ある夏の日のこと〜Chapter1〜
山奥で熊に出くわしたかと思った俺達であったが、その正体はれっきとした人間。
それも俺の知り合いーーーいや旧友と呼んでおこう。
ーーー4年前の夏のことーーー
俺達がまだ小学生だった頃のこと。
「たかみちーー!」
隆道と言うのは俺の名前だ。
そしてこの俺の名前を呼んだこいつが岡本善博俺達は当時それはそれは仲が良かった。
俺達は地元の少年野球チームに所属し、俺がキャッチャーそして善博がピッチャーを務めていた。そうバッテリーを組んでいた仲だったのだ。
善博はすでに名のある強豪校が視察にくるような有名選手だった。
対して俺はこれと言った特徴もない平凡な選手だった。
皮肉にも善博の才能が開花するのと比例するように二人の間に出来た溝は少しずつ…だが確かに大きくなっていった。
そんななかある日の試合のことだった。
9回2アウト満塁の場面
俺はが要求した球はインローへのストレート
しかし善博が投じた球はーーーアウトローへのフォーク。
結局これが決勝点となり俺はこの少年野球チーム辞めた。
しかし俺は逃げる口実が欲しかっただけなのかもしれない。
それから二ヶ月後くらいだっただろうか。
善博が肩を脱臼したと聞いたのはーー。