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カイトのやりたいこと

活動報告にて各作品のこれからなどを記載しています。興味のある方はご確認ください。


その活動報告で書きましたがこの話を更新後にタイトルを変更します。

多くの方が読む頃には変わっているかもしれませんね。


灰人君の根幹に迫る話となります。

 国に使われる日々だ。


 国王や貴族、果ては金のない村人など。様々な人からの依頼が舞い込んでくる。とはいえ俺も特にこれがしたい、あれがやりたいなどの目標やら目的が存在しないので、適当にこなしていた。それが依頼を拒否しないヤツだという認識を生んで依頼を頻繁に回すようになっていた。日本では自己管理できるとはいえ休みなく依頼が来るのでブラック認定されそうなほどの数だが、如何せん疲労しないので朝から日をいくつか跨いで終えることもたまにある。期日が決まっているモノもあるので受けたら即座にこなすくらいで丁度いいだろうとは思っているが。……最初からそうやったせいですぐにやってもらえると思って期日を短く設定してるんじゃないだろうな、とは疑っているが。


 傍目から見たら忙しい毎日、なのだろう。ルーリエにも依頼を受けすぎていると注意された覚えがある。フーアも最近家にいるよう言ってくることが多くなったのは、その辺りでルーリエになにか言われたからかもしれなかった。


 だが家というか、宿屋の部屋にいてもなにもすることがない。元の世界ならネットサーフィンでもしていれば何時間でも潰せるし、そういう意味では物凄く娯楽が充実した世界なのだろうとは思う。

 こちらの世界にも本はあるが、図鑑や辞書の部類が多く娯楽小説がほとんどない。あったとしても『騎士物語』やら『勇者と魔王の死闘』やら、割と綺麗な物語ばかりだった。おそらく圧倒的書き手の少なさが原因だろう。吟遊詩人が歌う英雄譚なんかも存在するが、「勇者が魔王に囚われた姫を救った」とかどこかで聞いたことのある話ばかりだった。

 一つだけ、この世界の物語の中ではアレンジが加わっていて比較的面白いと思ったのはあった。

 序盤は「魔王が姫を攫い幽閉する」というテンプレ的な始まり方だったが、実は「姫が魔王軍を内部から崩すためにわざと捕まっている」という話だ。主人公は他の物語と違って姫となり、その姫が魔王軍内部で孤軍奮闘する様が描かれていた。勇者はというと、姫の奮闘によって順調に魔王城へと難なく辿り着く。そして疲弊させられた魔王と戦って勝利を収め姫を救おうとしたところで、姫からネタバレを食らう。そこから「全てお前の掌の上で踊らされていただけだって言うのか!」と勇者と定められたせいで人生を狂わされた勇者が絶望して姫と戦うことになり、結果姫が勝利して世界を統治するという結末だ。

 感想としてはこの世界では滅多に見かけないくらいアレンジの利いた作品だな、と勇者が最期まで報われないな、というくらいか。一応旅の中では勇者様勇者様と崇められていい仲間にも出会ってと幸せがないわけではなかったのだろうが。というか姫強い。勇者いらずだったのではないかと思ったほどだったが、確か設定上魔王軍の技術を盗んで戦闘する術を獲得していったので、魔王には太刀打ちできないのだったか。どちらにせよ勇者は可哀想に思う人が多そうだった。

 ただこの作品は勇者がカッコ良くないこともあってあまり人気が出ていないらしい。カッコいい勇者を描いた作品でないのだから当然だろうが、まぁそういう意見もあるだろう。


 無駄話が過ぎた。


 今日はレーナと会う日だ。形だけ定期的に会っているが、城内では様々な噂が飛び交っていると聞く。「“人形姫"が遂に男に興味を持った」だの「あの冒険者は“人形姫”に仕える手駒で、民を虐げるために雇った」だの。……大半の噂は本人がコントロールしてるらしいから問題ないとか言ってやがったが、あまり変な噂を定着させないで欲しい。奇異の視線が更に強くなっていってるような気がする。


