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噛ませ犬の絡み

えーっと、ちょっと待って下さい


何故こうなった!(良い意味で


何かいきなり凄いことになってません?

突然感想が増えたので見てみればランキングにも載っていると言う……ビックリしてます


感想の返信は気付いたらきちんと返してますので返し忘れはないと思います

多かったのが、姉のヒロイン無理じゃね?とヒロインにいらなくね?と言う意見でした


一応ヒロインなので姉サイドで好感度を上げないとマズい感じです

自分自身、ここからどうやってヒロインになるのか、微妙になっててヤバいです


一応閑話と言う形で一章の最後に割り込ませる予定なので、更新したら教えます


長々と失礼しました

イジメから脱却したため、チーレム無双な要素が多くなってくるかと思いますので、読んでる人がガッカリしないか心配ですが、お付き合い下さると幸いです

「……」


 ギルド嬢が二階へ上がっていった後、冒険者七人に声をかけられた俺はチラリとそちらを見やった。


 ……装備の実用性――低。装備の手入れ――低。なのに装備の状態――高。装備の傷――少。装飾――過多。実力――低。身体のケア――高。


 貴族の坊っちゃんだな。装備も実用性ではなく金と権力を誇示するためのモノだ。


「……おいてめえ、何ルーリエさんとフィシルちゃんに話しかけてんだよ」


 ズカズカと歩いてきた七人で一番前に居るヤツが、チラリと二人を一瞥してから俺を睨んで言ってきた。……嫉妬か。だが俺は二人と話した覚えはない。恐らく二人と俺が近くに居たためか勘違いしているようだ。

 二人は嫌そうな空気を出しながら密かに溜め息をついていた。


「……別に冒険者がギルド嬢に話しかけるのは当然のことだろう」


 俺は至極当然のことを淡々と告げる。……冒険者がどうやってギルド嬢に話しかけないで居られるってんだか。


「ああ!? 何平民ごときが貴族様にタメ口利いてんだ!?」


 そいつは更に怒りを増して俺の胸ぐらを掴んできた。……ふむ。貴族と言うヤツの大半はこうやって平民を見下しているのだろう。貴重な情報だ。


「……それはすまなかったな、貴族様?」


 俺は無表情のまま言って更にそいつを煽る。……別に煽らなくても良いんだが、最初は殴られた方が周囲からの視線が酷いモノにはならないだろう。直ぐに手を出すようなヤツだと思われても困る。


「この……っ! 貴族への、冒険者の上級者で先輩への口の利き方を教えてやる!」


 そいつは案の定キレて俺の顔を殴り付けてくる。……嘘だろ? 拳が弱すぎて首を振る気さえ起きないんだが。

 まあ一応右頬を殴られたので左に首を振っておくが。……頬杖をちょっと勢いよく着いた、程度の衝撃しか来ないんだ、そりゃあ殴られた演技をする方が面倒だろう。


「……上級者なのか」


「てめえ初心者のG級だろうが! 俺はS級、後ろのヤツらはA級なんだよ!」


 再びタメ口を利いた俺の顔を、左拳で殴りながら言う。……SとA級か。なのにこの弱さだとしたら、本当に金と権力で上がってきたんだな。それに装備に真新しい傷がない。恐らく迷宮踏査への参加義務を、金をぎ込んで免除してもらったとかだろう。


「止めなさいよ。初心者相手に大人げないわよ」


 エルフらしき超美少女フィシルが見かねた様子で言う。……チッ。余計なことを。あんたら二人のせいでこうして絡まれてるってのに、あんたが止めに入って俺を庇ったら更に怒りを買うだろうが。そんなことも分からないから美人美少女は嫌なんだ。

 善意が善意となり得ない。それは姉達もそうだが、この受付嬢達もそうだ。まだ姉達のように間接的に俺を庇おうとするなら問題ない。だがこうして直接止めに入ることは、「自分が気に入らないと思っているヤツ」が「自分が好意と寄せている相手」から庇われていると言うことを思わせ、更なる悪化を引き起こしかねない。

 ……まあ、相手が相手ならそれで収まるんだけどな。相手が悪いとどっかのカラシャツ野郎共のようになりかねない。確かに止めに入ることは見捨てていないことのアピールにもなるし、「好意を寄せている相手」に嫌われてしまう、と言う錯覚を起こさせれば手出しすることはなくなるだろう。ただ相手が悪ければ、どうにもならない。


「あんまりギルド内で騒ぎは起こさないでね~」


 牛の獣人らしき超美女ルーリエが少しほんわかした空気を収めて言った。


「チッ! ……我が手に集約せよ熱き衝撃。我が敵を蹂躙せよ赤き爆発の弾丸――フレイム・ボム」


 そいつは舌打ちして、しかし何やら呪文のようなモノを唱えて俺の胸元、そいつの手元に赤い魔方陣を描いていく。……おいおい。まさかこの至近距離で爆発の魔法を使うんじゃないだろうな。ギルド嬢と後ろの取り巻きの顔が少し困惑に歪んでいるぞ。

