8話 美咲視点②
「光よその輝きで、彼の者の動きを封じよ! ホーリーバインド」
えっ!魔術?
魔術を使える人は魔術学園に通っていると聞いたことがあった。
実際目の前で見るのは初めてだ。以前TVの魔術師特集をやっていたときに
みたことが、半信半疑で手品と同じような感覚で見ていた。
コスプレはその魔術で拘束されている。今のうちにやっちゃえ~と心で叫ぶ。
しかし、尚也は手を出さず何かを唱えているようだ。
拘束が解けて尚也に向かってコスプレが走りだした。
「尚也君ダメ――」
「なおy――――」
2人の悲痛の叫びが体育館に響き渡る。
ダメと思いかけた瞬間それは頭上からやってきた。それは光と1本の白い槍だった。
その光を纏い、槍を持って尚也はコスプレに向かって行った。
「尚也君…」
見ると尚也の肩から血が出ていた。斧を受けた時に負ったようだ。
もう逃げてと言いたかったが懸命に一進一退の攻防を繰り返しているときに
そんなことを言える隙もなかった。
「尚也君大丈夫だよね?」
美咲は自分に言い聞かせるように言葉を呟いていた。
両者が再び決着をつける為に動いた。それは常人の目には追えない早さだった。
美咲にはどうなったか分らなかったが、コスプレの身体が倒れ消えていこうとしていた。
そして尚也見ると何か呟いて倒れた。
急いで尚也の所に駆け出していた。勇二もそのあとを追った。
「尚也君!尚也君…なお…やぐん」
「尚也…どうなってんだよ…おい」
美咲は名前を呼び尚也の姿を見ると泣き出してしまった。
肩と腹部の傷がひどいなんてものじゃなかった。普通ならこのまま死んでもおかしくはない怪我である。
どうしたらいい?どうしたら助かる?生きている?美咲は半分パニックを起こしていた。
しかし有田君が校医を呼んでくれた。これで助かるそう思った。
しかし校医は・・・残酷な言葉を告げた。
「おい 校医だろ なんとかしろよ」
「酷すぎて…手に…負えないわ・」
手に負えないほど酷い…どうして誰か助けてよ。なんで尚也君なのよ。
やっと仲良くなってこれからじゃないの?私が何か悪いことしたのなら謝るから
私が 私が 私が…お願い目を覚まして大丈夫だって言ってよ…。
何回も何回も心から願った。
「どうしたらいいの?このままじゃ死んじゃうよ…」