をしてた人なの?」

私は小学生が思い付きそうな素朴な疑問をぶつけてみた

「旦那様はミッドポイントで高い地位を築き上げ、その時の給与で建てたそうです」

ミッドポイントについても後で説明をしよう

ここで簡単に説明してしまえば、この国の中心だ

ちなみに私もミッドポイントの医者である

それにしても、モルゲンロート・・・ミッドポイント・・・

なにか思い出せそうでなかなかでてこない、人間が一番イライラする時間だ

とりあえず本人にあってみればなにかわかるだろう

「それじゃあ、案内よろしくね・・・えっと何て呼べばいいかな?」

「私は、メーア・ヴィアベルといいます、以後お見知りおきを」

「そんじゃ、改めてメーアさん案内よろしくね」

「わかりました、こちらでございます」

堅苦しいのは苦手な私だが、何故かすんなり話せてしまった

メーアさんはそういう能力でも持っているのか

大きな門をくぐり玄関まで少し距離がある

その間には美しい和風の庭園が広がっていた

そんな和風の雰囲気を楽しんでいたが、もう玄関についたようだ

こんなときに私はトイレにいきたくなる

よくある、初めて入る他人の家は緊張してトイレにいきたくなる現象だ

「メーアさん、トイレってどこにあります?」

私は恥じらいなく言った

「玄関から右に行きますと途中で左に曲がるところがあります、そこの奥にトイレがあります」

「ありがとう~ちょっといってくるね」

「あ、ひとつだけいいですか?」

「ん?なに?」

「絶 対 に ト イ レ の 近 く に あ る 部 屋 に は 入 ら な い で く だ さ い」

寒気がした、怖いと言う感覚で

「わかったわ」

といって私はトイレに向かった

案外すんなりトイレを見つけることができた

しかし絶対に入らないでくださいって言われると気になる

少しぐらいなら大丈夫だろう

私はトイレを出ると目の前にある部屋に目を向けた

そこだけ異様な雰囲気を放っている

回りに誰もいないことを確認して襖に手を触れた


その瞬間


「テァ・・・ ツゥ・・・ ゲェ・・・ フェ・・・ オ・・・」


鳥肌がたった、この世のものではない声がした

そのとき、ふと我に帰った

冷や汗をかいていた

戻ろう、そう思った

「またせてごめんね~」

と何もなかったかのようにメーアに話しかけた

「・・・それでは、ご案内いたします」

なにかを考えていたのか、少し返事が遅れた

しかしあの部屋には、何があったのか

とても気になる、しかし私の中にある本音は

「もうあの場所にはあまりいきたくない」だ

まぁ、勝手に入っちゃいけない場所だ

いけないことをしようとした


「つきました」

メーアの声でやっとついたことに気がついた

最近物事を考えすぎている気がする

「この部屋に旦那様はいらっしゃいます」

「わかったわ、それであなたは同席するのかしら?」

「いえ、ここで待っております」

「そうなの」

「はい、ちなみにここは防音になっております」

「へぇ~そうなんだ、それじゃなかに入りますね」

「わかりました」

そういうとメーアは襖を2回ノックしてから少し開いてこう言った

「旦那様、女神の錬金術師様がいらっしゃいました」

メーアがそういって、私に目で

「お入りください」

と伝えてきた

それを合図に私は部屋の中に入った

メーアは私が入ったのを確認すると襖を閉めた

部屋の中には、布団があって

そこには横たわっている人がいた

「よくいらっしゃったね、疲れただろう?そこに座って座って」

そうやって私を布団の横に座らせた


私は、その人の顔を見た瞬間ひとつの悩みごとが消えた


モルゲンロート・・・ミッドポイント・・・


私はこの人を知っていた


それは当たり前のことだった


「やあ、久しぶりだね、今は女神の錬金術師って呼ばれてるらしいね」



この人は、リン・モルゲンロート


元国家錬金術師 二つ名は「暁の目」


大総統から直接命令が下り、その任務を完璧にこなす


「極秘部隊セクレート・カマーンダス」


軍人の中でもその実態をすべて把握してるのは二人しかいない


それは大総統とセクレートの隊長だけだ


なぜこんな説明をしているか


それは、


リン・モルゲンロートという人物は最年少で


セクレート・カマーンダスの隊長になった人物だからだ


第二話「暁の依頼」


さて、前回の続きだ

私はこの人物「リン・モルゲンロート」を知っている

極秘部隊の隊長だ

しかし何故「極秘」なのにその隊長だった存在を知っているか

それは別に今語ることではないだろう

しかし言えることはある

私はこの人に救われた

「リンさん、お久しぶりです」

私はとりあえず挨拶はした

「うん、久しぶりだね、トイフェル・ゲッティン君」

トイフェル・ゲッティン

これは私の名前だ、あまり気に入っていない

「しかし、ずいぶんと成長したね、今じゃ国一の医療系錬金術師「女神の錬金術師」とまで呼ばれてるみたいだね」

いつからそう呼ばれたか、確かとある村の流行り病を治したときだった

「みんながそう思っているだけで、そんなにたいした存在ではないですよ」

私は「一番」という期待を背負うのが嫌だった

「それにしても、極秘部隊の隊長ともあろう人がどこを悪くしたのですか?」

リンさんは、体を起こして私の方を向いた

そして少し苦笑いしながら指で自分の頭をつついた

「記憶」

という一言を呟いた

「記憶・・・?」

私は逆に聞き返してしまった

「僕には妻と娘がいたんだ」

リンさんは、悲しいかおでそう言った

そしてこう続けた

「君も知っているだろ?とある村が一夜にしてやけ野原になった事件」

この事件は有名だ、何者かの手によって昼まで賑やかだった村が

一夜にしてなにもないやけ野原になったという事件だ

犯人については一切国から発表されてない、そこが疑問だった

しかし今では、その村もある程度回復した

ちなみにその時の死者数は奇跡的に0人

その村恒例の儀式のために村人はすべて出払ってたみたいだった

そんなことを思い出していると、リンさんはさらに続けた


「その犯人を僕は知っている」


私は何故かもう察しがついていた


「その犯人は」


リン・モルゲンロート

彼は暁の錬金術師

四大元素のひとつ「火」の超特化型の錬金術


「 僕 な ん だ 」


私は驚くというより、納得してしまった

彼なら村全体を消すことも可能だと

私は当然の疑問をぶつけた

「それと記憶になんの関係があるんですか?」

するとリンさんは

「僕は一度その記憶を失っていたんだ」

ようするに自分が犯人だということを忘れていた?

そんなことがあるのか?

