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フェザードラゴンの娘

……の会話不自然や姉は兎も角主人公のキャラぶれが指摘されたので、GWは修正期間にしようかと思っています


姉視点の三章はそれ以降って感じですね

三章を書き溜めるのもGW中ですが、二章までしか書いてないのでこれから書き始めるところです


更新速度は遅くなります

ただGWまでに二章が終わらなさそうなので、二話連続して指摘を貰い、一気に修正を入れる形になるかと思います


エセ勇の方を読んでいる方は分かると思いますが、「どくどく」と略称を適当につけました

タイトル変更があると使えません

タイトルも色々先を見て変更するかどうかを決めようかと思います

意見があればどうぞ遠慮なく


長々と失礼しました

「「「……」」」


 隠し通路を見つけその左記にあったボス部屋でフェザードラゴンを倒した俺達迷宮探索隊第四班は、フェザードラゴンの卵らしきモノを発見した。


「……良い卵焼きが出来そうだな」


 俺はうむ、と頷いて言った。勿論冗談だ。


「ドラゴンの卵は大味らしいぞ」


 生真面目なエリオナが返してくる。……マジか。


「……それに鼓動が聞こえる。もう直ぐ産まれる」


 リムが淡々とした口調で言った。……俺には鼓動なんて聞こえないんだが。リムが言うならそうなんだろう。と言うかリムも耳が良いのか。いつの間にやらアークタウロスとフェザードラゴンの剥ぎ取り終わってるし。手際が良い。綺麗に肉だけになっている。いや、フェザードラゴンは内臓まで綺麗に分けて、アイテムボックスに収納されていた。

 ……骨や内臓なども売れるのかもしれない。骨がかなり頑丈だとか、内臓にはブレスを吐くための何かを溜める臓器があるとかな。


「産まれる前に殺すか、産まれてから様子を見るか」


 フェザードラゴンの子供だけあって、判断が難しいのかエリオナが顎に手を当てて悩んでいた。


「……孵らせる。独りは可哀想」


 リムがジーッとエリオナを見上げて言った。


「そうだな。だがドラゴンを騎士団で育てる訳にもいかないだろう」


「ギルドも無理だね~」


 エリオナとルーリエが言って、チラリと俺を見てくる。……何だ? まさか俺にドラゴンの子供の面倒を見ろと言うのか。冗談は止めて欲しい。自分のことだけで精一杯だし、俺は何かの面倒を見ると言う性格じゃない。


「……俺に懐けば良いが」


 仕方なく、俺は肩を竦めて了承した。少し条件を付けたのは保険だ。俺が懐かれるとは思えないからな。……だがエリオナとルーリエの二人はしてやったりと言った笑みを浮かべていた。ドラゴンってのが鋭い生物なら、俺がどう言うヤツなのかは感付くだろう。そしたら俺が懐かれることはない。大丈夫だろう。


「……卵を早く孵すには、茹でないギリギリの温度で温めるのが良いと思う」


 リムは俺をジッと見つめてきて言った。……ジッとしていたのは数秒で、あっさり視線を外してしまったのだが。


「……俺には無理だ」


 だが俺は魔力の質のせいで上手くコントロール出来ない。卵を孵す前に懸念する通り茹でてしまうと言うことも考えられる。あるいは消し炭にすると言うことも考えられる。


「では私の光熱によって温めるとしよう。カイト、卵の正面に立っていてくれ」


 そんな俺の心を読み取った、と言う訳ではないだろうがエリオナが言って魔法を展開する。……ライト・ヒートと言う魔法だ。上手くコントロールしているようで、卵を温めすぎないように、ゆっくりと温度を低いところから上昇させて、調節していた。

 卵はゆっくりと温められていき、蒸されることもなくピキリと音を立ててヒビが入った。……どうやら上手く孵るようだ。


「「「……っ」」」


 ピキピキと次々にヒビが入っていき、遂に割れる大きな卵。その中にいたヤツを見て、俺達四人は驚いた。


「……」


 白い羽毛で服のように見えてはいけない部分を覆った、少女だったからだ。……雛だと言う証拠か少しベタベタした液体に覆われていたものの、紛れもない少女だった。それも美少女と言える程で、生まれたてだからなのかあどけない童顔にキョトンとした表情を浮かべている。無口無表情のリムと違って無垢と言う言葉が当て嵌まりそうだ。

 白くスベスベしていそうな柔肌、何者にも染まっていない真っ白な瞳、触り心地抜群そうなフワフワの白いショートカットの髪、小柄でリムより少し大きい程度だがリムよりも確実に大きく形が良い柔らかそうな胸、背中に生えた蝙蝠の翼と同じ形をしているものの全てフワフワの白い羽毛で覆われている翼、尻の上辺りから生えている白い羽毛に包まれた蜥蜴のような細長い尻尾、少し伸びている気がする白い手足の爪、手の甲から肘までと足の甲から膝までと脚の付け根から胸までを臍出しでV字に覆う白いフワフワな羽毛。

