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種族覚醒

「「「……」」」


 教室内には気まずい空気が流れていた。

 それは勿論赤崎のせいではあったが、姉四人がキレたことに驚いていると言うのもあった。

 だがそれでも止まっている訳にはいかないので各自行動をしている。


 因みに今現在種族を取得している者はかなり多い。

 これを一時的な処置として覚醒と呼ぶようにしたのだが、最初に覚醒した諫山先生と四人姉妹を筆頭に、男子副会長、書記、水谷先生と続いた。その他にもモンスター襲撃の際に勇気を持って固有スキルを使った数名が人間を捨てている。


 木と風の女神となり、緑と白を混ぜた色の後頭部下で一回縛っている長髪と開いているかも怪しい糸目の瞳に変化していて、美夜が妖艶、夏代が熱血ならこの人は包容力。姉として一番なのはこの人だろう。運動は苦手だが魔力関係の伸びが良い。教師二人とは違い完全な魔法使いタイプではなく反射神経の伸びも良い。

 生徒会女子副会長、母屋響。スタイルはほぼ変わらない四人だが、ヒップが一番大きいらしい。物腰柔らかで、一番肌が柔らかいと言われている。


 剣の女神となり、銀の長いポニーテールと瞳に変化したのだが、以前に増して刃のような雰囲気を纏っている。諫山先生同様カッコ良いと称されるが、意味合いは少し違う。幼い頃から剣道を学んでいるため強い。男にもモテるが女にもモテる。

 風紀委員長、母屋奏。スタイルはほぼ変わらない四人なので、もちろん抜群ではある。夏代同様運動をしているため引き締まっている。ただ夏代がムチッとしているのに対し、胸以外の無駄な肉を落としたような細くしなやかな四肢をしている。


 二回目以降の戦闘で覚醒した雷を自在に操るスキル『電竜迅雷』を持つ男子副会長、御宮優輝(ゆうき)。顔特上、運動神経抜群、器用で成績優秀、初期ステータスもオール3と平均的に高い。覚醒後は黄色の髪と瞳になった(金との見分け方は輝きの違いだ)。雷の神と言う種族なのできっと女神と同等の力を持っていると思われる。……余談だが、土が居ないかと聞かれ「遠距離攻撃及び魔法が使える者」で最後まで残っていた俺に視線が向けられるが、俺は「……『電竜迅雷』には及ばない、麻痺や磁力や電熱を使えるショボい雷ですよ」と答えておいた。特に嘘はついていない。ただ普通の雷よりも強い雷撃を起こせると言うことを隠しただけだ。俺としては言った方が目玉として便利だと思ったからな。


 二回目以降の戦闘で覚醒した氷を自在に操るスキル『凍雪女神』を持つ書記、白咲雪音(ゆきね)。女子では背の高い四人には身長もスタイルも及ばないが、その誰にでも優しい性格で小学生の頃は俺も姉(づて)に知り合って遊んだ覚えがある。美夜と仲が良いため一緒に合気道をやっていた。元々人間離れした美人の四人に匹敵する可愛さを持っている。覚醒したことで氷の女神となり透き通った水色の髪と瞳になった。髪は顎ぐらいまでで左側の前髪一房を白いリボンで括っている。


 二回目以降の戦闘で覚醒した水を自在に操り回復なども出来るスキル『慈水女神』を持つ養護教諭、水谷涼羅。ポヤポヤした雰囲気でいつでも徹底した間延び口調。天然なのか狙っているのか、その凄まじい胸の谷間を見せるため一時期保健室に仮病の男子生徒が殺到し、その結果男子は発熱している場合のみ保健室使用を認めると言うルールが出来た。勿論怪我などは別だが。……そのせいで俺の保健室サボりが出来なくなってしまったのだが。覚醒したことで水と癒の女神となり青い長髪と瞳に変化した。


 女神は全員スタイルが、と言うか胸が大きくなったようなので、胸がキツいと文句を言っていたが。


 他にも覚醒した者は居る。

 例えば『霊魂』のスキルを持ち青白い火の玉を自在に操ることが出来るヤツが居るんだが、そいつは霊師と言う職業と墓守はかもりと言う種族を手に入れていた。『霊魂』の火の玉は、色の関係かそれとも幽霊が冷たいからか、凍らせることが出来る。それに加え青い火だからか普通の火よりも強い威力で燃やすことが出来る。

 例えば『石化付加』のスキルを持ち全ての攻撃(物理魔法(いと)わず)に石化の効果が付与されると言うのを持つヤツが居るんだが、そいつは石化師と言う職業と石人族(石を司る種族らしい)と言う種族を手に入れていた。『石化付加』は殴っても剣でつついても魔法で攻撃しても相手が石化すると言うチートスキルだ。だがその石化範囲は攻撃した箇所の半径五センチ程度らしい。どこぞの“海賊女帝”の技と同じような感じだとか。だが残念ながら“女帝”のように絶世の美女ではなく比較的普通の女子だったが。


