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シオナス討伐戦

一応本日三話目です


修正も書き溜めて自分で読み返すより、皆さんに読んでもらった方が指摘していただいて、修正しやすいかなと思いましたので


とりあえず今日で二章完結させます

GW、たまの休みぐらいは息抜きするのもいいですよ(^-^)

 色気のある大人の姿に変身したキルヒは妖しい笑みを浮かべてグッと全身に力を込めた。俺は全身の血を再生してゆっくりと起き上がる。……全身の血が抜かれる感覚。こんなモノ一生味わいたくないな。ってか俺だからこそ生き残った訳で。常人ならもう死んでるだろう。


「吸血弾」


 キルヒが呟くと、灰色の弾が無数にシオナスへと飛んでいく。シオナスは十騎士と俺の無事を確認してホッとしてから加わったエリオナの対処に追われていて、避けられない。

 吸血弾と言うらしいそれらは、シオナスに当たった途端に消え、当たった部位の血が吸われたように枯れる。


「…手ふむ。流石に上位のモンスターだけはあって美味い血をしておるのう。じゃがカイトの最高級ミックスジュースのような濃厚でしかしさっぱりとして味わい深い血には劣るのう」


 ペロリと舌舐めずりをするキルヒ。……そんな評価を受けても全く嬉しくない。またせがまれたら厄介だからな。ほぼ無限に血を作り出せるとは言え、あまり心地良いモノではない。


 身体の所々が枯れてバランスを崩すシオナス。

 そこを襲う十騎士とエリオナ、新旧含めSSS級冒険者四人による一斉攻撃。流石のシオナスもダメージを受け、倒れる。


「……流石に強いな」


 俺は素直に感心していた。……そろそろ俺も経験値のために、戦うとするか。エリオナに本気を出す許可を貰ったことだしな。


「……喰らえ、黒蟲」


 ぎちぎちぎちぎち。赤い目をした黒い蟲の群れが俺の身体から溢れ出てシオナスの身体を食い破る。


「なっ!?」


 誰かが何かに気付いたようだが、今は無視だ。


「……捻り潰せ、黒阿修羅」


 新たに、ギシュラキと戦った後で思い付いた黒い阿修羅を三体生み出して、シオナスを襲う。


「……噛み切れ、黒獅子」


 赤い目をした黒い獅子を五体出現させる。


「……喰らい尽くせ、黒龍」


 同じく赤い目をした黒い龍を出現させる。


 それらが一斉に、シオナスに襲いかかった。シオナスは回避か迎撃を選択するが、十騎士や冒険者達に動きを阻まれてそれらをまともに受けてしまう。黒蟲が皮と肉を食い破って中に侵入し、体内から喰らう。外からは阿修羅と獅子と龍による攻撃が襲い、シオナスはグラリとよろめいた。


「……流石にこれならいけるか」


 種族スキル『黒皇帝』。最強の種族らしい黒帝の固有スキルだけあって、シオナスにも通用するようだ。

 俺は更に追撃を行うため、『黒皇帝』を体内に取り込み浅黒い肌となり、『鬼神』の赤黒いオーラを纏い、『赤脈』で赤い回路のような筋を走らせ、十階層のボスが持っていた『巨躯怪神』と言うステータスを大幅に上昇させるスキルを使用し、身体強化を行う。


「……」


 俺はタン、と地面を蹴ってシオナスに大きく跳躍して近付き、背中にフェザードラゴンの翼をシャツに穴を開けて生やすと、空中でそのまま加速し、シオナスの顔面を右手で掴む。超人的なステタースを持つ俺の強化された握力で掴まれたシオナスは痛いのか呻き俺を排除しようと爪を振るう。だがそれを他の人達が遮ってくれて、俺は予定通りに行動出来た。

 ただフルパワーで、シオナスをぶん投げる。ドォンと壁に叩き付けてやった。そのまま飛翔して突っ込み、『絶対防御』を纏わせた足でシオナスの腹に飛び蹴りを放つと、ベゴォ! と大きく窪んで吐血してしまった。丁度良いので『破砕』を左拳に纏わせ、殴って右胸に大きく風穴を開けてやった。


