騎士副団長と十騎士
色々欠陥の多い作品ですが、ありがとうございます
指摘も多く感想返信が大変です(笑)
心配されましたが、きちんと意見は納得して取り入れていきます
言われるまで気付かないと言うこともありますからね
後々掘り下げるので、薄いヒロイン達は濃くなるハズです
実はこの話でもいっぱい出てきます
何人いるかぐらいで覚えていただければと思います
一人ずつ掘り下げエピソードはありますので
タイトルについてですが、蠱毒と友達いない意味でぼっち、戦記はしばらくタグとして書いてないので丸っきりの戦記と言うことではありませんが、正直言って語呂の良さで、決めました
孤独で蠱毒なぼっち戦記
語呂良くないですかね?
ただ孤独と言う部分が詐欺っぽいと指摘されて、思い直しました
似た感じで直すなら
孤高で蠱毒なぼっち戦記
とかになりそうなので、とりあえずこのままで良いと言うのも含めて募集します
タイトルを募集します
お願いします
長々と失礼しました\(__)
光は差し込む日光だけだと言うのに神々しく輝いているように見えるのだから、光の女神と言われても納得出来そうだ。
白銀の金属甲冑に身を包んではいるが、金色のマントがあって派手だ。……俺、こう言う自己主張の強い女は苦手だ。しかもこのギルドに視線を走らせた時に、明らか侮蔑の色が混じっていた。それに気付いたのはリディネラとギルド嬢達だけだったようだが。
「リンデオール王国第一騎士団副団長、エリオナ・シェンスだ。ギルドマスターからの要請により、迷宮攻略のため参上した次第だ」
偉そうな口調だったがきちんと腰を折って礼をして言った。……王国最強の騎士団、か。その副団長を務めるなら最強の中でも屈指なのかもしれない。身に纏う雰囲気も強いヤツが持つそれだ。
「……ああ。この度は要請に応じてもらい感謝する。まさか騎士副団長が十騎士を伴って直々に出向いてくれるとは思わなかったモノでな。こちらの準備が整っていない。少々時間をもらえないだろうか」
リディネラが一瞬「チッ」と言う顔をしていたが、直ぐにギルドマスターの顔になって受け答えする。
「……準備が整っていないとは、どう言うことだろうか?」
エリオナ副団長は頭を上げるとスッと整った切れ目を細めて、リディネラに尋ねた。
「すまないな。より遠くから連絡を取ろうとしていたのだが、“吸血姫”が居ない。今から呼びに行くところだ。どうも夜に活動するため直接呼びに行かなければならないのだ。少々時間が欲しい」
だがリディネラは一歩も引かず、訳を説明して再び時間が欲しいと告げる。
「……はぁ。そう言うことなら早く来てしまったこちらの落ち度、と言うことにしておこう。では我らは先に門前にて待つ。出来るだけ早く着てもらいたい」
エリオナは嘆息して言い、踵を返してギルドを去っていく。……気の早いヤツだ。いや、わざとギルドに対して文句を付けようとしているようにも見えた。更にサッと引くことでこちらを煽ろうと言う魂胆かもしれない。
……見事にリディネラが苛立っているし。
と言うか、これは完全にリディネラの落ち度だろう。時間と場所を指定しなかったリディネラが悪い。自業自得とも言える。エリオナが途轍もない速度で駆け付けることが予測出来るなら、時間と場所ぐらいは指定するべきだ。……ほら、フィシルが呆れたような顔をしているだろう。と言うことはわざと時間と場所を追加で伝えなかったのか。余程日頃の恨みが溜まっているらしい。
「フィシル。あいつを呼びに行け。至急、だ」
だがギルドマスターとして指示を出すリディネラ。
「フィシルとルーリエは戦闘準備を整えて、カイトは私と共に門へ向かうぞ」
「……いや。俺は新しい服を買ってから行きたいんだが」
「そ、そうか。それなら仕方ないな。私は先に行くが、急いで門前に集合するようにな」
「……ああ」
俺がリディネラの提案を断ると、リディネラは思い通りにいかなかったためかシュンとしおらしく肩を落としていた。……ちょっと可愛いと思ったのは内緒だ。特に見た目のギャップは俺にとって有効だ。それが理解出来ていてやればあざとさを見抜けたのだがな。天然モノは可愛いと思える。