 会うと言っても俺から話すことはほとんどない。大抵はレーナの話に相槌を打って過ごすだけだ。正直なところただ無言で時を過ごしてもいいのだが、それだったら俺が冒険者として依頼をこなす方が有意義なので世情について話し少しでも有意義な時間にしようということらしい。

 確かに彼女の語る話と、それらの断片的な情報がどこへ向かっているのか、どう民が捉えるのかというのは的を射ているような気がする。俺は全く興味がないので理解できないが、そういう意味合いで言えば興味深いモノではあった。一つの意見として頭に入れておくと、いつか役に立つ可能性はある。


「そういえばカイト様」


 もう俺の前では人形のフリをするのはやめていて、目の奥が笑っていない笑顔で口を開いた。レーナはある程度俺に話す内容を選び、事前に考えて喋っているためこうして思いついたように話し出すのは珍しい。とはいえそれもこいつの思惑なのかもしれないが。


「カイト様には目標や目的などがないのですよね」

「……ああ」


 確か、初対面の時にそんなことを聞かれた気がする。


「では、あなたはなぜ生きているのですか?」


 こてんと小首を傾げて、純粋な疑問として尋ねてきた。

 なぜ生きているのか、まさかそんなことを聞かれるとは思いもしなかったので少し考え込みそうになる。


 ……なぜ、か。確かになんでだろうな。


 しかし考えてもすぐには浮かんでこなさそうだった。


「以前、私はカイト様のルーツを知りたかったので色々とお聞きしましたが。カイト様は幼い頃から妬みを理由に虐げられてきたとのこと。カイト様が抵抗しなかった理由はついぞわかりませんでしたが、やりたいことがないのに生きる理由がありますか? だからと言って悪戯に命を投げ出していいとは言いませんよ。虐げている側の方は、相手が命を絶とうがどうでもいいのですから。その方達がやったことがどれだけの重荷になっていたか知らしめるというなら、被害を受けている側が死んだところでなにも残りません。色々と面倒な騒ぎにはなるでしょうが、結局のところ真に反省することはないと思います」


 偏見、とは言い切れない。むしろ自殺したと聞いて「死んで良かった」などと口にするヤツがいるくらいだ。どうでもいいからこそ酷い目を遭わせることができるのだから。かといって法に則って裁きを与えようとしたところで、それまでの仕返しになるとは思えない。だが同じようにやり返すとそいつらのような低俗にまで自分を下げてしまう。

 じゃあどうしたらいいんだ、という答えをただされるがままにしていた俺が持っているわけもないのだが。


「同じ状況で、自ら死を選ぶことがなかった方には生きる意味を持っている人がいると思います。それは虐げられることのない生活を送りたい、死にたくない、というのも立派な一つの目標だと思います。ただカイト様からはそれらのような、受動的な願望すらも感じ取れません」


 レーナは真っ直ぐに俺を見据えていた。その瞳を見返して、しかしそこまで気にすることかとは思う。


「もしかするとそこにカイト様の本当のルーツが存在するのではないかと思ってはいるのですが、カイト様自身がわからないようであればわかりようがありませんね。しかし生きがいとルーツはまた別である可能性が高いと思います。家族のため、というなら別に命を絶っても問題なかったでしょう? では、なにか他に生き続けていた理由があるのではないかと推測しました」


 推測とは言うが、ある種確信を得ているようだった。

 確かに、反撃して殺してしまったとして殺人者が家族にいるという結果を招かないように、とは思っていたと思うのだが。うちは五人も子供がいるので学費も厳しいだろう。姉四人がいれば俺がいなくなっても問題はなさそうだ。


 ……じゃあなんで俺は、自殺を選ばなかったんだ?