「正確にはね、僕の記憶は何者かの手によって消された」

そんなことがありえるのか、人の記憶を消すなんて

「誰にそんなことができるんですか?」

私はさっきから質問ばっかしている

患者を診に来たはずなのに

「恐らく、ミッドポイントの裏に何かある」

それ以外に考えようがなかった

私は二つ気になることがあった

その一つを聞いてみた


「何で私にそんな話をするのですか?」


当然だ、私に話す意味などあるのか

そう考えるとリンさんはこう言った


「君も知っているだろう「錬金術師連続殺害事件」については」


その事件は最近起きて今最も国中で騒がれている事件だ

大総統直属の部下であった

豪腕の錬金術師 古の錬金術師 道化の錬金術師

いままでこの三人が同じ犯人の手によって殺されている

ちなみに何故同じ犯人かとわかるかというと

この三人を殺すためには、戦車4~5台は必要だ

そのような人達を殺す人間なんてたくさんいてたまるか

という発想らしい

道化の錬金術師・・・あの人も殺されてしまった

「殺されている錬金術師は相当な実力者だ、君のその錬金術も使い方を変えれば最上級の戦闘錬金術になる。だからこそ、そんな実力を持っている君だから、国の信頼がある君だからこそ、私から頼みたいことがあるんだ」

確かに医療系錬金術を使える人間は、ほぼいない

理由としては、みんな責任を負いたくないからだ

多少の怪我なら医者がいる

私みたいな錬金術は国から特別な保護を受けている


まぁ、私はそんな保護は断ったが


「頼みを聞く前に、もう一つ質問をいいですか?」

私はもう一つの疑問を早く取り除きたかった

「うん、わかった」

リンさんは二つ返事で返した

「 奥 さ ん と 、 娘 さ ん は 今 ど こ に い る ん で す か ? 」

・・・わかりきっていることを質問してしまった

しかし、このことを聞くことによって

リン・モルゲンロートという人物が


禁 じ ら れ た 錬 金 術 を 使 っ て い る 可 能 性 が 出 て く る


あいにく私はこう言う件に関しては鋭い

読んでいる人はおいてけぼりだろう

いずれしっかり説明をしよう


「事件が起きた日、そう村が消えた日」

リンさんは、語り始めた

「私の太陽と月も消えてしまった」

この二言だけを言ってリンさんは

「これ以上は僕の事情だ」

といって話を切った

「質問を聞いたから、私からの頼みごとを聞いてくれるかな?」

「もちろんです」

リンさんはほっとした顔をした

「すまないね、少しお茶を飲んでもいいかな?」

「大丈夫ですよ」

まぁ、結構話してたみたいだし喉は乾くだろう

リンさんはお茶が入ったコップを手に取ろうとした

しかし、コップを手で弾いて倒してしまった

「ごめんね、最近老眼で距離感がつかめなくて」

私はおいてあった紙を使ってこぼしてしまったお茶を拭いた

「お茶は、あとでもいいや。頼み事について話そう」

リンさんは、何事もなかったのようにコップをもとの位置に戻した

もしかしたらリンさんは・・・でも、考えすぎか

「他でもない、女神の錬金術師トイフェル・ゲッティン君」

「はい」

「私は君に、

ア  ニ  マ

というものについて調べてもらいたい」

・・・「人造人間アニマ」

医学に関わっている錬金術師は必ず聞いたことがある

人が人を造る、正直納得がいかない

そもそも、アニマを造るのに必要なものすらわかっていないのだ

「アニマですか・・・一応軍隊にいたときに習いましたけど、造り方すらわかってないんですよ」

「それについては当然僕も知っているよ」

「そして国家錬金術法で「アニマ及び人が人を錬金術によって造ることを固く禁ずる」と定められてます」

「もちろん、それを提案したのは僕だもの」

「はぁ・・・それで私にアニマの何について調べろと・・・?」

「 ア ニ マ の 存 在 に つ い て 

調べてもらおうと思ってね」

・・・ありえない

何が必要か、そもそも錬成陣の構築式すら誰も知らないというのに

どうしてこの世界に存在するアニマについて調べなければならない


存在などするはずが・・・


「本当にアニマは存在するのですか・・・?」

「アニマは存在するんだ」

「正直信じられません」

「だろうね、僕もそうだった、実際に出会ってみるまでは」

「出会う・・・あったことがあるんですか?」

「一度だけね、「アニマ」じゃなく名前があったんだ」

「人間・・・だからですか」

「そうだね、造られたとしても人間だ」

人間の定義は難しい

チンパンジーだって人間に近い行動をする

人とは・・・今は考えないでおこう

「あの子の名前は「カルディア」」

「その子について調べればいいんですね」

「出来ればね、今も生きてるかは・・・恐らく生きてる、あの子なら、まぁ10年前の事なんだけどね」

「わかりました、その依頼を受けます」

「あ、報酬はちゃんとあるからね」

「リンさんは律儀ですね、あえて何も言わなかったのですが」

「礼は人を人と繋げるものだよ」

「医者ですから、それはすごくわかります」

2話はこれで終わりだ

次は私の出番は最初に少しだけある

ちなみにこんなに固い口調は疲れるので

途中から崩れると思う

今回は私の少し昔・・・?時系列で言うと、軍で錬金術訓練を受けていた時代7~8年前の話をしよう

興味があったら見ていってくれ


 過去「女神の小話」

ずいぶんと前に小さい子が転んで怪我してるのを治したことがあった

私はその頃、功績を残せず苦しい生活を送っていた

正直お礼など自分の生活の足しとしか思ってなかった

「お姉ちゃん、ありがと!」

こう言ってその子は元気に家に帰った

「はぁ・・・またやっちゃった」

錬金術を使いこなせるようになったばかりで錬力が少なかった頃だ

一回でも使うとしばらく休まないといけない

「はぁ・・・家に帰るかぁ・・・」

その頃私はとあるアパートに住んでいた

結構、そう、ふ菓子見たいなアパートだった

軍の寮があったんだが、軍の監視化に置かれるのがいやだった

「今日は・・・あぅ、飯抜きの日かよぉ!」

一週間に三日飯抜きの日があった、ま、節約だ

腹が減って眠れなかった

夜中に、といっても20時ぐらいだがノックの音がした

「はぁい、新聞ならお断り、押し売りなら商品だけおいて帰れー」

いつもの決まり文句をいっていた

扉を開けるとそこには誰もいなかった

寝ぼけていたんだ、前しか見てなかった

気がついたのは湯気のおかげだ

「この臭いは、肉じゃが・・・!?」

「そうだよー、お姉ちゃん」

「あれ?私名前も住所も年齢も口座番号も言ってないけど・・・」

「お客さんから聞いたのー」

お客さん・・・?この子は何をいっている?