「……」
と言うことで俺は衣服店に辿り着いた。……誰かに聞いておけば良かった。少し時間がかかってしまったな。あの騎士副団長様に睨まれそうだ。
とは思いつつも俺は適当に銅貨三枚とか書いてある衣服の中から白い長袖シャツ、黒い長ズボン、黒い靴と灰色の靴下と言う地味なラインナップを選んだのだが、店員さんの勧めで黒く薄いベストを買わされた。……まあ合計の三割引きをしてくれたから良かったと言えば良かったんだが。多分ここは戦闘用の服ではなく私服を売っている店のようだ。別に汚さなければ使えるから良いんだが。
そして俺は歩いて門へ向かった。……チッ。もう全員来ているようだ。リディネラ、フィシル、ルーリエともう一人。恐らくあの人が“吸血姫”と言う人だろう。そこから少し離れた位置に騎士団長とその他の十人が居た。
「……待たせたようだな、すまない」
俺は俺に気付きこちらを見た十五人に軽く頭を下げる。……やっぱり俺の顔は醜いらしい。まあこんなに美人(男女共に)揃っている中で、俺ぐらい顔が醜ければ驚いて整った顔が台無しになるくらいポカンと口を開けていても仕方ないだろう。
「今から自己紹介をするとこだ。早くこっちに来い」
俺と会ったことがない、若しくは騎士副団長のように俺を視界に入れてなかった人達が呆然としている中、してやったりのリディネラが笑って俺を手招きしていた。俺はとりあえずそっちへ歩く。
「一先ずは自己紹介が必要だろうな。私はリディネラと言う。SSS級冒険者で、ここのギルドマスターをやっている。獅人族で、“銀獅子の七聖獣”と呼ばれてる」
そう言って最初にリディネラから自己紹介をした。……獅子なのに七聖獣? よく分からない二つ名だな。
「元SSS級冒険者、フィシル・エルミスよ。今はギルド嬢をやっていて、種族はハイエルフ。“五天の魔術師”って呼ばれていたわ」
次にフィシルが自己紹介する。……えっ? フィシルって元SSS級冒険者だったの? じゃあ何でギルド嬢やってんの?
フィシルはギルド嬢としての動きにくそうな服装から法衣のようなモノを着込んでいる。……あまり動きにくさは変わらないかもしれない。それは兎も角先端に綺麗な透き通っている水晶のようなモのが付いている木製の杖を持っていた。杖は二メートルぐらいの長さがある。戦闘準備とは着替えとこれを持ってくることだったようだ。
「元SSS級冒険者、ルーリエだよ~。今はギルド嬢をやってて~、種族は牛人族だね~。昔は“災害の嵐”とかって呼ばれてたよ~」
相変わらずポヤポヤした口調で、フィシルと同じように着替えたルーリエが言った。……あんたもか。
ルーリエの服装は胸元が大きく開いた服なんだが、零れそうになっている。もしかしたら当時着ていたモノだからサイズが合わないとかかもしれない。袖のないその服の上に短いチョッキを着ていて、下は脚にピッタリとしている長ズボンだ。見るからに動きやすそうな素材で出来ている。背中には二メートルはあるかと言う巨大な戦斧が背負われていた。持てるようには見えないんだが。
……ルーリエの溢れそうな胸元を見て、騎士団長に連れられた二人の男性騎士が鼻の下を伸ばしていた。フィシルは自分の胸に視線を落とし溜め息をついていた。恐らく「……当時から全く成長してない」と思って落ち込んでいるんだろう。
「SSS級冒険者、キルヒ・ヴァンパネラじゃ。種族は吸血鬼じゃな。“吸血姫”などと呼ばれておる」
背丈も胸も小さいが、人間離れした美しさをしている幼女が偉そうに胸を張って言った。……吸血鬼ってのは血を吸って生きるそうだが、こいつもそうなんだろうか。だとしたら目を付けられないようにしておこう。俺の血は色んなのが混ざってるからな。スキルがバレるかもしれない。
スパッツのような短パンの腰に片手銃を一挺ずつ提げている。どうやらこっちの世界にも銃はあるようだ。黒と白の銃だ。ハンドガンに似た形状だろうか? 残念ながら俺は銃に詳しくないのでよく分からない。上はペッタンコな身体を包む服と襟の立った黒いロングコートだ。ツインテールにした長く血のように赤い髪と瞳をしていて、口を開くと血を吸うためか鋭く尖った犬歯が覗いた。……あれで噛まれたら漫画みたいな痕が付くんだろうな。
