表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/74

68話 真実

球体から雨のように闇が降り注いだ。

各所で魔術師達は障壁を張り凌いでいるが威力が

尋常ではなく一人また一人と防壁が破られ無惨に散っていく有り様だった。


「これはまずいですね…。…全軍防衛ラインまで撤退します!」


レイスの指示で一斉に撤退をはじめようとするが、

移動するにしても降り注ぐ闇の雨の中を障壁を張りつつ

撤退をするのは至難の技であった。


「ーーーー広範囲上位光障壁(グレアバリアーオールラウンド)ーーーー」


ロックの声と共に周囲にいる味方全員に魔術防壁が張られていく。

年齢は未熟だがロックも尚也と一緒に小さい頃から学んできた一人である。

一般の魔術師が張れる障壁とは全く違うものだった。


「さすがだな!ロック」

「お前に負けてれやれないからな」

「言うじゃないか、こいつ」


尚也とロックはじゃれあうように手を高くあげ

パンッ と手を叩きあっていた。


女神(イシュタル)召喚の怪我はいいか?」

「こんなときに寝ていられないだろ」


シェラと紗菜が寄ってきてロックを歓迎していた。


「遅いわよ!」

「やっと4人揃ったね」


紗菜が3人をみて嬉しそうに言った。


「今です!全体後退しましょう!」


レイスの指示で硬直していた魔術師達が動き出した。

助かったことで安堵するもの、仲間の死体をその場に置いて

いくことに悔しがるもの、どんなことを思っても今は

この場を去らないと無駄に命を散らすことが明白である。

悔しながらもレイスやマティス、クリストファー、アンソニー、

レイラなど各代表達も後退を余儀なくされた。

魔力もほぼ使いきっていてその場に残っても足手まといに

なるのがわかっていたからだ。


「尚也君、ここまで来て申し訳ない…後は君達に託すことに…」

「ボウス達すまんな」

「レイスさんクリスさん気にせず下がってください」


レイス達は歯を食いしばり悔しそうな表情を浮かべていた。

各国の代表達は 一礼をして麓まで撤退していった。


「ロック、シェラ、紗菜…レイスさん達と一緒に下がってもいいんだぞ!」

「何いってんのよ!私たちがやらないで誰がやるのよ!」

「そうだよね。この日のために頑張ってきたんだもん」

「俺もこの日がくるのをどんなけ願っていたか」

「そうか……そうだよな…この日のために」

「「うん」」「おう」


4人の話が終わる頃黒き雨は止み静寂が支配していた。

まるでその時を待っていたかのように黒き小さな球体は

生き物のようにグニュグニュと動きながら体を形成していく。

4人はその光景を固唾を飲んで見つめていた。

そしてソレは人の姿…女性の姿に変わり佇んでいた。


「に…人間なの?」


シェラが思わず声に出した。


「そんなバカなことないだろ」

「擬態…?じゃないのかな?」


各々が憶測を口に出すが、尚也はじっとその姿を

見つめ、何かを待っているようだった。


髪は黒く腰まで延び、スラリとした体躯はまるで

モデルを思わすような見事なスタイルである。

服は黒いワンピースを来て顔立ちは東洋人的な

雰囲気を醸し出している。


尚也が不意にソレに対して声をかけた。


「やっと姿を現してくれたな」


ロック達はその言葉に驚き黙ったまま2人を交互にみていた。


「以前言っていた言葉の意味を教えてほしい、

覚えていて尚且つ理解しているのならだけど」


その言葉に黒き女性は下げていたゆっくり顔をあげ瞳を開いた。

その瞳はどこまでも覆い尽くしそうな闇であった。

シェラと紗菜は驚き手で口を塞ぐようにしていた。


「コノ…ト…キヲ…ドレダ……ケ…マッタ……カ」

「俺もこの時を待っていたよ」

「コトバ…デハ…ツタエ……ズライ…チョクセツ……ニ」


言葉を終えた瞬間4人は真っ暗な闇に覆われていた。


「どういうこと?」

「どうなってるんだ?」

「え?え?」

「みんな落ち着け、意識を引っ張られただけだ」


スーっと4人の目の前に黒き女性が現れていた。

尚也以外は一斉に戦闘体制をとっていた。


「…我が闇へようこそ。…5年の歳月で自我を取り戻すことができたが、

そう長い時間話をしている余裕があるわけではない」


黒き女性は口を動かさず喋っていた。

頭の中に直接声が響く感じがしてすぐに全員がテレパシーを使って

いることに気がついた。


「貴女は、以前俺に助けを求めた!それは何故だ?」

「我はいつからかわからぬが以前は人…そう君たちと同じだった。

記憶しているのは魔術の実験で連れてこられ、幾度もの実験を繰り返し、

手術や移植…そして、失敗した挙句…処分に困ったんであろう。

その後洞窟の奥に置き去りにされ、我は暗い闇の中をずっとずっとさ迷い続けた。

どのくらいの時だろう。時間を忘れ、自分を忘れ、闇とも同化していた。

だが、ある日声が聞こえた。幼き汝らの声だ!我を忘れて声のもとに

動かない体を引きずり声の方へと無我夢中で走り、出会った!

歓喜であった、嬉しくて、嬉しくて、歓喜が狂喜に代わりそして恐怖に代わり…

そう…すでに我は壊れた化け物であった。そして、あとは汝らが体験したこと」


「元は人間なんて…」

「…そんな…ひどいよ」

「…そんなことが……」


3人は黒き女性を見ながら信じられない様子だった。


「…我を滅ぼせ!今は辛うじて自我を取り戻しているが、

それもあと僅か。少年…あのときの暖かい光を我に与えよ…

…永久の眠りを我に。…長き時を暗い底で…もう…1人は耐えれぬ…」


黒き女性からの告白は一同を驚愕させるに十分だった。


「そんなこと言われて滅ぼせるわけないだろ!」


尚也は心の底から声を張り上げ叫んだ、


「なんとか助けてあげれないの?」

「私の治癒魔法でそんなことは…できないよ」

「尚也の復元魔術でいけるんじゃないか?」

「我は闇とこの失敗した体と同化した存在。

復元したところで今の体になろう。そして、我の中には封印した少女が存在している。

我を滅ぼさなぬ限りた…け……だ…すの………は……フフ…ハハハ」

「え?何どうしたの?」

「きっと…自我が崩壊したんだ」


黒き空間が消えさっきまでいた場所に立っていた。

黒き女性はうずくまり苦しみ出した。すると背中から大きなコウモリの様な羽を生やし、

真っ黒だった目には赤い光が宿り、手と足には鋭利な爪が鉤爪のように延びていた。


「……ミナ…ゴロシダ…スベテ…キエ……サレ…グァァァアアアアアア」


天へと戦いを挑む勢いで吼え天を大地震え上がらせた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