 そうやって自分の才能を開花させていく中には、赤崎達は居ないが、妙に自信があるようでずっと苛立たしげだがニヤニヤとした笑みは崩さない。……勿論スキル内容は赤崎以外分かっていない。ってかスキルの効果を堂々と読み上げるとかただのバカだろ。対策を練れと言っているようなもんだ。まあその対策がないと思っているからの行動なんだろうが。俺はもう攻略出来たし。

 と言うかさ、赤崎達ってレベル上げしてないよな? どれくらいレベルアップでステータスが上昇するかは個人差があるが、1でもレベルが上がればレベル1のヤツとは大きく差が出る。最初はオール1だったほとんどのクラスメイトも覚醒することで戦士寄りか魔法使い寄りか決まってきている。覚醒した種族の中で多いのは魔法使いよりにステータスが上がっていくエルフだ。髪と瞳の色はバラバラに変わっていくが、耳が尖って人間より整った顔になる。

 つまり何が言いたいかと言うと、赤崎達が変わらずレベル1だとすれば、俺の思い付いた攻略法なら誰でも倒せると言うことになる。……恋は盲目と言うが、まさか一見最強のスキルを見ても盲目になるのか。冷静に考えれば誰にでも分かることなんだが。


 何故今覚醒に至ったヤツを挙げているかと言うと、それは勿論諫山先生が編成している探索隊の主なメンバーがその辺の覚醒したヤツだからだ。主戦力の女神と神は八人居るので四人がここに残り、二人と二人に分けて探索隊二つを指揮するようにしている。最初の探索隊は四人姉妹だ。

 その他には覚醒した生徒三人、覚醒していないが戦闘でスキルを使うことで覚醒出来ると思われるスキルを持つ生徒四人、回復が使える生徒一人。

 戦闘で覚醒出来ると思われるが覚悟がない生徒は多く、未だ教室でくすぶっている。……因みに俺もその中の一人。


 それともう一つ重要なことが。スキルについては実験が進められ、経験値の入り方が判明した。

 スキルの経験値が入るのはそのスキルを使って戦った時。レベルの経験値は相手を殺さないと手に入らないが、スキルの経験値は相手を倒さなくても増えていく。例えば最初にここを襲ったモンスターとの戦闘であれば、スキル経験値を一番多く貰ったのは、全員――つまり全員同じ数値だった。「……私はずっと使ってたのに、不平等ね」とは闇の蔓でずっとモンスターの動きを封じていた美夜の言葉である。その数値は使った回数である1。その後のモンスターとの戦闘で分かったことだが、攻撃した回数で異なるらしい。この場合は攻撃した三人もずっと動きを封じていた美夜も同じ回数しか使っていないから全員が1だったらしい。因みに二属性を使ってトドメを刺していた響だが、他のスキルよりも威力が高いのでオーバーキルと言うヤツだ。オーバーキルは経験値に加算されないらしい。二属性を使っても2ではなく1だったが。もしあれが葉の刃を混ぜた竜巻ではなく竜巻と葉の刃だったなら2かもしれないが。


 更にちょっと追加だが、諫山先生は時関係のスキルを使うことで時と光の女神となった。……残念ながら水谷先生の水と癒の女神と同じく特に変化はなかった。強いて言えば更にスタイルが良くなったかもしれない。女神と言うのは余程胸がでかいんだろう。女神度が増す程に大きくなっていくようだ。


「よし。これから探索隊二つによる周辺探索を行う」


 諫山先生がバランス良く編成を終えて言い、探索隊一班十名、二班十名の構成で教室を出ていった。


 結果から言えば、収穫はあった。周囲に生えている木々の中に木の実があるモノがあり、それらを収穫してきたのだ。……肉や魚がないと取れない栄養もあるためか、不満もあったが川なし動物居ないのこの状況では贅沢は言えないかと、やけに酸っぱく小さな黒い木の実を五個ずつ口にした。


 それから流石に疲れた一同は、睡眠を取ることにしたのだった。女子と男子は分かれていくつかのグループになって身を寄せ合うようにして寝転がる。その中でも何人かを見張りとして起きているように命じ、まぶたが開かなくなった時点で他のヤツを起こして交代、と言う雑な制度を取っている。

 四人姉妹は四人で固まり、一人ずつ見張りをしていくようだ。


 俺は机に突っ伏して寝ることにする。俺の特技の一つである、どんな時どんな場所でも熟睡出来ると言うのを発揮して心地良くはないが眠りに落ちる。

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