イルデニアへ
毎日更新、全然できてなくてすみません
三日更新ぐらいで構えていただけると多分いいんじゃないかと思います
この作品は、二月中はとりあえずこれ含めてあと二話確定といったところですかね
あとは気分次第(笑)
遅くなりましたが、特に長いということもなく短いです
そろそろ毎日一話に戻せるといいな……
私達が神都への旅路を進んでいく中、モンスターの襲撃はそこまで脅威ではなくなっていた。
全員レベルが上がっており、しかも襲撃前から察知して待ち構えているのだ。
それにどうやらこの辺りのモンスターは最初にいた場所で遭遇したモンスターと違ってとても弱い。
女神の固有スキルを持つ私達ほど自由度がなくてもあっさりと倒せる強さだった。
要するに、一週間経った今でも特に困難なく進んでいるということだ。
むしろ順調すぎるくらいだ。
初期の一般人と同じくらいだったステータスが跳ね上がっているせいか、一日中歩き続けてもそこまで疲れることはなかった。
諌山さんは「モンスターに休みなく襲撃される事態になった時、疲労で動けないようなことでは困る」と言ってこまめに休憩を取らせている。
確かに疲労はなくても眠気はあるので休憩は有り難いのだが。
ちなみに道中「諌山先生」と呼んだらもう先生ではないからやめてくれと言われ、今はさんづけで呼んでいる。夏代や響、雪音は静香さんと呼んでいるが、私はあまり名前で呼ぶ感覚がない。少し他人行儀な気もするが、慣れたら名前で呼ぼうかと思っていた。
さて、神都に向かっている私達だが、いくら元の世界より格段に強くなっているとはいえ疲れもするし腹が減りもする。
そのため道中いくつかの街に寄っていく予定だった。
シャフルールの創った空間から出たの地点と、彼と出会った街はそう変わらない場所にある。
サービスで街から少し進んだ先に出させてもらったが、まぁそこまで変わりはなかった。
一日三回、食事のために休憩を取るくらいで寝ずに進んでいる。
ほとんど歩き続けたまま一週間が経過しているので、地図を持っていない私達にはわからないが諌山さんにはどれほど早く進んでいるかがわかっているのだろう。
現代の日本ほど整備された道でもないのに大きな疲れもなく、体調を崩す者も出なかった。シャフルールの空間にいる時もきちんと身体を動かしレベルを上げていた者を選出しているからかもしれない。
「まさか、一週間も徹夜できるとはな。元の世界でもこれくらいの力が欲しかったものだ」
見晴らしのいい丘に辿り着き、諌山さんが苦笑する。
「医療の知識があんまり役に立たないのは残念だけどねぇ」
この世界には魔法がある。元の世界では全治何ヶ月とかかる大きな怪我が、水谷さんのヒール一発で治ってしまうのだ。ただ、神とつく回復魔法の使い手であっても、生物の蘇生はできないようだ。どんな古い文献にも生物の蘇生に成功した例はなく、実際に水谷さんも習得していない。
私も二人に続いて丘の先の景色を見下ろし、二人が若干気を緩ませた理由を察した。
街が見える。
異世界の街を見たのは二度目だが、こうして一望すると文化の違いがよくわかった。この世界には電車などの公共交通機関がなく、道もコンクリートではなく石畳のようだ。建物はここから見てわかるところで言うと、現代の一軒家のようなモノはない。大きな家だと屋敷のようなモノが見えるものの、木で出来ていたりレンガで出来ていたりと私達日本人にはあまり馴染みない光景かもしれない。
住んでいる場所にもよるだろうが。
なにより街の四方を高い壁が覆っている。前に見た街も同じだが、この世界にはモンスターがいるからだろう。
「大きな時計塔を見ればわかるが、あの街がイルデニア。世界で初めて時計を創り出したとされる。時計職人の街でもあるそうだ。そして――時元の女神がいる場所でもある」
諌山さんが旅に出る前に説明してくれた通り、簡潔に街の概要を教えてくれた。
私達が旅をするにあたって、目的はいくつか存在する。
一つは、エンシェントエルフの古巫女が受けた神託に関わりのありそうな灰人の現状を把握すること。
一つは、シャフルールも知らなかった神託の内の残り九節を知るためにエンシェントエルフの集落へと向かうこと。
一つは、この世界での後ろ盾を得るため神都へ向かうこと。
そして、残る女神と面識を持っておくこと。
この四つだった。他にも個人的な目的はあるだろうが、少なくとも必要最低限の目的はこれらのはずだ。
シャフルールから他の女神が滞在している街はわかっている限りで教えてもらった。他にも旅をしている女神や所在不明の女神、さらにはまだ見つかっていない女神もいるという。全ての女神が一同に揃うことなど本当にあるのか不安になってくる。
兎も角、まずは一番近くにいて神都の途中に所在地があるという時と次元の女神、合わせて時元の女神のいるこの街で一時の休息を取ることにしていた。
諌山さんも時の女神ではあるが、どうやら本来司るモノ一つに一人の女神という法則があるのに対し二つ司る女神に関しては力が分散されることもあるようだ。
諌山さんの時光の女神は光を司ることに加え、他の時を司る女神のようだ。自由度が高い女神のスキルのはずなのに、どうしても自身の動きを加速させるなど自分の時を操ることはできなかった。
つまり時元の女神の力を予測すると、次元を操ることに加え自らの時を操ることのできる女神ということになる。
諌山さんとその女神は通常の女神の一人半分の力を持っているということになる。
ちなみに風と木を司る森嵐の女神である響と回復と水を司る慈水の女神たる水谷さんは今のところ制限がない。もしかしたら女神の中でもかなりの力を持っているのではないかと予想される。
「では行こうか、異世界では初めて入る街だ。短い期間になるだろうが、存分に楽しむといい」
諌山さんはそう言って、再び街へ向かって歩き出す。私達や馬車もそれに続き、時計の街イルデニアへと向かった。
次回、新女神登場
イルデニアでの話はそこまで長くならない予定です