ギルドマスター
とりあえずこれだけは言っておきます
ありがとうございますm(__)m
他にもタイトル詐欺疑惑やヒロインいらないかも、など様々な案件が浮上していますが、また次回以降に色々聞きます
一応今のタイトルに代わるタイトルを考えていただけると幸いです
「お前か? カイトってのは」
ギルドマスターだと思われかなりボリュームがある銀髪に赤く鋭い猛獣のような瞳をした長身で巨乳の美女が聞いてくる。……高いな。百七十五ぐらいある俺より少し低い、百七十ぐらいだろうか。脚と腕はしなやかに長く指の爪は鋭く尖っている。口を開くと尖った犬歯が覗く。
銀髪の輝かしい長髪の側頭部に三角の突起物を生やしている。太腿丸出しの短パンから細い銀の尻尾が見える。……獣人か。何かは分からないがな。だがあの細い尻尾は猫科動物に多い。
「……ああ。あんたがギルドマスターか?」
俺は注意深くそいつを観察しながら無表情に尋ねる。……まだ表には出ていないが猛獣のような気迫がある。かなりの強者だろう。俺も武器なしでは勝てないかもしれない。
「そうだ。私はここのギルドマスターをやってるリディネラと言う。リディとでも呼んでくれ。それと、すまなかったな。私より上に賄賂して武器に頼り上がってきてたヤツらが迷惑をかけた。実力はそうでもないから迷宮攻略の義務を断ってくれて助かってたんだが――と、愚痴になってしまったな。邪魔者も居なくなったしここで話すが、あの迷宮を十階層まで攻略したらしいな。履歴から読み取れないモンスターの強さ、ボスモンスターの攻撃方法などの詳細な情報を話して欲しい」
リディネラは愚痴になっていたことを苦笑して切り換え、真剣なギルドマスターの顔をして言った。
……迷宮の仕組みを詳しく知っている訳ではないが、もしかしたら一度出ると一階層からやり直しなのかもしれない。または欲しいモンスターの素材があるとかか。
俺は大人しく頷き、記録の腕輪に記された履歴とステータスカードを見比べながら報告を始める。……大体どの程度のステータスがあれば突破出来るかも踏まえる。
俺が話し終えるとリディネラは難しい顔をして顎に手を当て考え込む。
「……割りに合わない、な」
しばらくしてポツリと呟いた。ギルド内には既に野次馬が多く、深刻そうなギルドマスターに対して聞き耳を立てているヤツも居た。
「十階層を無傷で突破するのに一人で3000。二十階層までとなると10000以上が必要だとなりかねない。その割りにアイテムは十階層のボスを初討伐した報酬である聖域級武器が一つ。多人数で押し入るには報酬の山分けが必要不可欠。だと言うのに十階層毎で一つなら逃げるヤツも出てくる、か」
リディネラは険しい表情でブツブツと呟く。
「……迷宮には分かれ道が多い。俺が通った道以外にも道はあるし、何より偶然全く罠にかからなかった。この難易度で罠が全くないなんてことはないだろう」
「ああ。というか五階層までの道のりで罠にかからなかった方が凄い。本当は避けてるんじゃないのか?」
俺の言い訳を聞き、リディネラは苦笑して尋ねてくる。
「……もしかしたら気付かなかっただけかもな。だが階の全てを探索した訳じゃない。何か隠し扉とかがあって宝が隠されているかもしれない」
希望的観測だが、そう言う可能性もない訳じゃない。俺は見つけられなかったが、罠が発動するスイッチや条件があることもある。
「その辺は慎重に調査しなければならない、か。昨日来たばかりのようだが、お前の功績は目を見張るモノがある。そこで、お前をSSS級冒険者にするため、昇級試験を受けてもらいたい」
一通り報告が終わったところでリディネラは俺に真剣な眼差しを向けて言ってきた。……このまま通常通り俺のランクが上がるのを待っていたら、いつまでも迷宮攻略義務を課せられない。だから俺のランクを一気に上げて迷宮攻略に向かわせようって魂胆か。
「……昇級試験ってのによる」
俺は手っ取り早く金を稼げるようになるので受けるのも吝かではないかと思い、話を進める。……あまり目立ちたくないが、金を儲けられるので受けるとする。
「昇級試験は、そうだな。騎士団も決断を渋ってるようだし、私と“吸血姫”、フィシルとルーリエ、騎士団の精鋭十名程度、後はお前の十五人であの迷宮を一人の犠牲者を出すこともなく二十階層まで突破する、にするか」
リディネラはうむ、と頷いて言った。……まだ何も決まってないのに騎士団十名も入れるとは、なかなか自己中な人のようだ。それが許可されると言う権力があるからかもしれないが。
「報酬は後払いで良いか? 実際の貢献度や迷宮でのアイテムなどによって上下するだろうからな。迷宮で得たアイテムは分配するが、欲しいアイテムがあれば報酬に組み込む形となってしまうが渡そう」
リディネラは下世話な、報酬がいくら出せるかを告げてくる。……俺にこの世界の金銭感覚はない。いくら出さなければやらない、と言うこともない。
「フィシル。騎士団に至急十名程度の精鋭を、戦いの準備を整えて向かわせるよう要請してくれ」
「……分かりました」
フィシルは嘆息混じりにリディネラの指示に頷き、左手で耳元を被せるようにして手元に小さな魔方陣を展開し、しばらくしてから何か口を動かし始めた。
ギルド嬢は大変だな。もしかしたらこの如何にも事務に向かなさそうな、戦闘向きのギルドマスターの業務も手伝っているのかもしれない。
「念話魔法だ。一対一の通信なら映像通信魔法よりもこっちの方が早い」
俺が不思議そうな顔をしているのを読み取ったのか、リディネラが説明してくれる。……電話みたいな感じか。映像通信魔法ってのはテレビ電話か中継みたいなもんなんだろう。と言うか俺の表情を読み取るとは、常人には有り得ない鋭さだな。まさかこんなことで強さを示されるとは思わなかったが。
「マスター、何のためか、と聞かれたんですが」
フィシルは耳元を覆っていた形のまま手を離すと、リディネラに尋ねた。
「迷宮攻略だ。二十階層まで行くが少数精鋭で欲しいとだけ伝えろ。それで納得しなかったら良い」
リディネラはフィシルに対して簡潔に答える。……自己中と言うか何と言うか。騎士団に冒険者を見下しているようなヤツが居なければ良いんだが。
「承諾が取れました。騎士団もそろそろ動こうと思っていたらしいので十騎士と騎士団長が直々にこちらに出向くそうです。すぐに着くので待っていろ、とのことで――」
「失礼する」
フィシルが結果をリディネラに報告している途中で、ギルドの扉が勢いよく開け放たれた。
「……」
……何とも早いことだが、輝く金色の長髪を靡かせ、金色をした鋭い切れ目のキツいイメージを持たせる金属鎧を身に纏った美女が現れた。