「君はお店をできる年じゃないよね?」

「僕じゃないよ!お母さんとお父さんのお店の人!」

「で君は誰?」

「バール・ダンクなの」

ダンク・・・ダンク商店街の会長の子か

「そうなのね、で、その肉じゃがはどうしたの?」

「お母さんが、お礼に持っていきなさいって」

「え・・・?」

「お客さんにも聞いたのー、お姉ちゃんは怪我している人を何も言わずに助けてくれる、周りが見て見ぬふりをするなかでも助けてくれる、だけどお礼は受け取ってくれないって、それで、びんぼーな生活を送ってることも、みんな言ってたの」

「助けてもらってお礼ができないのは人として悔いが残る、だから俺達であの子を支えてあげようぜ」

「ダンク商店街の力を合わせてあの子を支えてあげよう」

「商店街の人はみんなやさしいの」

確かに私は道端で怪我している人や、大きいもので交通事故の治療もしたことがあった

いつも勝手に体が動いてしまうので止めることができなかった

そんなことを続けてた

別にお礼がほしかった訳じゃない

別に名声がほしかった訳じゃない

「それでね、僕のお母さんも助けてもらったことがあるの」

そうだ思い出した、あのときの言葉

「お母さんが言ってたの」

「ちょっと前にバールちゃんが入院してたときがあったでしょ?あのときにお母さんね、もうすぐ退院のバールちゃんにプレゼント買ってたの、だけどね歩道にお車が走ってきてね、お母さん跳ねられちゃったの」

私も無我夢中だった

「その時ね、お母さんは本当は死んでたかもしれないの。あの子が来なければ、その時のあの子の言葉は忘れないわ」

周りはもう無理っていう顔をしていた

周りもお通夜ムードで時に流れを任せていた

そこで私の悪い癖が出た

「あなたは絶対に私が助けます」

気づけば治療を行っていた

あまり使いたくなかったが、その時に覚えていた最高の錬金術

後の女神の錬金術の基礎となる錬金術を使った

なんとか一命は取り止めた、だけど私はムカついていた

そして周りで見ていたやつらに向かってこう言った

「道端で人が倒れてる・・・それなのにあんたらはいつもいつも無視をしている!

おかしいだろ!

小さかろうが関係ないんだよ!


困っている人がいたら全力で助ける、これが人としてやるべきことじゃないのか!」


そのあとの記憶はあまり覚えてない

「お母さんはかっこよかったって言ってたのー」

「いやぁ・・・私もさすがにちょっと今思い出すと恥ずかしいわ」

「早くしないと肉じゃが冷めちゃうの!」

「あ、ごめんね」

そうだ、私がほしかったのは

ただ気づいてほしかっただけだった


人としてと言うことに


人として守るものがある


それは人それぞれ


ただ困っている人を助けるのは人として間違っていないこと


肉じゃがを食べ終わった私はバールをおぶってバールのお店がある

ダンク商店街に向かった

その後は又今度語ろう


第三話「光と古」


私は時計を見た、丁度正午の一時間前だった

正午にはミッドポイントで会議がある

「そろそろ失礼させてもらいます、結果的に何も診てないですが、いいんですか?」

「大丈夫だよ、十分と診てもらったよ」

そういうとリンさんは、手元にあったボタン押した

すると、部屋の外にいたメーアさんが入ってきた

「リン様、お呼びでしょうか」

「トイフェル君をミッドポイントに送ってあげて、会議があるみたいだから」

・・・私は一言も会議があると口に出してない

恐らく察したのだろう

「わかりました、トイフェル様こちらへ」

「ほい、いまいきますよっと」

私は部屋を出た

そして、やはり大きい玄関を通り

中庭を楽しみながら、門へ向かった

「メーアさんって見た目は結構小さめだけど、何歳なの?」

「・・・詳しい年はわかりません。しかしリン様には20歳と言われております」

・・・聞いちゃいけないことだったぁ!

「そ、そうなんだ、車の免許の他に免許とか資格とか持ってるの?」

「錬金術検定特級、大型特殊免許、剣道4段など結構あります」

・・・やばい、錬金術検定特級てアートムケルンでも4~5人しか受からない試験だぜ?