 自分のことだというのに、顔を顰めて悩み込んでしまう。妙な気持ち悪さが胸の中にあるようだ。無視することはできるだろうが、これを逃すと二度と思い返すこともない気はした。折角だから、少し考えてみるか。


「おそらく人に関わることではないでしょう。なのでカイト様がその前の時点から、毎日かはわかりませんが定期的に行っていた習慣があると思われます。その中に答えがあるのではないかと考えます」

「……流石は人の心を弄ぶ姫様だな」

「お褒めに預かり光栄です」


 皮肉にも、深々と頭を下げて礼を言われた。心理戦というのであれば俺は目の前の人物に敵うことはないだろう。心理戦など俺がする必要があるのかはさておき。


「私が思うに、カイト様は凄く歪です。面倒事を避けたいと思っているのに、面倒事を断らない。他人を見捨てられないから、という優しさが理由でないことは確かだと思いますが。今まで他人に見捨てられてきたカイト様が、まさか見捨てないなどとは口にしないでしょう」

「……まぁ、そうだな」


 見捨てる選択肢が最善だと思えばそうするだろう。ルグルスを殺す必要ができたら明日にでも殺すかもしれない。


「ですが、根本的には他人をどうでもいいとは思っていないようにも感じるところがあるのです。その辺りはよくわからないので、ご自身で考えになった方が良いと思いますよ」

「……そうか」


 この日はこれでお開きになった。収穫はないが考えさせられる話ではあったと思う。

 少し考えてみようかと思い、フーアをルーリエに預けて一人宿屋に戻りベッドに寝転んで思索に耽る。


 レーナという他人が見た俺の所感を聞いたが、本来気にすることのほどでもない。所詮他人は他人。それらを全くの鵜呑みにするのは間違いだが、かと言って全てを無碍にするのも下策だ。それが正解だとは言えないが、間違っているわけでもないというのが答えだろう。結局曖昧な人という定義に基づいているのだから見方によって変わるのは当たり前だ。


 結局のところ自分がどう思うかが重要だ、なんてどこかのコラムが書いていそうなことではあるが。しかし俺に思うところがあるとも思えない。ただそれなら死んでもいいとは思う。サンドバッグとしての生きる価値を見出したわけでもなく、生きたいと思っていた理由も思い当たらない。だがなにかしらはあるはずだ。

 死にたいとは思っていなかったが、死ぬつもりはなかったのだろう。ではなぜ死ぬつもりがなかったのか。命を絶てば簡単に終わる。家族の生活もある程度は楽になるだろうし、イジメも当分はなくなるだろう。


 だが仮にイジメを受けている、他人に救われず他人から迫害される人間が一人死んだところで、周囲のなにかが変わるのだろうか。おそらくなにも変わらない。きっとやった側の彼らは怒られ、注意されるだろうがほとぼりが冷めたらまた別の標的を探すのだ。イジメが起こったら、今の学校なら全校でイジメに関するアンケートを実施するかもしれない。だが結局それはなんの意味もなくただ形だけの話だ。実際イジメが起こらなければ行動せず、実際に起こったとしても止めることはない。無駄死にだ。

 「大丈夫。悪いことの後にはきっといいことがある」などと思って、または言われている人はいないだろうか。そんなモノはまやかしだ。未来のことなんて誰にもわからないのに気休めに言った、今が悪いと思っていない誰かの言葉だ。現状を変えられなくて、未来が変わることはない。所詮は他人が語る言葉だ。自分が思っていたとしても、きっと前に誰かが言った言葉を信じているだけだ。今自分が辛いかどうかなんて、他人には本当の意味ではわかってもらえない。


 現状が変えるには結局のところ誰かの助けを待つのではなく、自らが発言し行動する必要がある。それが恥ずかしいだとか考えていたとしても、今を見つめ直せばいい。誰もがイジメを受けている様子を、見て見ぬフリをするのだろう? なら誰も興味を持っていないのだ。だが人は保守的なモノで、イジメが世間に知られれば自分が非難されると理解しているからこそイジメを訴えかければ助けなければならなくなる。世間から糾弾されることを恐れた教師かもしれないし、クラスメイトかもしれない。だがそれくらいの、イジメを受けていることを利用して精神的に追い詰めてやるくらいはやればいい。きっと状況は変わる。大団円とはいかないだろうが、現実において大団円で終わる話はほとんどがいい話だ。イジメの話である時点でいい話にはなり得ない。下らない話が一つ出来上がるだけだ。


