29きつね〜遊〜
夏休み?
地獄の間違いでしょう?
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今日は生憎の快晴、一般の方なら生憎などの言葉は使わないだろう。だが吸血鬼なら別である、日光を浴びると消滅する。そんな噂もあるようだが実際は違う、肌が少し火傷する程度である
日光を浴びると言うことは 肌が焼ける→再生する。これのループになる。再生にも体力(妖力)を使うので浴びないことが最善だろう
「ここが・・・人里?」
フランは通りすがる人達を目で追うようにキョロキョロしている
「そうだよ、ここには人間がたくさん住んでるんだ。・・・子供といったら慧音かな」
「凌、あなたもしかしてフランを人間の子供と遊ばせる気?」
「ああ」
その通りである、フランが人間の子供と一緒に普通に遊べる。それが出来れば紅魔館に戻してやることが出来る
「危険じゃないですか?」
「大丈夫だってば、フランは」
「凌さんが言うなら・・・それと」
「分かってる、先に慧音の寺子屋に行ってくれ」
「お兄ちゃん?」
「ちょっと寄り道してくるよ、後から追いつくから先に行っててくれるかい?」
「うん、分かった!」
先程から後ろを着いて来る気配が二つ。まあ誰かは分かっているが。フラン達を先に行かせ後ろを振り返る、するとそこには
「何してんの、レミリアと・・・えっと」
「十六夜咲夜です」
「ん、それでレミリアと咲夜さんはどうして此処に?」
「べ、別にフランが心配で来たわけじゃないぞ!」
「お、お嬢様。それでは嘘がバレバレです」
「あわわわ、違う違う!」
紅魔館の主人とメイドさんは良いコンビだと思う
「ふふっ、そんなに心配しないでよ。今日やることが上手くいったら紅魔館に戻らせるからさ」
「と言うことは狂気は・・・?」
「ああ、もうこれっぽっちも無いよ。お前さんが望んでたように一緒に寝られるし食事も出来る」
「ほ、本当か!?・・・・良かった」
「それで、このまま着いて来るよね?」
「あ、ああ」
「今日は見つからないようにしてくれ、再開の感動ってものが無くなっちまうからな」
「了解した」
「それでは、お嬢様と私は後ろからこっそりと」
「頼んだよ」
〜
「悪い悪い、ちょっと遅くなった」
寺子屋には数人子供達がいた。もちろん慧音もいる
「お兄ちゃん遅いよー!」
べしべしとお腹を叩かれる、子供と言えど吸血鬼(子供か?)である。手加減してくれているのだろうけどボディーブロー並みに痛い
「げほげほ・・・悪かったって・・」
「それで鈴谷、話は二人から聞いている。お前さんを信用して良いんだな?」
「ああ。大丈夫だ」
自信たっぷりに答えを返す
〜
「君の名前は〜?」
「遊ぼ〜遊ぼ〜」
「何して遊ぼっか!」
「ぇえっと・・・お兄ちゃん」
何をしたら良いのかわからないのだろう、それもそのはず。今まで他人と、子供と遊ぶなんて事を経験したことがないのだから
「まずは自己紹介しないと」
「う、うん・・・わ、私はフランドール、フランって呼んでね」
「わかったフランちゃん!」
「よろしくね!」
「・・・・よ、よろしく!」
「それじゃあ何して遊ぼっか?」
「キレーな羽だね!」
「鬼ごっこー!」
うんうん、大丈夫そうだな。
「なあ鈴谷、あの子はそんなに酷かったのか?とてもそんな風には見えないのだが・・・」
「ほんの一週間前は凄かったぞ、出会った瞬間腕が一本消し飛んだからな」
苦笑いで答える凌、今では腕も再生している。別に腕が無いからって不便ではなかった、尻尾でカバーが効くからである
「想像がつかないな・・・」
「凌さんも無茶しますよね・・・」
「あ、そうだわ凌。聞きたいことがあるんだった」
何かを思い出したように紫が喋る
「なんだい?」
「あなたの能力を教えてもらおうと思ってね、フランの攻撃から身を守る能力となると凄い能力なんでしょう?」
「あ、ああー・・・そうだな。言ってもいっかな」
「凌さんの能力・・・今まで知りませんでしたね」
「俺の能力はーーー」
・・・ゴクリ
「あらゆるものを受け付けない程度の能力、それと物を思い通りにする程度の能力だ」
どっちの能力も全然使って無いけどな・・・いや、最近使ったか。二つ目の能力はとても便利だ、てきとうな材料があれば何でも作れてしまうからな
家の家具もこの能力で作った物が大半を占める
「・・・・・・」
「おいどうした?」
「な、なんですかその能力は!?何も受け付けないって!最強ですか!?」
「それに加えてもう一つ!?なんなのよ貴方!」
「いや、妖怪だけど・・・」
「はぁ・・・凌だからおかしくて当たり前ね」
おーいちょっと待て。おかしくて当たり前ってなんだよ
「凌さん・・・私と戦った時は能力を使って無かったですよね・・・やっぱり一番強いのは凌さんでしたか」
「でもな、この能力は反則だと思うから使わないようにしてるんだよ」
「それじゃあなんで先日使ったんですか?私たちならフランちゃんを止められましたよね」
「ええそうよ、能力にさえ気を付ければ大丈夫だったわ」
「えっと・・・それはな・・・お前達を危険な目に合わせたくなくて・・・」
確かにあのメンツなら大丈夫だっただろう。だが、万が一と言う事もある。腕や足なら再生も効くが、上半身丸ごと消し飛ぶ可能性もある。
俺はどうなっても大丈夫だしいざとなれば能力もある。だが、他の連中は上半身丸ごと消し飛んだりしたら終わりだ。そんな事にはしたく無かったから俺はフランの相手を請け負った
「・・・やっぱり最高よ貴方」
「ええ、流石です。ちょっと優しすぎますけど」
「な、なんだよいきなり」
「私達を守るため、ね」
「私嬉しいです!凌さんがそんな風に思ってくれるなんて」
一体どうしたって言うんだ、舞は涙目になってるし紫はニヤニヤと不気味に笑っている
「えっと・・・鈴谷」
「どうした?」
取り敢えず二人は放っておく事にしよう
「お前の能力の事は置いといてだ、遊び終わったみたいだぞ?」
見ると遊び終わってサヨナラをしていた、フランは手を振って見送ると羽を揺らしながら俺のところに駆けてきた。
「楽しかったかい?」
「うん!また遊ぶ約束したの!」
「それは良かったな・・・明日から紅魔館に戻れるぞ」
「え?・・・お兄ちゃんは?」
「俺はあそこの住人じゃないからな、たまには遊びに行くからさ」
「・・・わかった、絶対遊びに来てね。私待ってるから!」
「分かったよ、それじゃあ今日は最後のお泊まりだ!帰ったらパーティーしよう!」
「パーティー!?やったー!」
俺とフランは慧音に挨拶して家に戻ることにした。他二人は後から来るだろう。さーて、何作ろうかね。
後ろで覗いてた二人組は涙をボロボロと零していたことは言わないでおいてやろう。
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じゃ、また明日