 まさかとは思ったが、そいつは詠唱を完了して魔方陣から爆発する球を撃ち出した――魔方陣は俺にほぼ密着するように着弾し爆発が俺の上半身を包む。

 ……ヤバい。全然痛くないな。少しレベルを上げすぎたか。この世界の住人の中でも逸脱しているのかもしれない。こんなにダメージがないと仕返す気も起きないな。仕返しはするが。


「あなたって人は……!」


 フィシルがギロリと俺に魔法を使ったヤツを睨み付けるが、胸ぐらから手を放し崩れる俺を見てせせら笑うそいつは、ニタニタ笑いを浮かべるのみだ。


「……痛いな。何をする」


 俺は倒れたそこからゆっくりと、何事もなかったかのように起き上がる。……あーあ。Yシャツがボロボロになっちまった。そろそろ新しい服を調達しないといけないし、まあ良いか。


「「「っ!?」」」


 そんな俺を見て全員が驚いていた。……服はボロボロだが身体は無傷だったからだろう。


「てめえ、何で無傷で……っ」


 魔法を使った本人の方が驚いていた。……こんなヤツがS級冒険者とは笑わせてくれる。


「……何でってな。そんなチンケな魔法で俺に傷を付けられると思ってること自体がおかしいんだよ」


 俺は言って、そろそろ面倒になったし殴られた分の仕返しもしなければならないこともあり、そいつの手首を掴んで技をかけようとか思わず適当に捻った。


「ぐっ!?」


 何とか身体をよじって手首だけがグルリを回るのを回避したそいつだが、俺に背を向けているそいつの手首を更に捻って動けなくする。よく警察が犯人を取り押さえるのに使うのをドラマとかで見かけるヤツだ。


「て、てめえ!」


「……今、俺にそんな口を利いて良いのか?」


 俺は相手がゾッと底冷えするように冷徹な声音で囁く。


「っ! な、何が目的だ。金か?」


 ……貴族ってのは金のことしか頭にないのだろうか。


「……金なんて要らないな。だがお前らがこれ以上俺に関わろうってんなら――」


「な、なら何だ?」


 全身から冷や汗を流しガクガクと身体を震わせるそいつが尋ねてくる。


「……お前の取り巻きと血の繋がりのある全員が、不慮の事故に遭うことになるだろうな。お前の、目の前で」


 俺はグッと少し手首をねじって囁き、脅迫する。


「っ!!?」


 そいつは俺の言葉がよーく聞こえたようでガクガクを全身を震わせて青褪めた顔をしていた。


「……分かったら俺に関わるな」


 俺は最後にそれだけを言ってそいつの手を放し、警戒するような、驚いたようなギルド嬢二人の方へ踵を返す。


「っ……。て、てめえ如きに俺達が殺されるかよ! 殺っちまえ!」


 だがそいつは脅迫が通じないようで、怒りを露わにすると取り巻きに命じて七人全員で襲いかかってくる。……はぁ、忠告はしてやったからな。


「……人が折角我慢してやったのに、てめえらウザいな」


 俺は眉をひそめて言い、少し脚に力を込める。剣や槍を抜いて襲いかかってくるそいつらに対し、ちゃんと手加減して動き出す。……十階層に居たあのモンスターと比べれば、巨人だったのにめっちゃ速かったから天と地程にも差がある。スローモーションに見えて仕方がない。

 難癖付けられただけで殺すのは少しやりすぎで、冒険者として生計を立てられなくなる恐れがあったのでしなかったのだが。こんなことなら殺っちまえば良かったか。後々の面倒を先送りにしただけ、と言うことだ。

 他人がどうでも良いからこそ詰めが甘くなる。殺すのは後でも今でもどっちでも良いだろう、と思ってしまえるからこそ後で何倍かになって返ってくることさえある。

 まあこんな面倒なヤツらは、どうせ家族もそんな感じなのだろうし、後で家を突き止めて処理しておかないとな。権力と財力を振り翳して何か仕掛けてきたら面倒だし。

 邪魔なモノは排除する。誰だってやっていることだ。殺さないにしても、少々痛い目を見るくらいで許してやる(殺害保留)のだから、感謝されても良いくらいである。こいつらからの感謝なんて要らないが。


 俺が普通に歩いている程度の速度で、スローモーションで襲ってくる七人を一発ずつ殴ってギルドの壁から外へと出す。七人を殴り飛ばしてからはちゃんと元居た場所に戻る。常人には俺が動かずに七人を吹っ飛ばしたように見えたかもしれない。

 ……二人のギルド嬢には見えていたようで警戒心を強くされてしまったが。


「……壁の修理代は向こう持ちで頼む。生憎と俺は無一文なんだ」


 俺はサラッとギルド嬢二人の方を向き言う。二人のギルド嬢は頷いてから、しまったと言う顔をしていたがもう遅い。頷いてしまったのだから、社会人として約束は守ってもらわなければ。


「ほう? かなりステータスが高いようだな」


 そこに面白いとばかりに笑みを浮かべた銀髪の美女が階段を下りてきた。……見ただけで分かる。こいつは強い。内に秘められた獰猛な獣のような気迫がヒシヒシと伝わってきた。

 これでも俺は格闘技を一通り修めてきた。強いヤツは分かる。


 こいつは、ホントに強い。

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