 フェザードラゴンの子供と思われる少女だった。


(……きゅっ)


 その娘は俺をジーッと見つめた後、ゆっくり這ってきながら何かの魔法を展開して自分の身体を綺麗にすると、立ち上がって俺にキュッと抱き着いてきた。柔らかな二つの膨らみが俺の腹部に当たる形だ。声には出してないが少なくとも俺の頭には自分で効果音を言うのが聞こえていた。

 三人は目を見開いて驚いてから、少し俺に責めるような視線を向けてきた。……俺のせいじゃないんだが。勝手に抱き着かれただけで責められる言われはない。


「……離れてくれるか?」


 俺は出来るだけ優しい声音になるよう心がけながら問いかける。


(……っ)


 だが少女はビクリと身体を震わせるとフルフルと首を左右に振ってより強く抱き着いてきた。……どうしろと? いや、親が居なくなって心細いのかもしれない。親と言うのはかなり重要な立場だ。俺は両親が昼夜問わず働いていたため、関わりは少なかった。それでも十五年間育ててもらった恩義を感じており、それは返すべきだと思っている。

 恩は自分に関係のないところで返すとしても、恩返しと言うのは普通のことだ。感情のない俺でも育ててもらった恩義を感じるのだから、親と言う存在がどこまでかは個々で異なるとしても、大きいモノである。

 それが居ないのだから、不安に思うのも無理はない、のかもしれない。しかも生後数秒の少女だ。


「……」


 俺はどうしたら良いのかと三人を見るが、ルーリエは怖い微笑みを浮かべていて、エリオナはフンと不機嫌そうにそっぽを向いていて、リムがジトーッと俺を見ていた。……誰も助けてくれる様子がない。


「……どうしたら良い?」


 俺は堪らず三人に声を出して尋ねた。


「お前が面倒を見るのだろう」


「頑張ってね~」


「……私もギュッてする」


 エリオナとルーリエが非協力的で、リムは歩み寄ってこようとして二人に引き止められていた。……チッ。近付いてくれればリムを身代わりに出来たのに。


「……名前は何て言う?」


 俺はとりあえず必要な情報を聞き出そうと尋ねる。少しでも落ち着けば良いかと思って頭を撫でてやる。……俺、弱く見えるらしいから年上と接することが多いんだが。年下に甘えられると言うのは未知の体験でどうすれば良いか分からない。


(……フーア)


 俺をジッと見つめテレパシーか何かで俺にそう伝えてくる。フーアと言うのか。親が先に死んでしまったので名付ける前かと思ったんだが。


(……さいご、こえ、きこえた)


 俺がそう思っていると心を読んだのかフーアが言ってくる。たどたどしい口調だが言いたいことは伝わった。恐らく母親と思われるフェザードラゴンが最期に言葉を残したんだろう。


(……こくっ)


 フーアは俺の推測に頷く。もちろん表面上はジーッと俺を見つめているだけだが。


「……じゃあ手を繋ぐとかでも良いか?」


(…………こくっ)


 俺が聞くとフーアは少し迷っていたようだが頷いてくれる。……なら良かった。事情を説明して三人に機嫌を直してもらわないといけない。


(……ぎゅっ)


 フーアは素早く俺の右側に移動し、ギュッと俺の腕を抱えるようにしてくっ付いた。……手を繋ぐだけで良いかと聞いたんだが。フーアは俺の手を握ってはいるが胸の谷間に俺の二の腕を挟むようにして抱き着いてくる。


(……がーん)


 だが俺が「手を繋ぐだけで良いかと聞いたんだが」と思っているとショックを受けたらしくテレパシーでそう言った。随分と可愛い反応をするな、テレパシーの中だけだが。相変わらず表情はポーッとしたような感じだ。


「……説明する。フェザードラゴンの娘、フーアだ。フーア、そのテレパシーみたいなのを三人にも聞かせることって出来るか?」


 俺は三人の方を向いて言い、フーアに聞く。


(……こくっ)


 フーアはそう言って頷くと、俺と手を繋いでいない右手を三人に向けた。


(……できた)


 フーアはテレパシーで報告してくる。一見何も変わったようには見えないんだが。


「確かに、頭の中に声が聞こえるな。これは一方的に相手に送るだけのようだから、『送信』ではないか?」


 メリオナにもフーアの声が聞こえたのか、そう声に出して聞いた。……ん? それなら何で俺の心が読まれてるんだ?


