8きつね
やる気があるうちは投稿が早いです
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さて、3日が経った。戦の準備といっても俺は特にすることはないのでいつも通り過ごしていた。今回の戦いは人間ではなく神々の戦いなのだ、信仰が強ければ強いほど力が上がるため神社には老若男女が参拝しに来ている。
「いよいよ・・・だな」
「ああ、しっかりと後ろを付いてくるんだぞ」
「分かってるよ」
そう言って戦場へと飛んでいく。戦場に着くと二つの軍勢が向かい合っている、その距離約1キロといったところだ。
「すごいな・・・」
戦場に降り立つとものすごい緊張感だ。空気は張りつめて、ピリピリと肌が痛い。
「さて、そろそろ始まるよ」
「了解だ」
「いいかい?しっかり付いてくるんだよ。あんたは弱いんだから」
「わかってるって」
数分後、ほら笛の音が聞こえた。
それを合図に神奈子が声を上げる
「全軍突撃!!!目指すは洩矢の首!!!」
四方八方から雄叫びが聞こえ、進軍する。神奈子は敵軍の正面をオンバシラを振り回しながら道を切り開く。俺はたまに飛んでくる流れ弾を避けながら神奈子が作った道を飛んで追っかける。何発か当たったことは内緒だ。
あっという間だった。敵の本陣に神奈子と俺の二人だけが降り立つ。
本陣の前の敵は全滅し洩矢の神だけが残っている。
「おやおや、ずいぶんと早かったじゃないか」
そう言ったのは帽子をかぶった幼女、帽子には真ん丸とした眼が付いておりこっちを睨みつけている。神奈子から諏訪子の容姿は聞いていたが本当に幼女だとは・・・
それに、この状況で何故そんな余裕がある?信仰力では神奈子のほうが上なのだ、力では敵わないだろう。諏訪子は知っているなのだが・・・
(なんだ?いやな予感がするぞ?)
「ん?そっちのへぼい妖怪はなんだい?」
「この戦いの未届け人さ、気にするんじゃないよ」
「そうなのかい?・・・まあいいや、そんなことより神奈子。ひとつ最初に謝っておくよ」
「なんだい?降参かい?」
「いや違う。・・・ごめんね神奈子、絶対に勝つから。この戦は私たちが勝つから」
そう諏訪子が言うと、後ろからとんでもない妖力が溢れていた。
「いや~、やっと出番ですか~?諏訪子さん?」
聞き覚えのあるこの声は・・・!
「舞・・・!」
「あれ!?凌さん!?」
「なんでここに?」
「いや~修行してたら「あんたの力を借りたいんだ」って諏訪子さんから頼まれたので修行をつけてくれる代わりに承諾したんですよ~」
舞の妖力は1か月前より格段に上がっていた。神奈子では手も足も出ないだろうというレベルだ。
(仕方がないが・・・ここは)
「神奈子、ちょっといいか」
「あ、あんた・・・あの化け物じみたやつと知り合いなのかい?」
「ああ、それで頼みがある。俺にあの鬼の相手をさせてほしい」
「正気かい!?あんたみたいな下位妖怪じゃ木端微塵だよ!?」
「大丈夫。だから・・・頼む」
まっすぐに神奈子を見つめる
「うぅ・・・わかった。けど危険になったらすぐ逃げるんだよ!」
「ああ、そうするよ」
舞の正面に立つ
「凌さん、私強くなったんですよ。諏訪子さんのおかげです!」
「ああ、見ればわかるよ」
嫌ってほどわかるぜ
「神奈子、あんたあの妖怪を見殺しにするの?」
「大丈夫さ、いざとなったら私が助ける」
「私を相手にそんな余裕があるとでも・・・?」
隣では大和神と洩矢神の戦いが始まる。
「そろそろ始めましょうか?」
「そうだな。13尾開放」
「一か月の間はこの力を試したくとも試せなかったんですよ。下手したら諏訪子さんも消滅させてしまいそうなんです。凌さんなら全力を出しても大丈夫ですよね?ふふふっ」
「ああ、そんなに柔じゃないよ俺は。いいさ、全力で来い」
「では、行きます!」
舞は妖力を脚に込めて地面を蹴る。
(早いっ!)
正面から鋭い蹴りが飛んでくるが、身をかがめてそれを避ける。反撃にアッパーをするが、舞が思いっきり頭突きをして俺の拳を止める。
(いってえ!拳より硬い頭とかマジかよ!?)