「……あまり気乗りはしないが」


 俺は言って『黒皇帝』で『紫電』を強化した黒いモノを纏う『紫電』をシオナスに向けて放つ。

 気乗りしないと言ったのは、スキルのことだ。まだシオナスはスキルを使っていない。それで殺して変なスキルでも手に入れたら大変だからな。


「ウゴアアアアアァァァァァァァァァ!!!」


 だがダメージを受けたシオナスは咆哮して黒い『紫電』を掻き消すと、白に近い青白い炎のようなオーラを全身に纏った。……恐らく危機に瀕すと使う強化スキル。


「カッ!」


 シオナスは身体の上にいる俺を見据え、口から青白い熱線を放ってきた。


「……っ!」


 俺からすれば太い熱線は俺の上半身を丸ごと消し飛ばし、下半身と顔と両腕を衝撃で吹き飛ばしてきた。


「「「……っ!?」」」


 完全に死にかけた、と言うか死んだと思われるダメージを受けた俺に、全員が目を見開く。……それを俺はクルクルと吹き飛んだ生首で見渡した。

 かなりマズい状態ではあるが、ドチャッと地面に四パーツがまとまって墜落し、良かったとも言える。


「カイト!」


 エリオナが悲痛な叫びを上げ、シオナスに向かっていくが、青白い炎のようなオーラは属性攻撃に分類されるのかエリオナの身体を左腕の薙ぎ払いで吹き飛ばした。

 十騎士が次々と強化されたシオナスに吹き飛ばされて壁に叩き付けられていく。


「『八聖獣』っ……!」


 リディネラが全ての力を解放して挑むが、十回殴り合ったものの吹き飛ばされて壁に叩き付けられてしまう。


「ちょっと、ヤバいよね~」


 ルーリエが冷や汗を滲ませた表情で言い、力負けして吹き飛んでいく。


「儂より若い癖に……っ!」


 見当外れなことを言いつつキルヒが薙ぎ払われて吹き飛び壁に叩き付けられる。


(……たおす)


 フーアがやる気を出して(……ふぇざーいらぷしょん)と言うらしい羽根の吹雪を放つが、青白い熱線に押し負けて、展開した魔力障壁で威力を弱めるも受けて吹き飛んでいく。……ダメージを軽減したので、死んではいないハズだ。


「有り得ないでしょ……っ!」


 フィシルが失笑を浮かべて言うが、青白い熱線を放たれてそれの防御に失敗し、死んではいないものの吹き飛んでしまう。

 この国でも最強と言われる十七人が、一撃で沈む攻撃力を誇っており、壊滅状態に陥っていた。既に十騎士とエリオナの奥義も解除され、冒険者達もフーアも瀕死の状態。


「オオオオォォォォォォォ!!」


 精鋭を壊滅させたシオナスは悠然と咆哮し、


「オ――」


「「「っ!?」」」


 壁に届く程伸ばされた剣によって、頭から真っ二つに切り裂かれた。


「……お前のスキルは、使えそうだな」


 胴体と一緒に服が吹き飛んでしまい上半身は裸だが、全く傷を残さず身体を作り直した俺は、シャリンとトリニティ・トライデントの刃を元の長さに戻して呟いた。


「……か、カイト……なのか? 死んだのでは……」


「……再生能力を持たずに敵へ不用意に近付くバカはいないだろ」


 俺は驚いき呆然としたような、信じられないモノを見たかのようなエリオナに告げる。……正確に言えば再生ではなく作り直しなのだが、そこまでは言わなくても良いだろう。


「そ、そうか。それならそうと言ってくれれば良かったではないか。味方の死は動揺を招くのだぞ」


 エリオナはホッと息を吐いてから、少し厳しい視線を向けてきて――すぐに逸らす。……こんな時でも視線を逸らしたくなる程醜い顔なのか、俺は。


(……とてとて、きゅっ。すりすり)


 少し自分の顔に対する反応に疲労を覚えそうになった俺に、フーアが近付いてきて抱き着いてきた。例によって自分で擬音を『送信』しながら、だ。どうやら心配してくれたようだ。涙目になって抱き着き、俺の胸元で頬擦りしてきた。


「……兎に角、これで二十階層まで突破したな。カイトはSSS級で良いな?」


 ギルドマスターのリディネラが言葉にして全員を見渡すと、一部を除いて頷いた。どうやら実力が認められたらしい。


「まさか、黒帝だなんて思わなかったけど」


 フィシルが肩を竦めて言うと、何人かがピクリと反応した。……闇の十騎士であるウルティアは全く分からないが。その辺りで少し気が合うかもしれなかった。普段は顔を髪で隠す俺と、兜で顔全体を隠すウルティア。ある意味では似た者同士と言える。ただ、それが共通しているだけなんだが。


「ああ。だがしばらくは内密にしておいた方が良いだろう。白皇に感付かれても面倒だ。とりあえず、ご苦労様だな。カイト、吹っ飛んだ服の代わりに出現したアイテムを受け取ってくれ。すまんが今回の報酬の一部にしてもらうが」


「……良いのか?」


 リディネラがこの部屋にトリニティ・トライデントの時と同じように出現している蒼色のコートを見て言ってくるが、正直こう言う団体でクリアしたのだから誰か欲しいヤツにあげれば良いと思う。だから聞き返した。


「ああ。カイトなら良いだろう。じゃあ戻るぞ、皆。アイテム確認と剥ぎ取り、回復を終えたらここを脱出する」


 リディネラが言って、今回の精鋭十七人による超高難易度ダンジョンの調査は終わったのだった。

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