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伝達と方針

サブタイは思いつかなかっただけです


できれば二月中に上げたかった話ですね

毎日更新は難しいもので、まぁ数日おきぐらいに考えていただけると幸いです(もちろん頑張りますが

 恐る恐るではあったがなんとか無事に長い螺旋階段を下り終えた後、下で待機していた五人に時元の女神アルディと話し合った結果を伝える。


「山賊退治、ですか……」


 女子の一人が不安げな顔でそう繰り返した。


「そうだ。私達では初めての対人戦ということになる。そして目的は殲滅だ。この意味はわかるだろう?」


 諌山さんが周りを見渡すと、ごくりと唾を飲み込む音が聞こえた。


「つまり今回の一件に参加した場合、人を殺すことになる」


 わかっているだろうが、改めて言葉にする。その重さを再認識させるつもりだろう。


「今回は決も取らず私の独断で受けたことだ。もちろん受けなくとも構わない。というより、山賊退治に関しては私一人で行こうと思っている」


 初耳だったので、私達含め全員が驚いた。水谷さんも驚いているようなので、本当に誰にもわかっていなかったということになる。


「危険じゃないんですか?」


 実際に話を聞いていた男子が言うも、


「問題ない。もちろん勝算あってのことだ」


 取り合わない。


「私がついていかなくてもいいのぉ?」


 念のためか水谷さんも言うが、首を左右に振った。


「問題ないと言っているだろう。その理由を、涼羅はわかっているはずだが?」


 諌山さんが不敵な笑みを浮かべる。二人の間だけで通じる文言だろうが、水谷さんは少し困ったように肩を竦めた。


「諌山さんが手を汚すなら俺だって」


 そう言って一人の男子が手を挙げる。続いて「お、俺も」ともう一人が手を挙げ、その後も男女問わず挙手していった。彼女が男女問わず人気ある所以の状況だ。


「お前達……。気持ちは嬉しいが、そういうのはいざという時に取っておけ。今回はいい。私一人の方が色々と都合のいいこともあるからな」


 諌山さんは困ったように笑うが、やんわりと断わった。今まで信頼を築いてきたこともあり、皆は大人しく引き下がる。


「静香ちゃんがそう言うならしょうがないねぇ」


 水谷さんが退いたので、他の皆もなにも言えなくなっていた。私も諌山さんが大丈夫と言うのなら大丈夫だと思っている。


「すまない、迷惑をかけるな」


 諌山さんは皆にそう言ってこの話を打ち切り、今後の話に移っていく。


「さて、私は山賊退治に行く準備をしてから、遅くとも数日後には決行する予定だが。お前達はどうする?」


 もう彼女が私達にどうすればいいなどと指示することもなくなった状態では初めての状況かもしれない。


「私達五人は資金を集めつつ一通りの武器を揃えようかと思っています」


 先んじて私からここでの予定を告げた。奏は刀を入手したいと言っているものの、やはり私達もなにか武器を持っていた方がいいという結論に至った結果だ。

 シャフルールは魔導具という魔法を組み込んで造られた道具や服を創造することは得意だが、武器に関しては不得手だそうだ。

 資金集めに関しては身分の定かでない私達であれば冒険者という職業が適しているらしい。きちんとした家の出なら騎士や文官という道もあるそうだが。


「そうか。他の者もゆっくり身体を休めるなり街を見て回るなりするといい」


 諌山さんは他から予定が挙がらないと見るや話を進める。


「街を出発する時集合できないと困るからな、ひとまず同じ宿に泊まることにしよう」


 言うが早いか、さっさと扉を開けて時計塔から出ていってしまう。

 私達も馬車を連れ立ってその後に続いた。


 諌山さんは颯爽と歩を進めると、一つの宿屋に立ち寄る。足取りに迷いがなかったので、時計塔に向かう途中で良さそうな宿に目星をつけていたらしい。抜け目のない人だ。


「部屋は二人から三人で使うそうだ。その通りに分かれてくれ」


 この世界での貨幣価値なども勉強済みで、シャフルールから当面の資金も貰っている。その代わりに異世界の知識を提供するという条件だった。


 私は響と雪音と同じ部屋にした。奏と夏代が二人で同じ部屋なので、もし私達で相談をすることになっても部屋を気にする必要はなさそうだ。


 大体想定通りに部屋が分かれて、合計六部屋借りることになった。


「では、これから数日は自由行動とする。この先から別行動したいということでも構わないが、一言告げてから別れるようにすること」


 最低限の報告はするようにとだけ告げて、解散となる。


 私達はひとまず資金集めのために冒険者登録をしに向かった。姉妹と雪音の五人だ。

 登録するには冒険者ギルドという場所へ行かなければならない。


 街の人に道を尋ねて十五分ほど歩いた場所にあり、登録をしたいと受付の人に告げるとその後はスムーズにことが進んだ。一通りのことは文献で知っていたので、冒険者についての説明を省いたこともあるだろう。

 冒険者にはランクという階級制度があり、上位の者になると国単位で権力を持つほどになると言われているようだ。


 私達五人は別々に依頼を受けて、魔物討伐を何回か行って一日の内にランクを二つほど上げながら過ごした。

 ランクの低い冒険者が受けられる依頼ではそこまで充実した武器を揃えられないので、とりあえずランク上げを優先的に行った結果だ。

 初心者のG級からは上がりやすいとはいえ、これだけ易々と上がっていくのは珍しいという話を聞いた。女神ということは今は伏せるようにしているので、一応魔物の討伐経験があるとだけ答えている。


 そうして三日過ごした後、遂に諌山さんが出立することになった。


 この街に来てから四日目の朝、私達は諌山さんを宿の前で見送る。

 結局彼女と水谷さんの二人がこの三日でなにを準備していたのかはわからないが、勝算があるのだろう。見た感じ装備は変わっていないようだ。武器も結局購入していないようだし、冒険者登録もしていなかった。


 ともあれ、本人が大丈夫というのだから問題ないのだろう。


「では行ってくる。涼羅、そっちは頼んだぞ」

「うん~、行ってらっしゃいぃ」


 いつものように堂々とした振る舞いで、諌山さんはコートを翻し歩いていく。水谷さんになにかを頼んでいたが、おそらく私達のことだろう。いや、もう教師ではないと言っていたからには別件だろうか。

 真意はわからなかったが、私達には関係のないことかもしれない。ひとまず頭の片隅に置いておく程度でいいだろう。


 何人かがその黒い襟のあるロングコートの背中に「頑張ってください」と声援を送っていた。


 諌山さんがいないからといって今日もあまり行動については変わらない。ここ三日の通り冒険者として依頼をこなし、資金を稼ぐだけだ。


「それじゃ~また自由行動だねぇ」


 水谷さんがそう告げたことが区切りがつき、各々の予定通りに行動していった。

さて、次回は諌山さん視点、山賊退治になります

できれば区切りたかったのはこういう理由です、もったいぶるためですね


久々にちゃんとバトルしますよ(笑)


それは置いておいて、最近他の作品を更新してないのでしばらく間があくかもしれません

なかなか話が進まず申し訳ないです

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