なに…こいつ…?
今日は大変な一日だった。
死ななかったのが奇跡だと言えるくらいだ…谷坂が。
キャンプ場につくまでに熊に出会ったのだが
国木田が伸びた谷坂を置いてさっさっと逃げたのだ。かと言う俺もこんな重たい奴を引きずりながら逃げるのもだるいし、放置してきたのだ。(それになんかうぜぇし☆)
…取り乱した。
それから谷坂がキャンプ場に着いたのは三時間後くらいだ。
ぜぇぜぇと息の荒い谷坂を見て俺たちは
『『あ、生きてたんだ』』と口を揃えた。
「お前らのせいで死にかけたんだろ!」
「特に国木田! 伸びてたのはお前が俺を海にむかって投げたせいだ! 海の藻屑になるとこだったぞコラ!」
どうやら谷坂は相当頭にきているようだ。
対して国木田は悪びれた様子もなく
「まぁまぁ腹減ったしさっさっとカレー作れへん?」
『つかこーゆー行事でカレーって定番だよな』
二人は普通に話していた。
「まぁそうだな」
谷坂はもう何を言っても無駄だと思ったのか人参を切り始めた。
国木田はじゃがいもの皮を、俺はじゃがいもを切っていた。
「カレーの色ってウ◯コに似てるやんなぁ」
こいつの脳年齢は小学生か?
『やめろ国木田食欲がなくなる』
「そうだぜ! 国木田!」
そしてカレーが完成した。
そして谷坂が「あー、腹減った! いただきます!」と一口カレーを口に運んだのだが…
「辛れぇええええ! 水! 水!」と言いながら近くの小川に向かって走っていった。
「あははっ!」と満足そうに笑う国木田の手には…タバスコが握られていた。
俺はあはは…と苦笑いしながらこいつは敵に回さないでおこうと心に誓った原であった。
そして就寝の時刻となった。
しかし国木田が「枕投げせぇへん?」と言い出した。俺も断わる理由はないので快く承諾したのだが…谷坂は嫌の一点張りだった。
なぜそこまで嫌がるのか不思議だったがほぼ無理やりすることとなった。
「じゃあ行くでー♬」と陽気に言いながら枕を投擲したーーーと思う。
なぜ分からないのかって?
そんなの見えないからに決まってんじゃん。
『つか、はえーーーー!』
谷坂はと言うと…本日二回目、また伸びていた。
後から聞いた話だが谷坂と国木田は小学校からの付き合いだそうだ。修学旅行とかで枕投げをする機会もあったのだろう。谷坂が枕投げに難色を示したのが頷ける。だが時すでに遅しーーー。
『や、やめろ! 国木田!』
「えー、わい勝負事で手抜きたくないねん!」
圧倒的力による暴力という名の枕投げが始まった。
夜はまだまだ始まったばかりだ。
「まだまだ行くでぇー!」と国木田の声が響いていた。