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世界の現状

遅くなりました、すみません


一ヶ月ギリギリ経たなかった感じですかね


あと最初に言っておきます


空魔の女神、その真実は次話ですすみませんm(._.)m

「……空魔の、女神……?」


 シャフルールと名乗った中性的な青年は、自らを女神だと教えてくれた。しかし誰かが呆然と呟いたように、全員の頭には「?」が浮かんでいた。……だって「青年」だし。「女性」じゃないのよ? 「女」神なのに「男」っていうのは、違和感を隠し切れない。

 オネェなのだろうか。それか女装が趣味だとか。


「……あまり変な想像はしないでね? ボクだって繊細な『人』なんだから」


 シャフルールはある程度どう思われるか分かっているらしく、そう言って苦笑を浮かべた。


「それで、“賢者”様は私達に何の情報をくれる?」


 疑心暗鬼の視線の中、諌山先生はんんっ、と咳払いして空気を整えた。シャフルールは方向修正が行われてホッとした顔をし、元通り柔和な笑みを携えて語り出す。


「まずこの世界に、普通では考えられない程の難易度を誇る、ダンジョンが現れた」


 シャフルールは右手を掲げて人差し指を立てる。


「次に、異世界人が召喚された。そして、君達が召喚された」


 シャフルールは、三本の指を立てる。……えっ? 何で、異世界人と私達の召喚が別々になってるの? 私達もこの世界からしてみれば異世界人で、一緒くたにしてもいいハズなのに……。


「まあ、紛らわしい言い方だけど。異なる世界から、一回ずつ召喚が行われたっていう事だよ」


 驚きが表情に出ていたのだろう、シャフルールは苦笑を深めた。……何だ。異世界召喚が二度行われてたって事ね。けど、何でそこまで異世界人を召喚する必要があるんだろうか。一度に召喚してもいいだろうし、二回に分ける必要性が見つからない。


「最初の一回は、勇者召喚だったんだけどね。つまり、人間って言うと語弊があるから人類って言うけど。人類は超高難易度ダンジョンの出現に対して、対処する方法がなかなか見つからないと見ると、直ぐ他の者に責任を押し付けた。何て身勝手な事かと思うけどね」


 まあ、仕方がなかったんだよ。

 シャフルールは本気で憂いているようだった。それ程そのダンジョンとやらは理不尽な難易度を誇っているのだろう。


「勇者一行は、君達と比べると少ないよ。人間の勇者に、エルフの魔法使い。ドワーフの戦士に、天使の僧侶。ホビットの盗賊。鬼人族の武闘家。シスフェティナの法術使い」


 どうやらその勇者一行は、私達と同じような人間だけの世界から来た訳ではないらしい。様々な、聞いた事もない種族も居るようなファンタジーな世界のようだ。


「……シスフェティナとは何の種族だ? 聞いた事のない種族だな。この世界にもある種族なのか?」


 色々と詳しいらしい諌山先生が、法術使い(?)の種族について、シャフルールに尋ねた。……私が知ってたのはエルフ、ドワーフ、天使、ホビットね。鬼人族も一応ここに居るから知ってはいるけど。そう考えると聞いた事も見た事もないのは、シスフェティナという名の種族となる。


「この世界にはない種族だよ。まあ、現在は一人居たとも言えるけどね。勇者一行の選ばれし者を聞けば分かると思うけど、特殊な職業もなくかなりの強さだったよ。まあそれでもダメだったから君達が居る訳なんだけど。種族も特殊じゃなかった。つまり天才の集まりだった、と言えるね」


 シャフルールは事もなげに告げてくる。……つまりこの世界には、条件設定を付けているのかは兎も角、「勇者」を筆頭とした天才達を召喚する魔法か何かがある訳ね。それなのに、一般の高校生四十人以上が召喚されたのはおかしな話だと思う。しかも、その天才達が無理だった事の対処法として。何故私達が召喚されたのか、そこがまだイマイチ分からなかった。


「シスフェティナは元の世界でも珍しい種族だったみたいで、当時法術は彼女しか使えなかった。でも昨今の魔法技術は昨日の不可能は今日の可能、になってるからね。日進月歩の発展を遂げてる事だし、今はもう認知された魔法の違う形態の一種としてあるけどね」


 長くなりそうなウンチクは、諌山先生の鋭い視線によって途中で萎んでいった。余程話したかったのだろう、少し残念そうに肩を落としていた。


「法術使いだった彼女は、法術の秘術を行使した。それが種族転生。君達が体験した、それだよ」


「「「っ!」」」


 思わぬところから、自分達のところに繋がっていた。これには諌山先生も目を見開いて驚いている。……という事はつまり、その「彼女」とやらが私達を召喚した張本人という事に――。


「まあ、彼女は自分を種族転生させただけで、君達には関係ないんだけどね」


 ガクッ。

 それを聞いて私達のほとんどがガクッと肩を落とした。……き、気が抜けそうになったわ。この人、わざと私達を翻弄するような事を言ってるんじゃないでしょうね。


「じゃあ、とりあえずゆっくりしていってよ。緊張も解れたみたいだし、ここには衣食住を揃えられる空間があるからね。いきなりこんな世界に連れてこられて混乱してると思うし、これからどうするかは落ち着いてから決めればいいよ」


 シャフルールは底の見えない柔和な笑みで告げてくる。……私がそう思った次にはこのセリフ。ホントにこの人に精神をコントロールされてるんじゃないかって思う程だった。

 とりあえず、今の私達には情報が必要で、今のところ頼れるのはこの人しか居ない。しばらく滞在するのは吝かではないが。というか、何故青年が空魔の女神なのかを聞いていない。まずはこの世界の現状と私達の召喚についての関連性を示唆したかったのだろう。しかし上手くはぐらかされたように思う。

 まあ、今は置いておこう。どうせ尋ねたところで上手くかわされるだけだ。他の人の種族説明を見る限り、長寿な種族も多いようだし。見た目は青年だが、実年齢は何百年を超えてる可能性だってある。それなら生まれて十五年と少しの私達や、少し大人の先生二人がいい様に翻弄されるのも仕方がないだろう。

 一応警戒はしておいて、今は素直に従うのが上策そうだった。

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