ちなみに私は準一級

「トイフェル様、どうぞお入りください」

そう言って、車のドアを開けた

そして、私が乗ったあとメーアさんが運転席に乗った

そして緩やかなエンジン音と共に私はリン邸を離れていった


次は、すこし頭のネジが飛んでる奴の視点だ


「ブリッツ、そっちはどうだい?」

「特になにもにです!アルタムさんのほうはどうですか!」

「特に何も見つからないな」

「ここはハズレですかね?」

「かもしれない、しかし不思議だ」

私は、アルタム、これは本名ではなくミドルネームみたいなものだな

本名はアルタトゥーム・シュテルン・エアースト

長いよな、私もそう思っている

ちなみにブリッツと言うのは私の助手みたいなものだ

私のわがままによく付き合ってくれる

本名は、ブリッツ・ミルヒシュトラーセ

ちなみに私の名前には部族名が入っている

龍国に伝わる伝説の部族 シュテルン族、私はその生き残りだ

この事については、又あとでだ

今の現状を説明しよう

「ブリッツ、私達はもしかして」

「はい、迷子です」

「どうして迷子なんだ?」

「はい、アルタムさんが勝手にあちらこちらと行ってしまったからです」

「そうか、とりあえず生き延びることを考えよう」

「はい、アルタムさん食料はあなたがすべておやつを含み食べてしまいました」

「このあとはなにかあったか?」

「はい、昼過ぎ辺りから、ミッドポイントで会議があります」

「そうか」

「いかないと、またおこられますよ」

そう言えば数ヵ月前に会議すっぽかして、自宅謹慎処分くらったけか

「ちなみに今は何時だ?」

「今現在、大体11時半過ぎだと思われます

私たちが森に入ったのは、10時ごろです

大体一時間半かかってます」

そうなのか、これはまずい、大分まずい

「どうするか、考えなければ」

私がそう呟くとブリッツは密かに微笑んだ

「アルタムさん、任せてください」

「どうした?」

「何かがあるかわからない、あなたとの冒険、時には道に迷うかもしれない」

「ふむ」

「そんなときに必要なのは道標」

「と、いいますと」

「私の錬金術によって、その道を示すことができます!」

そう、ブリッツも錬金術を扱う錬金術師

こいつの錬金術は少し特殊だ

なんとういうか、錬金術って言うか

魔法に近い

「少し離れていてください」

「わかった」

少し深い呼吸をしたあと、ブリッツは

目を閉じた、まるで何かを探すように

そして、ゆっくりと目を開いた

両手を合わせ、パン!と音がなる

そして、両手を地面に当てた

その刹那

すさまじい光と共に一本の光がある方向へ向けて走っていった

彼は光の錬金術師、原理はわからない、錬金術かどうかすらわからない

ただ、錬金術と同じ陣を必要とし、手を合わせる

このふたつの動作によって、仮に錬金術と言われている

「ふぅ、これで大丈夫です」

「毎回思うがその錬金術は、他にどういう場面で使うんだ?」

「そうですね、まだ僕が警察だった時のことを覚えていますか?」

「もちろんだ、新人の中で唯一勲章を貰ってたのがお前だからな」

「そのときには、錬力反応を見ることのできる珍しい錬金術として捜査に駆り出されていました」

錬力反応これは、私たち錬金術を扱うものには必ずある錬力と言うものが

錬金術を使ったときに外に放出されることだ

基本肉眼では見ることはできないが

極度に錬力反応が強いとこや特殊なブラックライトなどを使うとうっすら見える

錬力と言うのは錬金術を使う上でなくてはならない存在である

錬金術を使うときのみ外に放出される

これは錬金術によって錬力の放出がせいぎょされるからだ

つまり、錬金術を覚えないと、錬力が勝手に放出される

そしていずれ死ぬことになる

これは錬金術を使ってる人も同様

錬力には限界があり

それを越えると死ぬ

これが錬金術の鉄則だ


しかし、錬力は誰にでもあるわけではない

1万人に一人の確率で錬力持つものが生まれる

そう、錬金術は一種の障がいとして考えられる


これrが錬金術の実態だ

本当はまだまだ謎が多い


そして私は突如として思い付いた

「ブリッツ、錬力反応をしらべてくれ」

「どうしてですか?」

「私のわがままだ、というか勘だ」

「・・・?わかりましたやってみます!」


そしてブリッツは錬金術を使った


「これで見えるはずです」

そうブリッツが言うと私は目を細くして反応がないか見始めた


「ブリッツ、帰るぞ」

「え、あ、はい、了解です!」


・・・、ビンゴ、反応はあった

何者かがここで錬金術を使ったと言うわけだ

ちなみにブリッツの錬力反応は放出されて間もないので

見ることができない

最低30分、これを過ぎないと錬力はどうやっても見ることができない

そして30分おきに錬力の反応は薄れていく

それは段階によってレベル1からレベル10に分けられる

レベル1が初期段階見えるようになってすぐと言うこと

レベル10は5時間経過したあとの錬力反応

しかし、今回の段階は

レベル1

こんな辺鄙なとこで錬金術を使う奴はそうそういない


つまり最近起きている錬金術師連続殺害事件に関わっている可能性がある


だから逃げること選んだ


そして、それはビンゴ、ハズレてほしいものだ


「反応があるのがわかって、どこかにいくなんて連れないねぇ」


そういうと仮面で顔を隠した、謎の人物が現れた


第四話「古の力」


「誰だお前は」

私は仮面を被ってる奴に向かって言った


「さぁ、声で性別ぐらい判別できるだろ?」


このか細く少し高い声は女性だ、同姓でもこれだけ声帯に違いがあるのか

ちなみに声だけを聞くと私はおとこよりだ

「それで、何のようだ」

「そう、怖い顔をするなよ、ただ今日は話に来ただけさ」

「なんの話だ?」

「気になるでしょ?錬金術師連続殺害事件の情報」

錬金術師連続殺害事件は、私たち軍人でも、あまり内容を知らされていない

わかっているのは同一人物の犯行ということ

狙われているのは、格上の錬金術師

錬金術師にもランクがある

sss+(トリプルエスプラス)が最高ランク、s-(シングルエスマイナス)が最低ランクだ

今回の場合、殺された三人

道化の錬金術師 ss+(ダブルエスプラス)

豪腕の錬金術師 sss-(トリプルエスマイナス)

古の錬金術師  sssトリプルエス

と、高いランクの方々が狙われているわけだ

「確かに気になるが、その情報はもちろんただではないのだろう?」

「よくわかってるね、さすがは考古学者錬金術師、又の名を「虐殺の血を継承する者」だね」

「その呼び方はよせ、二度とするな」

「アルタムさん、時間が」

「そうだアルタトゥーム、君には時間がない」

「主に貴様のせいだがな」

「等価交換、私が知っている錬金術師連続殺害事件の情報と


あなたが知っている、「シュテルン族の最期」を」


「シュテルン族の最期だと?」

「アルタトゥーム・シュテルン・エアースト、シュテルン族最期の生き残り、

軍の錬龍統一部隊によって虐殺された、シュテルン・リヒト・ドゥンケル

伝説の三部族のすべての血を引くもの」

風が吹く

こいつは何者だ

私の情報をどこまで把握している

「それを知ってどうなる」

「それは、言えないな、ただ錬金術師連続殺害事件の情報と等価の価値はあると思うけど」

「とにかく、私は先を急いでいる」

「そうか、連れないね、君は自分の種族を殺した軍の犬になり下がったのかい」

「・・・違う、私は私のやるべきことがある」

「アルタムさん・・・」

「仕方ない、今回は諦めるよ」

「そうしてもらえるとありがたい」

案外話がわかる奴で助かった

しかし、疑問だ

先程の錬力反応・・・

錬金術師ならば、最低、陣を描くか、陣を埋め込んだ道具が必要だ

仮面の女は、道具すら持っていない、ましてや地面に陣を描いたあともない

ならば、誰の錬力反応なのだ

「そうだ、アルタトゥーム、ひとついっておこう」

「なんだ、手短に頼む」

「君が配属されている、ケルン隊、

トイフェル・アルタトゥーム・ケルン

この三人の命が今現在狙われている可能性がある」

・・・なんだと

しかし、いやまさか

「さっき錬力反応を見たんだろ?ブリッツ君の技によって」

「え、あ、はい、そうです」

ブリッツが驚いたように答える

「そのとき見えた錬力反応、レベルは何だった?」

「レベル1だ、真新しい反応だった」

「やっぱりね」

仮面の女はそう呟くと、袖縁にしまっていたと思われるナイフを取り出した

すると、そのナイフを私の髪を掠めるように後ろの草むらに向かって投げた

「そこにいるんだろう?」

仮面の女が誰かに問いかける

「は、はい」

・・・!?

嘘だろ?

