27きつね〜紅い霧〜
ムシムシした暑さほど嫌なものは無いかもしれない
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宴会から数日が経った今日、凌は目が覚める。顔洗いに外にある井戸へと向かうようだ、玄関を開けると空一面が真っ青ーーー
「な、なんだよこれ!?」
ーーーではなく真っ赤に染まっていた。空は赤く、紅く朱い。霧すらも真っ赤である、少し気分が悪くなる凌。どうやら害のあるものらしい。
〜
この異変について話し合いが開かれることになった。今回の事の情報を知っているであろう紫、霧のせいで気分が優れないのだろうか?苦虫を噛んだような顔をしている舞と華羅、そして俺と風砥が集まった。
場所はもちろん凌の家である。
「それで、あの霧はなんだ?」
一番の疑問を俺は紫にぶつける
「最近幻想郷に来た西洋の妖怪の仕業よ、あいつらの館から発生してるわ」
ほぅ、随分と活きの良い奴が来たじゃないか。これだけの霧の量だ、中々腕の立つ妖怪なのだろう。それとーーー
「西洋の妖怪・・・吸血鬼か?」
「よく知ってるわね・・・そうよ」
「凌さん吸血鬼とは?」
そう風砥が聞いてくる、他の連中も知らないのだろう。ポカンと俺の答えを待っているようだ
「えっとな、人間の血を吸うってのが特徴だ。背中には蝙蝠だったかな?それの羽が生えているらしい」
「なるほどー」
舞がそう言ってくれる、伝わったようで何よりだ
「それで、なんで私達が集められたんですか〜?」
華羅が紫に問う、まあ大体予想はついてるがな
「そうね、あなた達にはこの霧を止めてもらいたいの。どうやらこの霧は人間だけじゃなくて妖怪にも害があるのよ」
「確かに良い気分では無いです・・・」
「そう言うことなら喜んで協力するわ〜」
「私も行きますよ、こんな霧を出すなんて・・・潰します!」
待て待て、お前が言うとシャレにならないからな?その台詞。
どうやら皆乗り気のようだ。それはそうだろう、こんな日常が続くなんてたまったものじゃない。もちろん俺もーーー
「そうだな、ちょっとお仕置きが必要みたいだ」
「じゃあ全員参加ね、早速行きましょう」
こうして幻想郷最強のメンバーのパーティーが完成した。ドラクエで言う勇者×5人みたいなものだ。正直勇者以上の強さなんだけどな
かくして、俺たちは霧の出処ーーー名を紅魔館ーーーに出発した
〜
「うっわ、派手だなー」
目に入ってきたのは真っ赤な館である。西洋建築のいかにもと言った感じだ、見るからにヤバイ。
「目に悪いですね・・・おや、門番が居るみたいですよ」
風砥のその言葉に全員が反応する。確かに紅魔館の門の前には人影がある、どうやらお出迎えのようだ
〜
「何者ですか、ここからは立ち入り禁止ですよ!」
そう言ってくるのはチャイナ服を着た女性、いかにも中国拳法使いといった感じがする。
身体の発育が良いのでチャイナ服だととてもエロい感じだ・・・おっと違うな、とってもセクシーだ
『ジャンケンポン!』
「え?・・えっと・・・なにを?」
何って君の相手を誰がするかのジャンケンだけどね、全員が不機嫌だから鬱憤を晴らしたいのだ
「私ですね」
一人がパーで他全員がグー、勝負が決まった。勝者は風砥だ
「ジャンケンで決めるなんて・・・舐められたものですね・・・」
「まあまあ、そう言わずに。私は風砥と申します、どうぞよろしくお願いしますね」
「え、あっはい。私は紅美鈴と申します。よろしくお願いします」
上手く風砥のペースにハマっているようだ。メンバーの中で一番スピードのある風砥、華羅とのスピード勝負で勝ったと言っていたからな。
「じゃあ、頑張ってくださいねー」
「頑張ってね風砥」
「先に行くぞー」
「頑張ってな〜」
と、俺達は屋敷の中へと足を踏み入れた
「ち、ちょっと待ちなさい!」
「余所見ですか?」
ブン!と目の前に現れる風砥の拳。上半身を逸らしてそれを躱す美鈴。お互い戦闘スタイルは格闘だ、良い勝負になりそうだ
そんなことを思いながら玄関へ歩いて行った
〜
「ここからは一歩も通しませんよ、あなた達はここで死ぬ運命なのです」
『ジャンケンポン!』
銀色がかった髪のメイドを脇目にジャンケンをする。今回は一発で勝負が決まった
「私が相手ですわ、よろしくね」
