プロローグ
初投稿です。
すぐに失踪するかもしれません。
それでもよろしければ、本編(?)をどうぞ。
とある世界のある場所で青年と少年は壮絶な戦いを繰り広げていた。
青年の方は…いや、青年と言うには眼光が強すぎるだろう。その赤い瞳には、"何かを諦めきれぬ老人"という言葉がよく似合っている。
それに対する少年も少年という言葉の前に"幼い"という言葉をつけるべきだと思えるほどに小さく、だがその黒き瞳に確かな光を宿していた。
「はあ、はあ。よもやここまでやりおるとは…」
青年―第62代魔王キニス・バールトンは、目の前の幼きものに話しかけた。
「幼子よ!お主は、なぜそこまで強い!?」
恐怖したのだ。本気を出している己が、それでも勝つことができない少年に。
少年は答えず、手に持っていた剣で青年を攻撃する。
青年はその剣を何とかかわした。
だが少年の攻撃が終わったわけではない。
二、三閃と青年を切り裂いた。そして、四閃。少年が放ったその一撃は、動物すべてに通じる弱点である胸の中心を穿った。
しかし、青年も伊達に魔王と呼ばれる者ではない。一瞬のうちに紡いだ魔法によって、顔面、それも眼球狙いの素早いもの。回避が間に合わず、少年は攻撃を受けてしまった。
また、青年が倒れると同時に少年の足元に魔方陣が現れた。
「ッツ!!」
いきなり現れた途方もない魔力の量に、目を魔法で回復していた少年は反応が遅れてしまう。
「フフフ、ハハハハハハ。異世界転移魔法の陣を発動させた!ゴホッ…どこに転移するかは運しだ…ガ八ッ…せめて幸運願うがいい………コポッ………我等が種族に栄光あれ……」
そして、青年は死んだ。瞬間、魔方陣の魔法が発動した。
少年はとっさに陣の外に出ようとするが、間に合わない。
魔王が発動したその魔法は、皮肉にもまるで神の祝福であるかのように美しかった――――
☆
そして少年ー名前は日土 雄弥というーは目を覚ました。しかし、そのまぶたは閉じられていた。
そのまま、隣に目をやる。まるで少年の目に映るはずのない光景が映っているかのようにーーー
ある場所に向かうバスの中、少年の隣にいるのは、少年を枕代わりに幸せそうに安心しきった表情で眠る一人の美しい少女ー名前は御崎 奏というー。
バスの車内は無音。どうやら、起きているのは少年とこのバスの運転手のみらしい。
朝靄に霞む道を見ながら、少年は先ほどまで見ていた夢と、己が過去にに思いをはせていた。
バスの中でのこと。
雄弥「……」
奏 「ハックション11」
雄弥「おわっ」
奏 「ん…あ、ゆーくん。…えへへ」
雄弥「…あ~。なんかいいことでもあったか?」
奏「ふぇ?…うん。とっても幸せな夢を見たんだ~」
雄弥「へ、へ~。どんな夢見たの?」
奏 「えっとねぇ…ふにゅ…くぅ…」
雄弥「えっと…まぁいいか」
(たぶん)続く。