「君は錬金術師だよね?」

「そ、そうです、新人ですが」

「いやひどいもんだ、新人に依頼をしたのか、そっちのオーナーは」

「おい、仮面、こいつは」

「アルタムさん、この人」


「そうだよ、アルタトゥーム、こいつは国直属の国家錬金術師、つまり君の仲間だ」

なるほど・・・暗殺か

「しかし気配すら殺せない、いきなり森の中に入るからどうすればいいかわからなくて

ついていった結果、道に迷って、あげくの果てに暗殺用の道具をおとして

錬金術で作り直したはいいが、アルタトゥーム達がこの場所に来たからこっそり隠れてたって

さっすが新人、判断力鈍いねぇ」

仮面の女に全部お見通しにされている新人は少し苛立ちを見せているようだ

「誰に依頼された?」

私は聞いた

「それは言えません」

やはりこうなる

「アルタムさん、残り20分です」

時間がない

「それじゃあ、私は失礼する」

「アルタトゥーム、こいつはどうするんだい」

「ほおっておけばいい」

「それじゃあ、アルタトゥーム私も失礼する

君たちの命は狙われている、以後気を付けるように」

そういうと仮面の女は姿を消した

「暗殺の異常能力者ですかね」

ブリッツが問いかけてくる

「さぁな」

「それにしてもアルタムさん、あの人大丈夫ですかね」

新人は膝から崩れ落ちて、その状態のまま動かない

「大丈夫だろう」

「だといいんですけど、何かを呟いてるみたいなんですよ」

たかにさっきから念仏のようにぶつぶつと聞こえる

「おい、新人、大丈夫か」

私は声をかけた


すると、そいつは矛をこちらに向けた


「あなたを殺サナいと、イケない」


理性がない


新人の錬金術師は別名「炎の錬金術師」

新人にありがちの、攻撃系錬金術


「うわああああああああああああ!!!」


新人は叫んだ、すべてにけりをつけるように


そして手にはめていたリングと手のひらの錬成陣を合わせた


「すべてを一瞬にして奪う炎「炎の錬金術」」


空気中の温度が一気に上昇する


熱いな


「ブリッツ下がっていろ」

「はい」

あまり戦闘はやりたくない


理由としては、私の存在がイレギュラーであるから


私を包み込むように炎柱が錬成された


「はぁ・・・ぐぁ・・・」


新人にしては中々いい錬金術だ

できれば、それは人に向ける矛ではなく

人を守る、盾として民を守ってほしかった

しかし、それは願わない

相手がこちらを殺すならば


私は手加減などしない


私は両手を合わせた、そして向かってくる炎柱に手を当てた


「古に伝わりし、原初の錬金術「古の錬金術<起>」」


すると炎柱は、形が消えた

その代わり、燃やしていたものの炭素の塊が新人に降り注ぐ


すべてを無にし、始まりを告げる原初の錬金術

それこそが私の錬金術

「古の力」


第五話「暗殺者」


死ぬことに恐れはない

ただ死ぬものを見るのには恐れを抱く


・・・新人を自分の錬金術で殺したくはなかった

「アルタムさん、大丈夫ですか」

「ブリッツ、帰ろう」

「はい、後でミッドポイント警察本部に私が連絡を入れておきます」

去らば新人、来世はきっといい錬金術師になっていると信じる

「しかし、暗殺・・・か」

「ケルン隊が狙われているんですよね」

「そうみたいだ、トイフェルとケルンはうまく生き延びてくれていると思う」

「大丈夫です、あの人たちはそう簡単に殺されるような人ではありませんから」

「そうだな・・・そういえば」

「どうしました?」

「ケルン隊異常能力兵の三人も、狙われているのかな」

「わかりません、ですけど、銃剣格の最高能力とも言われているんですから、信じましょう」

「私は急いでミッドポイントに戻らなければ」

「そうです」

ミッドポイントならば・・・信頼できる奴がいる

ケルン、君は私達の隊長

そして、ケルンの話になる


「ケルン、おい、ケルン!」

うるさいな、誰だ僕の睡眠時間を邪魔するのは

「起きろってんだ!」

「はいはい、でここはどこ?君は誰」

「俺はフレント・リーべ、喫茶店だ」

「言うの逆じゃない?」

「細かいとこは気にしない」

「んでフレント、僕達は今、昼飯を食べているのだな」

「そうだ、ケルンはその中で寝ていた」

「まぁ、食べ終わったあとだし、いいじゃん」

「そうだな、会議まであと1時間だぞ」

「会議かぁ、めんどいなぁ」

「そういうことを言うな」

「はいはい」

僕の名前はケルン・グリュック

そしてさっきからうるさいのが僕の部下のフレント・リーべ

一応僕は錬金術師、フレンは、異常能力者だ

異常能力者ってちょっと言い方が気に入らない

まぁ、別にどうでもいいことだけど

僕は今ミッドポイントから1kmぐらい離れたとこにある

「喫茶店シックザール」というおきにいりのとこで飯を食べていた

だけど、昨日徹夜で仕事をしていたからすごく眠い

だから寝てしまったんだ

それにしても、今カウンターの席にいる成人前ぐらいの男

挙動不審だな

うまっ棒片手にキョロキョロしてる

それに右足の靴紐相当きつく縛ってあるな


まるで、走ったときに脱げないように


そう考えながら、冷めきったブラックに砂糖袋を10袋ぐらい入れたコーヒーを飲んでいた

すると、フレンが

「ケルン、今日の会議はいったい何についてなんだ?」

「んー、多分、錬金術師連続殺害事件についてかな」

「なるほど、しかしなぜケルン隊だけ召集を?」

「錬金術師だけならまだしも、異常能力者も参加するってとこに疑問を抱いてるのかな?」

「そういうことだ」

「それでは、ここで簡単な考察をひとつ」

「毎度毎度、よく考えますな」

と言ってシックザールのマスター

セルタニア・メルダミスさんが話しかけてきた

「マスター、ブラック砂糖ましましひとつ」「もうカフェモカとか飲めよ」

フレンが高速の突っ込みをした

「わかりました、お代はつけときます」

「そろそろ、つけを払わなければ」

「いいんだよフレン、まだもう少し出世したらで」


「さて、まず何でフレン隊というとこにスポットライトを当てよう」

「ふむ」

「僕、トイフェル、アルタムのランクを覚えているか?」

「ケルンがAAダブルエー、トイフェルがAシングルエー、アルタムがまだ決まってない」

「正解、アルタムだけ決まってない理由がわかるかい?」

「え、それは、アルタムはシュテルン族だからとか?」

「10%ぐらい当たってるけど、恐らく本当の理由は」

「理由は?」

「○○○・・・」

と僕がいいかけているときに事件は起きた

「食い逃げだ!捕まえてくれ~!」

やはりさっきの男、逃げたか

「フレン話はあとで」

「おう、ケルンあいつを追いかけるぞ」

そういって僕はマスターにアイコンタクトをとって

店の外に出た

男は店を出て歩道を右に走っていった

とりあえず追いかけるか

男は路地を曲がりに曲がって

地下通路の中に逃げた

「ここにいるのはわかってるぞーでてこーい」

僕がそうやって叫ぶと

反響する僕の声の他に

金属音が響いた

「まさかぁ」

「フレンそのまさかだ」

錬金術発動音

あの男が錬金術師?いや違う

もう一人誰かいる、とりあえず進むか

僕とフレンは地下通路を進んだ

恐らくここは荷物運搬用地下通路

人はあまり通らないとこだ

そして、一つだけ壊れていない蛍光灯の下

さっきの男が座っていた

気絶しているのか動かない

「フレン、とりあえずやつに手錠をかけてきてくれ」

「了解」

しかし、さっきの音

この場所で誰かが錬金術を使った?