「侵入者だなんて・・・中国は何をしているのかしら・・・」
彼女には紅美鈴と言うちゃんとした名前があるのだが・・・それは置いといて、どうやら彼女は人間のようだ。妖力を感じられない、この屋敷のメイドを務めているのだ。ただの人間では無いだろう
「紫気を付けr・・・・!?」
その言葉が終わる暇も無かった、一瞬で紫の目の前にナイフのカーテンが出来上がっていた。紫は一瞬の出来事で驚いた様だがスキマを使って回避していた。
「あら、時間を操る人間かしら?」
「さあ?知りたいのなら倒してみせなさい」
「大丈夫かな・・・じゃあ頑張れよ」
「死なないで下さいよー」
「紫ちゃん頑張ってね〜」
「ま、待ちなさいあなた達・・・!!!」
すかさず紫も四方八方にスキマを開いて弾幕を撃っている、今更ながら相変わらずえげつない能力だ。自分が動かなくても全方向から攻撃が出来るのだからな
〜
飛んで襲ってくる妖精を墜落させながら少し歩いていると、二人の人影が見えた。
一人は紫色の髪が長いのが特徴的でもう片方は頭の両側面と背中に生えている羽が特徴的だ。どうやら羽が生えてはいるが吸血鬼ではないっぽい。さしずめ紫色の使い魔と言ったところだろう
「凌さんは先にどうぞ、ここは私達が」
「そうやね〜、そろそろ行かせてもらうわ〜」
ああ・・・そこの二人よ・・・死なないでくれよ。この二人を相手にして無事で済むとは思ってないからな・・・
「お前ら手加減しろよ?」
「聞きましたかパチュリー様!?手加減される程相手は強いんですよ!逃げましょうよ〜」
「馬鹿言わないで、レミィのためなのよ。誰が相手だろうと全力でねじ伏せるだけよ」
「うぅ〜、わかりましたよ〜」
おや、結構強いみたいだ。だがこの力は初めて感じるな・・・妖力、霊力、神力でもない。・・・となると魔力か!どうやら相手は魔法使いの様だ、それもかなりの使い手っぽい
あの二人が負けるとは一ミリも思っていないけどな、さっさと元凶をぶっ潰して日向ぼっこしよ・・・
〜
「よく来たな客じゅ・・・客人よ、私はこの屋敷の主である。レミリア・スカーレットだ」
どうも、鈴谷凌です。この霧の元凶がどんな奴かと思ってたら可愛い女の子でした。何が可愛いって?噛み噛みなところだよ、無理して頑張ってる感が凄いかわいい
「そ、そんな目で見るな!死にたいのか!」
「いや・・・、そんな事よりこの霧を止めてくれないかな?」
「ふん、何を馬鹿なことを。止めるとでも思っているのか?この霧を幻想郷中に広げてここの頂点に立つのが最終目標だ!」
「そうか・・・、それじゃあお仕置き確定だな。・・・幻想郷に害をもたらすお前を全力で止める」
「やれるものならやってみろ」
レミリアはそう言うと右手に大きな槍を出現させる。かなりの力が伝わってくる
「消滅するがいい、この狐風情が」
そう呟いて槍を放つ、その槍は凌の目前まで迫ってーーー消滅した
「・・・・・え?」
何が起こったのか分かっていないレミリア、確かに脳天を貫いた。そう思っていたのだがこいつは平然と立っている。
見えないのも当たり前だろう、尻尾を妖力で強化し目視出来ないスピードで槍にぶつけたのだ。正直なところ弾き返すつもりだったがまさか消滅するとは思っていなかった
「さて、もう一度言おうか。霧をーーー止めろ」
ブワッと15本の尻尾が飛び出す、それと同時に屋敷のガラスが割れる。レミリアは口をパクパクさせて、驚愕の瞳でこちらを見つめている
「あぁ・・・う・・・」
どうやら戦意喪失したらしい、俺は尻尾を3本に戻してレミリアに近寄る
「・・・な、なんだ・・・?」
「霧を止めてくれないかなってね」
「わ、わかった・・・」
「今後一切こんな事は辞めるように、次は無いと思ってね」
「・・・うん」
どうやら霧も止まったみたいだ、さてと。あいつらはどうなったかな
『お嬢様!』
「レミィ!」
と言ってレミリアに駆け寄ってくる4人、全員がボロボロで満身創痍と言ったところだ
「いや、なかなか疲れましたよ」
「あの能力は厄介だったわ」
「不思議な攻撃でしたねー」
「綺麗だったわ〜」
更にその後から入ってくる4人、こちらはこちらで無傷である。攻撃を受けた様子が無い
「話はついたよ、後は紫がやってくれ」
「わかったわ」
「それじゃあ、戻るよ」
そう言って大広間から出ようとした瞬間
ドンッ!!!