(……そーしん。ぎゅっ、こころ、よめる)


 フーアはメリオナの言葉に言い、俺の疑問にも答えてくれた。……つまりくっ付いている相手の思考を読めると言うことだろう。『送信』とは別のスキルなのかもしれない。


(……こくっ)


 当たったようだ。フーアはテレパシーで頷いた。


「……フェザードラゴンの娘なら何で人の姿?」


 リムがフーアに尤もな疑問をぶつける。


(……おかあさん、かいと、ぎゅっ、ふーあ、ひと)


 フーアが断片的な情報をくれる。……要約するとフーアの母親がカイト(俺)に抱き着きやすいようにフーアを人の姿にしたってことか。


(……こくこく)


 フーアは俺の推測に頷く。俺もあまり人と話さないからな。断片的な言葉から真意を読み取ることも出来る。それが功を奏したらしい。


「何故カイトに抱き着けるようにする必要があったのだ?」


 メリオナが怒りを滲ませながら尋ねる。……何故怒っているのかは兎も角かなり怖い。三人がかなり怖い。


(……かいと、ふーあ、およめさん)


「「「っ!?」」」


 言ってキュッと俺に抱き着いてくるフーアに、三人が驚いたような顔をしていた。……俺も驚いている。だってまさかドラゴンが人間(今は黒帝だが)を結婚相手にするとは思ってもみなかったのだ。と言うか普通初対面の相手を結婚相手に指定しないだろう。


(……こくてい、すごい、おかあさん、いってた)


 だがフーアは俺の思考を読んだようでそう言った。……つまり黒帝だからドラゴンが結婚相手に認めた、と。だが俺は黒帝ってのがどう言う存在なのかを知らない。だから遠慮してもらえると……。


(……ふぇ)


 そこまで俺が思考を進めていくと、フーアが泣きそうな声を上げた。


(……ふーあ、かいと、すき)


 更には爆弾発言である。

 フーアは俺に抱き着いてきて身体を預けて言った。もちろんフーアの声は三人に聞こえているので、怒り心頭である。

 しかし何故生まれたばかりのフーアが人を好きになるのか。親に対する感情――家族愛のようなモノだろうか。


(……かいと、こころ、きれい)


 フーアが俺の心を読み取ったのか、そう『送信』してくる。……俺の心が綺麗だと? 何を言ってるのか、さっぱりだ。俺は平気で人を殺せるし、今だってフーアが俺に敵意を表せば始末することも、躊躇なく行える。そして何とも思わない。感情を失ったからこそ真っ白と言うことだろうか。何をしようとも、特に思う感情はない。それだけを見ると三大欲求にしか目が向かない、寧ろ欲深いヤツとも言えた。

 そんな俺の心が綺麗だと? 何をバカなことを言っているのか。そもそも何でそんなことが分かる。


(……かいと、ふーあ、よけた)


 フーアが怪訝に思う俺の心を読み取って言ってくる。……フェザードラゴンにトドメを刺した時の話か? だとすれば買い被りすぎだ。横一閃に薙いだら、偶然当たらなかっただけのこと。フェザードラゴンの後ろにあると言っても、距離はある。偶然当たらなかっただけだろう。


(……それに、こころ、きれい。かいと、やさしい)


 フーアは更に続けてくる。……何のことだ。心が綺麗? 俺が優しい? あり得ない。卵を斬らなかったのだって後々に必要だろうと思ったからだ。ドラゴンの卵焼きが食べたかったからに過ぎない。食欲のためだ。俺に優しさなんて存在しない。あるのは自分の都合と三大欲求のみ。


(……ふーあ、かいと、こころ、すき。やさしい、あったかい)


 フーアはスリスリと俺の胸元に擦り寄ってくる。……止めてくれ。俺が優しい訳がない。俺の心が温かい訳がない。俺の心には感情も熱もない。空白があるとさえ思える。

 俺に感情なんてモノは存在しない。俺の心が優しく温かいなんて、虚言だ。欺瞞(ぎまん)欺罔(きぼう)、虚偽、瞞着、虚欺、詐欺。どれでも良い。兎に角真実でないことは確かだった。

 俺が優しい? 心が綺麗だ? 心が温かい? あり得ない。そんなことは、あり得ない。


(……かいと)


 心の声は全て触れているフーアに届いている。不安そうに、少し申し訳なさそうに、俺を見上げてくる。……少し冷静じゃなかったな。少なくともまだ生まれて間もない子供に聞かせることじゃなかったと思う。

 珍しく、熱くなっていたのかもしれなかった。と言っても俺に心はないので、きっちりと否定したかった、程度だろう。終わったことなんて基本的に、どうでも良い。


 その後フーアの発言しか聞いていない三人と、何とかして和解に持ち込んだ俺は、フーアと結婚相手候補、三人と婚約者候補と言うことになってしまった。……何故こうなったのかは、全く分からないが。

 因みにフーアは『心眼』と言うスキルで相手の心を見ることが出来るらしい。このスキルはかなり戦闘でも使える万能スキルだが、俺も持っている。かなり良いスキルだ。心に闇を抱えていれば見えるようだが、俺に関係がなければ問題ない。特に関わることもないだろう。

 使うとすれば、戦闘面か。それでもかなり使えるスキルであることは確かだ。いつか、試してみよう。

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