ひと時の勝利と傷
思っていた以上に、建物への被害が大きかった。直接殺された人は少なかったが、建物の下に埋まった人は多いように見受けられた。
「チッ、ここらも直に燃えるな。消火はされてないのか?」
リクヤは被害の状況を把握することを急いでいるらしく、メモを取るのに余念が無い。敵には幸いと言うべきか、今まで会ってない。
「チクショウ、誰もいないのk…」
全員、敵を視認して隠れる。
「あれが……ガロウ人…?」
俺たちと変わらないじゃないか。唯一彼等は目が蒼いか朱い。遠目からだとわかりずらいが、きっと彼らの目も色があるのだろう。
「…イアン。殺れるか?」
リクヤは、敵を排除するつもりだ。
「当然」
敵は4人。やや数があるが問題ない。寧ろ人が多いと無闇に撃てないし振れないし戦いやすい。
「行け」
彼我の距離、目測15メートル。
世界が目標から放射状に引き伸ばされ、時間の流れを遅く感じる。集中力が一点に集まり、目標のみを捉える。
刹那、ブーツの鋲から、火花散らすほどの勢いで突っ込む。敵は目を見開き、銃を構えるが、遅い。腰から抜いた居合で、先頭の首を捉える。刃が骨を裁つ感覚が伝わる。返す刃で2人の肩口から心臓を叩き斬る。
「わぁぁぁぁーーー」
感情が昂りすぎて狂った敵兵は、長刀を大上段からの踏み込みで叩きつける。敵わない、と判断した俺はエモノと敵の身体の間に入る。そして、外から、両腕を裁断。そのまま返して、首を撥ねた。返り血がかかるが気にしてられない。辺りを見回し、敵が見当たらないことを確認して、仲間を呼ぶ。顔を見て、安心した俺だったが、横腹に違和感。
「え?」