そんな音がした気がした。
(あれ、何で扉から離れてるんだ?)
そんな事を思いながら自分の身体を見ると、左腕が無くなっていた。爆発にあったかのように地の焦げた匂いがする、無くなっている部分からは大量に血が飛び出す
「凌「さん!!!」」
「これは随分とやってくれるね、誰だい?」
扉の前にはレミリア・・・いや違う、明るい黄色というか金色の髪。背中に生えている不思議な形の羽、それに付いている宝石が綺麗だ
「フラン!」
「妹様!?」
なるほど、レミリアの妹か。凄い能力だな。おっと、まずは止血だな。
「凄い力が伝わってくるから飛び出して来たんだ!お姉様だけこんな面白そうな事ズルイよ」
「なんだ・・・?」
違和感に気付く、何と言うか彼女ーーフランは狂気に支配されている。そんな感じがする。
舞や紫達が戦闘態勢をとっている。あの能力が相手ではダメだ!
「待てお前ら!・・・フランだったかな?俺と続きをしようか」
「あは!遊んでくれるの!?私のオモチャは全部壊れちゃったの、・・・だからアナタはこワレナイでネ?」
「凌さん!?」「凌!?」
「大丈夫だから、信じて」
「次は頭を壊しちゃおう♪」
「きゅっとしてーーー」
その瞬間、何千年ぶりだろうか?能力使うのは、この能力は隠しておきたかったが今回ばっかりは仕方が無いな
「ーーードカーン!!!」
俺とフラン以外はギュッと目をつむった・・・・・だが爆発音も何も起こらない。
「え、え?どうして?」
「悪いな・・・っと」
一撃入れて気絶させる
「凌・・・さん・・・大丈夫なんですか?」
「ああ、大丈夫だ。・・・レミリア、聞きたいことがある」
「・・・わかった」
「フランの事を聞かせてくれーーー」
レミリアの話からすると、どうやらフランは長い間閉じ込められていたと言うことだ。その凶悪な能力を封じるために他人との距離を無理やり作っていたらしい。
これが原因で狂気が悪化したのだろう、ずっと一人で閉じ込められていたら誰でも狂ってしまう。フランは何百年も一人だったのだ、自分の狂気を抑えられないにまでそれは成長してしまったのだろう
「・・・・・なあ、フランを俺に預けてくれないか?」
「・・・は?」
「ずっと一人だったことが原因みたいだし、俺なら能力も効かない。一緒に過ごして世間ってものを教えてやるよ。普通に過ごせるようになったらこっちに連れて来るからさ」
「・・・本当に治るのか?」
「治してみせるさ」
「よろしく・・・たのむ」
「ああ、任せてくれ」
「お嬢様!?良いのですか!?」
「仕方が無いだろう!私だって・・・私だって好きで閉じ込めていたわけじゃない!出来ることならフランと一緒にご飯を食べて一緒に眠りたい、普通に過ごしたいんだ!」
「・・・お嬢様」
「・・・だから、妹をよろしくお願いします」
レミリアは笑顔で言ってくる、瞳からは大きな涙がこぼれている。一人の姉としての言葉だろう
「了解」
こんな妹思いのお姉様がいて良かったな、絶対に治してやるから。
「それじゃあ帰ろうか?」
「凌さん、腕大丈夫ですか」
「そうですよ!?片手無いんですよ」
「ちょ、ちょっと大丈夫〜?」
「凌、私はまだ話があるから残るわ。それと、後で聞きたいことがあるわ」
「大丈夫だって、・・・了解だ紫」
フランを背負って家に戻ることにした。帰宅途中、片手なのでフランを落としそうになったのを見て華羅にフランを奪われた。俺は何故か舞にお姫様抱っこで連れて行かれたのである。
(普通は逆じゃね?)
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紅魔館メンバーと親しくなるのはもっと後かな...名前も出てない方も居るからね。
次回からはフランちゃんと生活します。
ペロペロペロペロペロペロしたい