使う必要のある場所なのか?

創作系の錬金術だった錬金術跡が残っているはず

だけど、暗いからよーくみえない

錬力反応もレベル1に満たないからまだ見ることもできない

これはお手上げか

まぁ、いいや、とっととこいつ警察につれてって会議にいこう

フレンにはあとでケーキでも買ってやるか


とそのときだった

「・・・ケルン、しくじった」

銃声と共にフレンは倒れた

右脇腹に一発だった

「う、うごくなよ?次はこいつの頭をぶち抜くからな?」


「あ?」

「動くなよ、こいつが死ぬことになるからな?」


「俺の部下に何鉛玉ぶちこんでんだ」

「お、お前らが悪いんだ」

「例えここから動かずとも貴様ごとき一瞬で灰にすることだってできるぞ」

「そ、そんなはったりつうじるか」

「ならば証明して見せよう」

「俺は、雷いかずちを操る」

右手を左手で擦った

「錬金術師だ」

そして手を合わせ

蛍光灯に向けて

「雷鳴の錬金術 -鳴鳥-」

一羽の雷鳥を放った

その早さは、光

男は気づかぬうちに倒れているだろう


第六話「淡い炎」


「フレン!」

「ケ・・ルン」

かすかには意識がある

しかし、傷口を防がないことには、フレンの命に関わる

こんな時にトイフェルがいれば

医療系錬金術は、多少は習ったが無理だった

錬金術は、理解がないと使用できない

どうする、どうすればいい

ここからとりあえずでよう

フレン一人ぐらいならかつげる

「フレン、捕まっているんだよ」

俺は歩いた、入ってきた時より

遥か遠く感じる、その距離を

フレンを傷つけた、俺がいながら

フレンは俺の大切な部下だ

階段が見えた、光が見えた

俺は急いでポッケの中にあった、連絡用スマホを取り出した

そしてトイフェルに連絡を取った


「ん、ケルンからとは珍しいじゃない」

現在地と一つの文が届いた


「トイフェル、フレンを救ってくれ」


・・・!