「リンデオール王国第一騎士団副団長、エリオナ・シェンスだ。SSS級冒険者並みの実力とは言われている。“閃光の聖騎士”と呼ばれている」
俺の出番かな、と思った途端にエリオナが先に自己紹介をした。……俺は一番最後のようだ。
腰に剣を差している。装飾や見た感じからして業物だろう。
「同じく第一騎士団所属、オリヴィア・アラストンと言う者です。実力は、そうですね。SS級ぐらいでしょうか。十騎士の一人で“森羅の騎士”と呼ばれています」
十騎士と言うのはよく分からないが、騎士団長が連れてきた十人の一人、長い緑色の髪をしていて瞳は黄緑色の美少女。恐らく均整の取れたスタイルをしている。十騎士ってのは色分けされているのかしているのか、緑色の金属甲冑とマントを着けている。武器は恐らく背中にある槍だろう。
「同じく第一騎士団所属、アスカ・ディラインってんだ。SS級くらいの強さで、十騎士の一人“雷電の騎士”って呼ばれてる」
黄色いショートカットをした黄色い瞳の美女だがスタイルは上半身だけの黄色い金属鎧越しに見てもそこまで大きくはないと思われる。だが手足が長く両手にはガントレットが装着されていた。拳で戦うタイプらしい。マントは邪魔なのか、着けていない。
「同じく第一騎士団所属、レイラ・レイン。“絶対零度の騎士”と呼ばれています。……くれぐれも、私達の足を引っ張ることがないようにお願いします」
肩ぐらいまでの長さの水色の髪をして冷たい水色の瞳をした美少女が、抑揚のない声で言った。頭を下げてはいるが、皮肉っぽい物言いに対し冒険者側の四人がピクッと眉を顰める。
水色の金属甲冑とマントを装備し背に薙刀がある。
「同じく第一騎士団所属、イリネーラ・オックスと言う。十騎士の一人で“獄炎の騎士”と呼ばれている」
無愛想な声音で言うのは赤色ポニーテールで赤い瞳をした美女。赤い革鎧を纏っているが、右腰に両手で持てる大きさの赤い銃を提げていた。
「同じく第一騎士団所属、ネルヴィ・センテス。十騎士の一人で“旋律の騎士”って呼ばれてる」
怠けたように手をヒラッと振って言うのは灰色ショートカットに灰色の垂れ目をした美少女。騎士とは思えない軽装で、両手に灰銀のグローブを着けていた。
「同じく第一騎士団所属、ルイラン・オルフェインだ。十騎士の一人で“大海の騎士”だ」
男勝りな雰囲気を持つ青い長髪を後頭部で縛り左肩から前に垂らしている美女が言った。これまた騎士とは思えない軽装で刃幅の広い大剣を背負っている。
「同じく第一騎士団所属、リム・アルサス。十騎士の一人。“砂塵の騎士”」
抑揚のない声音で淡々と、薄茶色の髪を肩まで伸ばし感情のない薄茶色の瞳をしたあどけないペッタンコ幼女。スタイルが乏しく腰に短剣が四本差してあるため近接の素早い攻撃をするんだろう、騎士とは思えない軽装だ。
「同じく第一騎士団所属、アルバス・リーデンガルド。十騎士の一人で“烈風の騎士”と呼ばれている。よろしく」
長身で細い爽やかなイケメンが言った。金髪で碧眼のイケメンで、甲冑とマントがよく似合う。腰の長剣が武器だろう。……その視線は冒険者女性陣の胸をチラチラと行ったり来たりしているので下心が窺える。
……そう言う視線って、相手からしたらバレバレらしいな。俺も顔に向けられる視線は分かるし。
「同じく第一騎士団所属、ガレイン・ガニックだ。十騎士の一人で“岩窟の騎士”と呼ばれている」
二メートル以上の巨体に茶色い甲冑越しでも分かる盛り上がった筋肉を持つ巌のようなおっさんが言った。大きな盾と騎士剣を持っていて、前衛の要に見える。茶色い短髪に茶色い眼をしている。
「……同じく第一騎士団所属。……ウルティア・マティンレア。……十騎士。……“暗黒の騎士”」
顔までスッポリと覆う禍々しい漆黒の全身甲冑を纏ったヤツが曇って男女が分からない声でボソボソと言った。腰に片手両刃直剣を差している。
他全員の自己紹介が終わった後、全員が俺の方に顔を向けてきた――そして直ぐに逸らす。
……どうやらやっと俺の自己紹介の番のようだ。