そんなことを考えていると目の前に拳が伸びてくる、それをぎりぎりで回避したが体勢を崩したところに一撃
「鬼拳翔破!」
掌が腹部に当たる、それと同時に後ろへ吹っ飛ぶ。
ドゴーン!
大きな岩にぶつかって停止した。
「ゲホッ!・・・ガハッ!」
咳とともに血反吐がでる、おそらく内臓のどこかをやられたのだろう。
(なんつー強さだ・・!これはやばいな)
「凌さ~ん?終わっちゃいました~?」
「そんなわけないだろ・・・14尾開放」
「そうこなくっちゃ。流石ですよ本当に・・ウフフフフフフフ!」
「この戦闘狂が!きやがれ!」
再び戦闘が始まった。
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神々視点
「大丈夫。だから・・・頼む」
その眼は私のことをまっすぐ見つめてくる。
あの時は後悔した。下級妖怪と鬼では力が違うのだ、下手すると存在自体が消滅してしまう。
だが、彼の眼には何か信念が篭っている。そう見えた。
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「なん・・だいっ!・・・・あの・・妖力は・・・!?」
「私も・・わかん・・ないよ、舞があんなに強かったなんてっ!」
神二人は強大すぎる妖力に身動きができないでいた。
あの二人による妖力のぶつかり合いは神々の戦場を静まりかえらせていた。
(凌・・・!こんなに強かったのかいあんた?・・・・・絶対に生きて帰ってくるんだよ・・・!)
神奈子は心の中で願った。
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凌視点
ドカァッ!!バキッ!!!
お互いに防御を捨てて殴り合っている。舞は完全に壊れてしまったようだ。
「アハハハハ!いい拳ですよ!凌さん!アハハハハハハハハ!」
「鬼に褒めてもらえるなんて!光栄だよ!っっ!!」
(14尾でも足りないってのか!?・・・仕方がないぜ)
カウンターをいれて距離を取る
「ケホッ・・・?どうしました?」
「15尾開放」
「わぁ!凄い凄い!まだ力が残ってるんですね!流石は私が認めた方ですよ!」
「舞、死ぬなよ?」
「え?」
一瞬で距離を詰め、体のあらゆる場所にダメージを与える。
舞は反撃をする暇もなく殴られ蹴られている。
だが、流石は舞だ。体を捻り威力を殺し隙あらば反撃してくる、俺は反撃をものともせずにひたすら殴る。流石に不利と見たのか舞が下がって距離を取る。
「これが凌さんの本気・・!凄い凄い凄いすごいすごいスゴイスゴイ!!」
今までで一番のスピードで向かってくる、俺は避けることができずにもろにくらってしまった。胴体に舞の腕が突き刺さっている。
「フフフフフフフフ、やった!ついにやりましたよ!」
舞が腕を抜いて笑う
「なぁ、知ってるか?狐ってのは幻術を使えるんだぜ」
「なっ!?しまっ」
「目を覚ましやがれぇ!この戦闘狂がぁぁぁ!!!」
力任せにぶん殴ってやった、女性の顔を殴るのは初めてだが今回ばっかしは仕方ない。すまなかったな。
「はぁ・・・はぁ・・・、疲れた・・・本当に疲れた。ダメだな・・少し・・寝よう・・・」
そう言って俺は地面に横になった
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神視点
「・・・・終わった?」
「凌!」
「ちょっと待ちなよ!私も行くよ!まーいー!!!」
~
「大丈夫だよ、どっちも息があるよ」
「良かった、本当に・・・!」
神奈子は凌を抱きかかえて涙をこぼしている。
「ねえ、神奈子。この戦、私の負けでいいよ」
「え?」
「だってさ、私の切り札がこの有り様だもん。その男が勝ったんだよ、だから負け。完敗だよ、私じゃ神奈子には敵わないんだもん。信仰はそっちの方が大きいんだから」
「いいのかい?」
「いいって言ってるの!ほら軍神様はシャキっとして勝利宣言する!」
「あ、ああ!わかった!」
凌をそっと寝かせて上空へ飛び、大きく息を吸い込む
凌たちの戦いのせいで誰も戦っていない静かな戦場に響く
「この戦!我々大和が勝利した!」
その瞬間大和軍勢から歓喜の声が上がる。
神奈子は再び凌のもとへ
「で、私はどうすればいいんだい?」
「私の屋敷に来な、そっちの鬼も連れてね。凌と一緒に治療してやるから」
「ん、わかったよ」
そう言って二人は飛び立った
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凌視点
「zzz...zzz...」
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戦闘描写苦手です。
これ書いてたらユニーク人数が150人突破してました。
ありがとうございます。