 ――と、語ってはみたが他人はそうしてもいいと思いはするのだが自分でやる気は起きない。どうでもいいからな。イジメを解決する、なんてことが人程度の生き物にできるはずもないのだから、それこそ綺麗に仲裁するなら神でも連れてこないといけない。

 今の話でいくなら、別に俺はイジメられていたからと言ってイジメをしていた側に仕返しをしたいとは全く思っていなかった。

 しかしイジメられていたいという特殊な考えを持っていたわけでもない。


 じゃあ改めて考えよう。


 俺はなぜ、生きているのだろうか?


 レーナはおそらくある程度予測を立てているはずだ。だが彼女は教えるだけでは俺が自分から目的に協力すると言い出さない可能性があるとして、自分で考えさせることを選んだのだろう。結局のところ他人になにを言われようとも自分の中で答えを出し納得しなければ変化はない。それくらいは考えているだろう。


 では、彼女が言っていたように俺が習慣にしていたことを思い返してみるとしようか。


 とは言ったもののすぐには出てこない気がする。俺が昔から転移するまでの間でよくやっていることと言えば。

 一、武術。これは幼い頃に習って、度々通っていた。道場が近くにあったので家から楽に行けたこともある程度続けていた理由の一つだろう。後は道場主、白咲先輩の父親から定期的に顔を出すよう誘われていたこともある。あまり身体が鈍ってはいけないかと自分から行ったことの方が少なかったか。

 ……これは生きがいというには流れやすすぎるかもしれないな。

 二、バイト。これはないな。幼い頃にはやっていないので手伝いに該当すると考えたとしても、家事手伝いに積極的だった覚えがない。姉達がやっていたのは覚えているが、俺がそれを手伝った記憶はなかった。バイトは業務妨害を受けるようなことがなかったために順調だったので、無意識下でやりがいを感じていた可能性もなくはないのかもしれないが。家計に余裕がなかったからではあるが小遣い稼ぎ程度のバイト代を貰うのは一種の達成感が……なかったな。だが金は使った覚えがある。なにに使ったのだったか。


 ――そうだ。漫画やラノベに使ったんだった。


 後はアニメのDVDとか、まぁその辺だ。フィギュアは数少ないはずだが、とりあえずその辺りのモノを買っていた。ゲームも持っていたし、俺の中で唯一趣味と言えそうなモノだろう。

 だがなんで俺はそれらを購入していたのか?


 答えは簡単だ。――面白い(・・・)から。


 そう、そうだった。なんで気づかなかったんだろう。俺は感情を喪ってはいなかった。まぁ大半はなくなっているが、その全てが喪われているわけではなかったのだ。

 俺は漫画やラノベを読むこと、アニメを観ることを面白いと思えている。でなければ、わざわざ少ない小遣いを使って継続的に購入することはないだろう。暇潰しと言うだけなら、世の中にはいくらでも候補がある。その中でこれらを選んだ理由が俺のルーツに繋がる、というのがレーナの推察になるのだろう。


 とはいえ、だ。

 アニメを観ていても別に感動するわけじゃない。泣けるシーンでも特に感じ入ることはないが、面白いと思うということは楽しいという感情が湧き立っているということではあるはずだ。だがバイトなど他のことで楽しいと思ったことはない。よくわからない理由でクレームをつけてくる客に対して自分が悪いわけでもないのに謝らせられる接客業なんて、やらなくていいなら二度とやらない。嫌だと思う心こそないが、やるべき仕事の邪魔をされると仕事振りでの評価が落ちるのだ。実に無駄な時間だと思う。

