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67話 終幕への序曲

どす黒い雲が太陽を隠し、暗黒の空を浮かび上がらせている。

幸いにも雨は降りそうにもない。

球体は何も無いかのように静かに、ただ、ただ、浮かんでいる。

球体の下からはまだ続々と流れ落ちている淀みがγ(ガンマ)達を生み出している。


アリッサとロックの健闘のおかげで尚也達は無事頂上に着けたがその様相を見て、

思わず溜息を漏らさずにはいられなかった。


リーネに連れられて後衛の本陣で治療を受けているアリッサだが、

これ以上の戦闘は無理だと判断され悔しそうに涙を浮かべていた。

ロックは簡単な治療を済ませるとアリッサに声を掛けまた戦場へと繰り出して行った。


「死んだりしたら許さないから………」


アリッサは病室の窓から空を見ながら祈っていた。



頂上に着いた7人は何とも云い様のない闇に眼を奪われていた。

20㍍はあるはずの縦長の空洞が球体から流れる淀みで満たされており、

続々とγ(ガンマ)や守護者達は湧き出している。


「これはひどい状況ですね」

「レイスさんひどいなんてもんじゃありませんよ」


アンソニーがレイスの言葉に大きな溜息をつきながら返した。


「しかし、あれもどうにかしないとだめじゃろうな」

「光の魔術で浄化の…神の御力を示すときです!」


尚也はマティスの意見に頷いた。


「マティスさんの言うとおりあの淀みを何とかしないとダメね」

「淀みを無くすには元を断つのが一番だと思う」

「範囲系の魔術で球体と淀みごと破壊するか…」


尚也の提案に各々それしかないなと頷いている。

そうと決まったらとマティスは勢いよく手を振り上げ魔術を放った。

それに続いてどんどん魔術を打ち込んで行った。


「最強の魔術を打ち込みますーーーー聖炎(セイントフレア)ーーーー」

「ならば儂もーーーー闇波動(ダークマター)ーーーー」

「私も本気でいきますーーーー炎竜巻(フレイムトルネード)ーーーー」

「押し潰すーーーー圧縮重力(グラビティヘブン)ーーーー」


4人の魔術が縦長の洞窟へと導かれ淀みへと吸い込まれていき、

物凄い爆音を響かせながら淀みを消し去っていく。


「シェラ!紗菜!俺らも負けていられない!」

「はい!」「わかっているわよ!」


「ーーーー獄炎乃破壊(デストラクションオブヘルファイア)ーーーー」

「ーーーー合成魔術ーーーー、ーーーー氷水大蛇(ヨルムンガルド)ーーーー」


魔術が絶え間なく打ち込まれ爆風が逆流し上へと押し戻されていく。

しばらくは爆煙で洞窟が見えなかったが、爆風のおかげで霧が晴れて行くように中が見えてきた。

7人の一斉攻撃によって溜まっていた淀みはほぼ排除されていたが、魔術師達の疲労も既にピークに

達していてもおかしくはない状況だった。


レイスやアンソニーは肩を大きく揺らしている。

クリストファーやマティスは額に大量の汗ををかいている。

しかし淀みは消し去ったが、肝心の球体にはそれほどのダメージは与えていないようだ。


球体と淀みへの攻撃のお陰でγ(ガンマ)達の出現が一時的に停止し、

後衛を守っていたレイラや他の魔術師達が頂上から少し下らへんに

陣を組み次の戦いへの準備をしている。


「さて私達の全力の魔術でも球体はあまり影響をうけていない状態のようですね」

「儂らの魔力も大分消費しておるぞ」

「一体どうなってるんですかね」

「ここまで強固とは…」

「「「………」」」


魔力も乏しく標的には大したダメージすら与えられていない状況に各国の

代表も頭を抱えざるを得なかった。


尚也は4人をじっと見つめていた。

正直な話これだけのメンツがいればもう少し善戦できると考えていた

それがこの有り様だ。

だが、尚也の心に不安は不思議となかった。


「シェラ、紗菜」

「「なに」」


尚也は二人の頭を優しく撫でるその顔には何かを決意したかの

ような強い意思と優しい笑顔があった。


「よく聞いてくれ、いまから俺が球体の本体を引きずり出す!

何が起こるかわからないけど、もしやばいと思ったらみんなを連れて

下がるんだぞ」

「ナオヤはどうするの?」


そのシェラの問いに紗菜も同意するように尚也を見つめていた。


「俺は決着をつけないといけないから!」

(いろんな意味でだけど、レンも助けるし、そしてアレの正体を確かめる必要もある)


「そんなダメだよ…」

「あんたはまたそうやって一人で背負いこむだから…」

「俺だけじゃみんなを守れないから二人に頼むんだよ」


尚也の決意はが固いのは二人にも伝わっていたが、

理解するのと納得するのはまた別問題でもある。

しかし、状況を打開できるのは尚也しかおらず、

結局尚也に頼ってしまっている自分達が悔しくて情けなかった。


「それぞれ人には役割があるんだよ。

 さて!気合いいれていくぞ!魔力は俺たちしか残ってないんだ」

「「 はい 」」


尚也は詠唱に入るといつもより長くそして集中して言葉を紡いでいた。


「ボウズめ…次は何をする気じゃ」

「あの詠唱は…」

「やれやれですね。ホントに彼は桁違いのようですね」

「禁呪…」


尚也の周りに黒い霧のような物が表れ尚也を中心に渦巻いていた。

魔術陣が球体の下に出てゆっくり準備ができるのを待っているかのようにまわっている。


「地獄の門よ 永久の暗闇へと誘え ーーーー奈落乃扉(アビスゲート)ーーーー」


唱えた一瞬の内に魔術陣が割れ、その下から真っ暗な闇が現れた。

そして、もの凄い勢いで球体を吸い込んでいく。

球体から徐々に淀みが剥がれゲートに吸い込まれていくまるでブラックホールである。

まとわりつく淀みが剥がれその正体が見えてきていた。

黒い小さい塊になり、ソレはアビスゲートに何かを撃ち込むと

ゲートは収縮をはじめそして消えたのだった。


「どうなっているんだ」

「どうやら打ち消されたようですね」


「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」


球体は何か声のようなものを発し急に攻撃をしかけてきた。






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