「メーアさん、ちょっと寄り道していい?」

「何処へ行くか指定してください」

「ありがとう、14番荷物運搬地下通路前までいって」


「フレン、今トイフェルを呼んだ、もう直ぐ来るだろう」

「ケ・・ルン、ご・・め・・ん」

「俺も軽率だった、今はお前が助かる道を探すのが優先だ、少し休んでろ」

「あ・・・り・・・がと」

そして直ぐに、車のエンジン音が聞こえて来た

少し焦り気味の俺を照らす車のバンパーの反射日

そこから降りてきたのは少し頼りなさげな

女神だった


「ブリッツ、どうする」

「どうしましょう」

「私はもうみんなが戻ってると思ったが」

「私達が、一番乗りでしたね」

「お、ケルン隊のグループに連絡があるようだ」

「なになに?」

『らーめんうめぇ!』

「イラってきた、ブリッツ、なんか言い返してやれ」

「了解です!」

『蕎麦を食え』

「違う、全然全身全霊全く違う」

『やっぱり、うどん食え』

「ブリッツ、お前は一回携帯おけ」

「何が悪かったんですか」

「おつむだ」

「あいつら、どこで道草食ってるんだか、会議まであと少しなのに」

「アルタムさん、異常能力組は、今現在、こっちに向かってるそうです」

「そうか、直ぐ来るだろう」

何か様子がおかしい、この場の空気というか


ミッドポイントに入った時から感じている違和感はなんだ


よくわからないが、背中に蟻が歩いているようなムズムズとした違和感、嫌な予感がする


そして、私達を引き離すように、事件は唐突に起きた


「アルタムさん!連絡用スマホを見てください!」

「なんだ?」

焦った様子のブリッツを見るのは久しぶりだ

そして私はスマホに目を向けた


※緊急連絡※

市民会館及び、地下鉄ホープ線に爆破予告

犯人は現在不明


尚、市民会館において、エル・ドラードが暴動を起こしている模様

中から出てきた鋼鉄の錬金術師メルタ・グラニスの証言によると

中にはエル・ドラードの幹部が2人程確認できた

ケルン隊に次ぐ、市民会館に向い暴動の鎮圧を行え


「さて、何か大変なことになりそうだな」

「そうですね、位置情報的に異常能力組は市民会館に向かってます」

「少し気になることがある」

「私はどこでも付き合いますよ!」

「それでは向かうか、地下鉄へ」

「はい!」


心が安らぐと同時に、唐突に連絡が来た

しかし、トイフェルに感謝しなければ

「緊急事態が立て続けに起こるか」

「ケルン、どうする?」

「トイフェル、私達も市民会館へ向かおう」

「フレンはどうするの?」

「今フレンをミッドポイントに一人置いておくほうが危険な気がする」

「理由は後で聞くわ、メーアさんはどうします?」

「私は、トイフェル様を無事にミッドポイントに送るのがリン様のご命令です」

「迷惑かけてごめんね」

「はい」

トイフェル、フレン、メーアと一緒に動けるのは心強い

しかし、市民会館に向かうのはいいが、肝心のアルタムはどこにいるんだ、あいつの位置情報だけいつもわからない

「皆様車にお乗りください」

「はーい」

そして車の扉が閉まるのと同時に新たな連絡が来た

『こちらアルタトゥーム、今現在地下鉄の方に向かっている、少し気になることがあってな、ケルンとトイフェルは、市民会館に向かってくれ、後で落ち合い情報を交換しよう

合言葉は《馬の爪》だ』

「やっぱり、アルタムの言ってることは訳がわからないわ」

「トイフェル、君は気まぐれな天才だ」

「どういう意味よ」

「そのまんまだ」

「まあいいわ、行きましょう市民会館へ」


第7話「戦場と理想」


「トイフェル、一つ言っておく」

「わかってるわケルン、あの力は使わない」

「・・・わかってるなるいいや!」

あの力は使えない、使いたくない

私達は今市民会館に向かっている

あと数分で着くだろう

「そういえば、ゲヴェーア達は武器はもってるのかな」

「んー、持ってなくても奪ってそうだけど」

「トイフェルはあいつらに対してどんなイメージが」

「お騒がせゲスク野郎」

「なるほど、ま、劣勢にはならないだろう」

「そうね」

人の能力の限界を超えた者

それを私達は《異常能力者》と呼ぶ

異常能力者にも種類がある、これはまた今度でいいだろう

腕時計の短針が示すのは12時の方向

メーアのドライブテクニックで、快適に向かうのは

とても休める場所ではない

最後に女神の錬金術の大元

女神の手袋の錬成陣に傷がないかチェックする

「トイフェル、その手袋は予備はあるのかい」

「一応、欠陥品が二つぐらい、あっちは暴走しやすいから使わない」

「僕も指輪の手入れをしないと」

少しだけ落ち着いたのかフレンが目を覚ます

「ここは、どこだ?」

「フレン!僕だよ!わかる!?」

「うるせえ、どこかって聞いてんだ」

「フレン、大丈夫?少しは寝てたほうがいいと思うけど」

「トイフェルさん、その節はありがとうございます、今は落ち着いてます」

「フレン、ここは車の中だよ、僕達は今、市民会館に向かってる」

ケルンがフレンに説明している

するとちょうど話の区切りがいいとこで

「もうつきます」

メーアがそう言った

「いやー久しぶりに楽しみだね」

「何がだ、死にたくはないぞ」

「私の前で人は死なせない」

最後の交差点を右に曲がる

そうすると警察車両の山だった

関係者以外は入れない、つか入らせない

メーアが窓を開ける、警官がこっちに慌てた様子で走ってくる

そして警官は後ろにいる私とケルンを見て

「急いでください!中はもうメチャクチャです!」

と、言った

車を降りた私達は市民会館の入り口へ向かった

「メーアさん、ついてくるの?」

「リン様の命令はトイフェル様をミッドポイントに送ること、トイフェル様の命を守ることです」

「トイフェル、リンさんに会ってきたのかい」

「ちょっと用事があってね」

それにしても物音がしない、受付に着いたが

誰もいない、あるのは逃げ惑う人々が残していった

《残骸おとしもの》だけだ

「ちょっくら、他のとこ見てくる」

「何かあったら叫ぶんだよ」

「おう」

そう言ってフレンは何処かへ行った

「あいつらどこにいんのよ」

「落ち着こうトイフェル、音が聞こえないってことは防音設備がある場所にいるってことじゃないのかな?」

「ケルン、つまり大ホールにあいつらはいるわけ?」

「可能性があるよ」

するとメーアが何かに気がついたのか

その方向に指をさした

私も気になってそっちを見た

そこには、人がいた

相手はこちらに気付く気配はない

「やあやあ、そこの君、何してるの?」

ケルンがそう切り出して話しかけた

すると顔を上げた、そしてその顔は驚いたような怖いのうな顔をしていた

「!!」

何やら手でジェスチャーをしている

「喋れないのかな」

「恐らく一時的なショックのせいだと思うわ」

するとメーアが、

「大きなホールで暴れてる奴がいる、だそうです」

「よくわかるね」

「なんとなくですけどあってますか?」

そうメーアが聞くと、彼は頷いた

「ここにいるのは危険です、入り口から出たほうがいいですよ」

私はそういった

しかし彼はまたジェスチャーをやっている

「大ホールに、忘れ物だそうです」

「なるほどねえ、だから収まるまで待ってたと」

こう会話をしていると、少しだけ周りを見てきたフレンが到着した

「ケルン何もなかったぜ、あれ?そこにいるのは

マイネンじゃねえか、ここで何してんだ?」

「フレンこの人を知ってるのか?」

「知ってるってかマイネンは、ミッドポイント情報科の人間だ、俺はよく情報科に呼び出されるからそん時に世話になってる」

「それにしても情報科の人が何故ここに?」

「トイフェル、それは喋れるようになってからで良いんじゃないか?」

「そうね、忘れ物ね、私達が取ってきてあげるから、どんなものかだけ教えて、早く逃げなさい」

すると、マイネンはわかったとジェスチャーをし

探しているものは写真だと言った

「さて、そろそろ本番と行きますか」

「メーアさんは、武器ないけど大丈夫なの?」

「大丈夫です」

ついについた大ホール前に

流石に中の音は少し聞こえる、安全を確認して

大ホール非常口の方から入った


私が見た光景は、まだ何も起きてない

普通の戦場だ、何か一つ文句をつけるなら


最悪だ、ちょうど非常口の前にいたのは

アートムケルン最強のマフィア

《エル・ドラード》幹部

ツァイト・オディウム


《lost alchemy》時の錬金術師だ


第八話「常識と例外」


「クルツ、オススメのメニューはなんだ?」

「私の、オススメはこちらです!」

と言いつつ、デザートに指を指す。

「甘いものには目がないな。クルツに聞くのが悪かったな。」

「まあ、スージ、クルツは効率の良いエネルギー摂取を進めただけだ。」

「ゲヴェーア、とにかく今は、会議までの時間を潰す事が優先だろ。」

「そうですよ!私はこの、《いちごマシュマロホイップ》がオススメです!」

「聞いてねぇよ!」

俺らは一体何しに此処に来たんだ?

唯一の男が焦ってどうする。

落ち着け俺。

「そうだ、スージ、ラーメンなんてどうだ。」

「ゲヴェーアさん!ナイスアイディア!」

「まあ、それなら腹にたまるしいいか。」

ここにいる三人、もちろん俺を含めて。

側から見たら、異常能力者とは思わない。

まあ、今日は会議以外は、仕事がないし、

そう思われてもいいかもしれない。

まあ、昼間っから、ラーメンなんて重いけどな。

とりあえず、頼んどくか。

「クルツ頼んどいてくれ。」

「もう頼みましたよ?」

「早くね!?」

「だって店の人、わかってたみたいなんだもん。」

「何がもんだ、28歳三十路手前のおばさんが。」

「スージ?言っていいことと悪いことは紙一重だよ?」

「スンマセン、クルツサマワタシガワルウゴザッタ。」

「次はないからねぇ?切り刻むからねぇ?」

「クルツそこまでだ、ラーメンが来たぞ。」

「あ!きたー!ゲヴェーアさん!スージ!

写真撮りましょー!」

と言って半強制に写真を撮られた。

そして、『らーめんうめぇ!』とクルツが

グループに送信した。

すると、ブリッツから、『蕎麦を食え』

ときた、あいつらも暇なんだな。

すると、すぐに、『やっぱりうどん食え』ときた。

訳わからん!あいつの頭は小麦粉で出来てんのか!