 そもそも普通に感情があるのならイジメを受けていた段階でなんらかの行動を起こしていたはずだ。それがないということは、我ながらその時点で既に普通とは異なっていた可能性が高い。確か小学生の頃から日曜朝のアニメなどには触れていたので、その頃からの習慣として考えるなら充分候補に挙がるとは思う。


 ……じゃあなんでそれらが面白いと思えているのに抵抗しようって気にならないんだか。


 今もなお、中学生の時に便器に顔を押しつけられた時のことを思い返しても、彼らに全く怒りを感じない。恐怖もない。そういえば彼らは元気だろうか。異世界でも逞しく生きていることだろう、多分。他人を虐げることに長けた彼らだからな。


 色々と思い返してみて、客観的視点から俺がなぜこうなのかを考えてみる。

 しばらくああでもないこうでもないと考えていて、一つの結論に達した。これなら俺の状態にも説明がつく。


「……自分がどうでもいい、のか」


 今の状態に一番当て嵌まるかもしれない。

 「自分がどうでもいい」。つまり俺は、アニメなど架空の全く俺が関わりのない物語なら楽しめるが、そこに自分がいると感情が失せる。そんなところだろうか。

 自分のことではあるが断言はできない。ただそれなら俺がイジメに対して抵抗しなかったことにも説明がつく。一応家族の中で殺人者を出さないため、というのもあったが。殺せるということは生かして痛めつけられるということでもあると思う。なのでもっと根本的な部分に、俺が抵抗しない理由が存在していたと考えられた。そこでこの「自分がどうでもいい」。これなら自分自身がなにをされようともどうでもいいがために抵抗しなかった、という理由づけができる。

 今ある人間関係も、自分でない誰かの物語であったなら楽しむことができたのだろうか。だが当事者である以上不確かなことではある。


 しかし、なんだ。結論を出してしまうと妙に納得できる部分がある。色々と過去について振り返りこれと照合していく作業は後にやるとして。


「……俺がやりたいこと、か」


 本題はここからだ。「自分がどうでもいい」という根幹を成すルーツを見つけたところで、さて俺がそれを元にやりことを掲げるとしたらどうなるか。


 だが当事者になってしまっているため、表舞台から姿を消して世界の成り行きを見守る、という目的ではダメだ。白皇なる対の種族がいるせいで、少なくとも出会う運命にはある。今はまだ会ったことがないのでいつかは見つかる可能性が高い。というか種族転生のせいで黒帝などという至高の種族になったことが問題だ。こんなことなら黒帝にならなければ良かったのに。

 二つ目の案は、死ぬ。だがこれだと死んだ後も楽しめるかどうかがわからないので、却下するしかない。漫画を完結まで読みたいというような感情だけは残っているらしいからな。途中放棄はいけない。

 三つ目としてはこの世界から立ち去って元の世界に戻り、アニメなどを観て余生を過ごすことか。だが金がないと漫画も買えずネットも使えない。もしかしたら既に現実世界では死亡した扱いになっている可能性があるので、偽名を使うなど面倒な手順を踏まないといけない――と考えていくと保留になる。ただ本当に、視聴途中のアニメや連載中の漫画があるのは、思い返してみると心残りではある。


 となるとこの世界においてそういう、誰にも邪魔されずこの世界で紡がれていくストーリーを鑑賞できる存在があるかどうか、か。


 ……ふむ。存在しているかどうかは兎も角として、俺に一つ心当たりがあった。全てを俯瞰していられる存在。そんな俺にとって夢のような立場がただ一つだ。まぁ折角ルーツを見つけられたんだから、特にやりたいこともなかったので目的として掲げるとするか。レベル上げて強敵に備えるだけじゃな。


 ということで、俺はここにおそらく人生初めてであろう、生きる目的を掲げた。


 ――そうだ、神になろう。

京都に行こうみたいなノリ。


ということで、


『孤高で蠱毒な黒帝神記』


はっじまるよーっ。

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