そう考えてると、ラーメンを食べ終わったクルツが。

「そういえば、エル・ドラードが、何やら動き始めてるらしいですよ?」

「クルツ、その話は歩きながらしよう、今の時間なら、ミッドポイントまで歩いてちょうどいい具合だ。」

「うん!」

そうやって、俺たちは、ミッドポイントに向けて歩き出した。

「で、さっきの続きね。

エル・ドラードの、幹部と下っ端が、地下道に入る姿をよく見かけるらしいですよ。しかも、第一荷物運搬通路あたりに。」

「なんだ、そんなことか。」

「《地下研究所》って都市伝説があるんです。」

「気になるなそれ───。」


その時、歩く三人のポッケから、バイブレーションの振動音。

「エル・ドラードの暴動。」

クルツがそう呟く。

「最近は大人しかったが、やけに急だな。」

エル・ドラードは、アートムケルン、

つまりこの国の最強のマフィアと言われてる。

実際は幹部と頭の戦闘能力がずば抜けてるからだ。

現状確認されている、幹部の人数は、8人。

その中で、異常能力者四人、錬金術師三人。


そして、異常能力錬金術師と言う、

最も危険な人物と呼ばれるのが一人。


名前が明らかになっているのは、

《lost alchemy─失われた錬金術─》

時の錬金術師 ツァイト・オディウム


絶対零度の錬金術師

フロイント・グラキエース


この二人だけだ。

二人とも、元々は軍の施設で育った錬金術師だ。

オディウムと、トイフェルは、同じクラスだったらしい。

そして私達は市民会館へと向かった。

その日の空は、なんとも言えない曇り空。

雲が青い空を隠そうと言わんばかりに、覆い尽くしてる。

もうすぐ夏だというのにこの天気。

そしてもうすぐ市民会館へとつく。

私は顔にある、三本の横筋の傷を撫でた。

そして、癖っ毛の目立つ髪の毛をワシャワシャと掻いた。

市民会館前には規制線が張られていた。

ある意味エル・ドラードの暴動とか、戦争みたいなものだしな。

「ゲヴェーアさん!お久しぶりです!」

と威勢の良い声が聞こえた。

「スズラン、久々だな。」

「はい!今現在の状況を説明します。

中にいるエル・ドラードのメンバーは、

幹部が二人。下っ端が、十数人。

幹部の一人は時の錬金術師

ツァイト・オディウムがいるとのことです。」

「おいおい、あのイレギュラーもいんのかよ。」

原理不明の時の錬金術。

わかっているのは、

『触れられたら死ぬ。』ってことだ。

「ゲヴェーアさん、中に急ぎましょう。」

「そうだな、何が目的かは定かではないが、とにかくあいつらを潰しに行こう。」

ゲヴェーアは、エル・ドラードのことになると、

言葉遣いが、荒くなる。

何か知っているのかもしれない。

まあ、今は味方を疑ってる暇はない。

行くか、戦場に。

ここから先は、常識は通用しない、

例外だらけの世界だ。

一つ言うとしたら、俺たちは、

例外的存在になる。

そう、異常能力とは、

世の中全体から見たら、凄いなどと尊敬され。

崇められたり、慕われたりするものだ。

ただ、個人的なものの嫉妬。

その能力との対価。

そして、一定のラインを超えると、化物と呼ばれる。

こんな理不尽は当たり前だ。

それでも、守りたいものは各自あるらしい。

だからこそ、国を護る為のこの部隊に入ったのだから。

俺にもある、守りたいもの。

だからここでは死なない。

「ここか。」

そうゲヴェーアが呟く。

気付いたら、もう着いてたらしい。

ここまで何もなかった。

「正面から入ります?」

「堂々と行こうぜ。」

「そうだな、裏とかには誰かがいるかもしれない。」

そして両開きの扉を俺は蹴り開けた。

「ちょ、スージ!いきなり!?」

「時間が惜しい、さっさと終わらせようぜ。」

そして開いた両扉。

その刹那、辛うじて目で追える速さのものが横切る。

「ゲヴェーア!」

俺は叫んだ。

「大丈夫、掠っただけだ。」

多少横に動いてたらしい、傷は浅いが血が出ている。


「流石だな!ゲヴェーア!」

そう高らかに言っている、一人の少女。

「それでこそ、グルナの敵討ちのしがいがある!」

「グルナ・・・、誰のことだ。」

そのゲヴェーアの言葉は裏表のない、

水面下の底まで透き通った言葉だった。

「忘れたのか・・・?

ふさげんじゃねえ!

てめえが、したことを忘れたのか!?」

怒りの感情、戸惑いの感情。

二つが混ざって作り誰されている、

その声は、憎しみに満ちていた。

「忘れたなら、思い出させてやるよ。

私の思い、私の憎しみ、私の辛さ。

所詮逃げただけのお前にわかるはずがない。

グルナはいった。

『世界を変えて。』と。

その言葉に嘘偽りのないように過ごす。

そう誓ったことも。思い出させてやる。」

周りにいる下っ端は、基本的に拳銃を持っている。

蜂の巣にされるのか。

そして、少女は右手を上げて。

その腕を俺たちの心臓狙うようにして、振り下ろした。

「二人とも私の後ろに隠れて!」

クルツがそういった。

その一寸、クルツは、腰の鞘に収まっていた、

相棒を取り出した。

そして、爆竹を爆発させた以上の音が響く。

その音一つ一つ、的確に俺たちを《殺す》という意思に包まれていた。

しかし、鉄を鉄で叩く音。

その速さは音、クルツは二つの《鬼神刀》を、

《防御の体勢》にして、玉を弾いた。


数秒たったか、打たれた弾は数百。

そして、カチカチとトリガーを弾く音が聞こえた。

「二人とも無事ですか?」

そう聞く、クルツ。

数発の擦り傷。そりゃそうだな。

これだけで済んだんだすごい。

「もちろんだ。」

そして、堂々とした姿でホール内に入った。

「スージ、ドア閉めてね。」

「はいはい。」

弾切れを起こした、下っ端共は、素手で俺たちに向かってきた。

中には刀やメリケンを持ってる奴もいた。

「トイフェルが来るのを考えたら、殺せないから、気絶の状態にしよう。」

「ですね。」

「そうするか。」

一人一人にその10倍以上の人が襲いにかかる。

しかし、俺は的確に急所を突き、

次々と気絶させる。

ゲヴェーアは、弾がもったいないと、

得意のナイフ術で一人一人を峰打ちで倒す。

クルツは先程の行為によって誰も寄せ付けなかった。

数分後にあらかたの下っ端は、片付けた。


そして沈黙に落ちていた、少女が口を開く。


「オディウム、私もそろそろ動いていい?」

「フロイント、私は見張りをしておく。

その間に片付けろ。」

「言われなくてもやってやる。」


そう、少女の名はフロイント・グラキエース。

絶対零度の錬金術師。


「さあ、誰でもかかっておいで。」


その笑顔は、一瞬でその場の空気を凍らせる。


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