64話 少年達の実力
「ブォォォォォォン」
角笛の音が戦場に響き渡る。
それを合図に前線にいる魔術師がなけなしの魔力で一斉攻撃し同時に退却をした。
すぐに上空から物凄い音を立て戦闘機が1台また1台と大型の容器を次々と投下し始める。
その影響で魔物達は足止めを食らい暫く動けない状態が続くが溢れ出している魔物はそれを
乗り越えてこちらに向かおうとしていた。
夜通し戦っていた魔術師達と入れ替わりに第一波としてレイス・率いる日本軍と合衆国率いる
アンソニー・ロシアを率いるレイラ・そして尚也達が突入を開始する。
前線で戦っていた魔術師達は傷だらけで中には腕を失っている者までいた。
しかし、手を貸そうとするとそんなことは構わず行けと怒鳴り自分達の役目は全うした
後は任せたと立ち去っていった。
尚也が一旦全軍を止らせる…
「全員停止して下ください!」
「おい…聞いてないぞ何やってる?」
アンソニーが慌てて尚也を止めに入るが、レイスがそれを止め全軍に一時待機を
呼びかけた。少し混乱は起きたが全軍は停止し次の指示を待っていた。
「アリッサ…第一波が停止してしまっているがどうしたんだろうか?」
「あら…わからない?あの子が力を見せてくれるのよ」
アリッサは二ヤリと笑いマティスは首を傾げ、クリストファーはガハハと楽しそうであった。
「ーーーー破滅乃獄炎ーーーー」
尚也は天高く上で振り上げ無詠唱で魔術を紡ぎ腕を精一杯振り下ろしていた。
声が響いたと同時に物凄い業火が地獄の様に荒れ狂いその場に動けなくなっていた
魔物達を無尽蔵に食いつくしていた。
大地は焼かれその高温に足を踏み入れることもできないほどだった。
その光景はまるで天よりミカエルがレヴァンティンを振りかざし全ての者を浄化してるかのように
マティスには見えていた。
「まさに神に選ばれし…子だ」
「あら…これは想像以上に…ほしくなっちゃうわね♪」
「儂らの手助けなんぞいらないんじゃないか…」
それは前線でも同じことがおきていた。
「ハハ…何ですかねこれは…」
「…レイスさん俺帰っていいですかね…」
「ナオヤ…アンタ物凄いわね…」
シェラ達はその力に驚かず寧ろ誇らしげにしていた。
ずっと子供扱いされていた自分達が見返せるときが来たのだ。
「紗菜…私達もヤルわよ」二コリ
「うん」
2人は魔力練りだしお互いの手を握り祈る様にその言葉を紡ぐ。
「――――合成魔術―――――・ーーーー氷水大蛇ーーーー」
1頭の水龍が現れ業火に焼き尽くされた大地を水で潤しながら魔物を更に押し流してく。
「闇からの守りをーーーー広範囲上位光障壁ーーーー」
ロックの呪文と共に魔術師1人々に光の障壁が掛かっていく。
普通なら1人に掛ける魔術を広範囲を対象にした魔術が紡がれている。
周囲は騒然となった今まで対処の仕様がなく防ぐのがやっとで本当に
この作戦も勝てるのか不安を心の底では思っていたのだ。
しかし、現実はどうだ、年端もいかない少年少女達が紡ぐ魔術で目の前の
魔物は全滅されているではないか。
「君達は…規格外過ぎますね…ですが、今はそれが心地よい!
全軍に通達!子供達に良いとこをとられては黙っていられません!
我々大人の力も見せつけてやりましょー全軍前進せよ―――」
「ブォォォォン」
角笛が鳴り響きテンションの上がった大人達は球体を目指して走り出した。
球体からはどんどん溢れ出してくるが懸命に魔術で対応しながら登っていく!
ある者は倒れ、ある者は傷つき…それでも前に進む。
「ーーーー重力波ーーーー」
「ーーーー氷嵐――――」
湧き出てくる魔物に次々と魔術で攻撃するがその攻撃を上回る速度で
湧き出してくる。
大分進撃した感じはしているが、実際はまだ中腹辺りまでしか登って来ていなかった
戦闘が長引くにつれ戦線が膠着していく。
「レイスっち!ちょっとこれじゃヤバいわよ!」
「仕方ありませんね。後方の部隊にも働いてもらいましょう」
「ーーーー聖十字刃ーーーー」
「ーーーー炎竜巻ーーーー」
「ーーーー聖障壁――――」
「ーーーー水流波ーーーー」
「「「…………」」」
「レイスさんあれホントに魔術学園の生徒なんですか?」
「…アンソニー深く考えてはダメだよ…
リーネ!後方の部隊に戦線への参加要請をお願いします」
「了解しました~」
後方への戦闘の参加要請はお馴染の角笛で行う。
「ブォォォォン~~ブォォォォン」
角笛が2回鳴り響びき、後方の部隊が出撃をしだす。
大勢で突撃しても1人のやれることは限られ最大限の効果をもたらす
ことは出来ないと部隊を2部隊に別け、1部隊が膠着に陥ったら2部隊で
道を切り開くために取られた作戦であった。
そして、一旦1部隊は多少後退し態勢立て直し随時戦闘に参加していく。
「あら…お呼びがかかったわよ」
「正義の鉄槌をくれてやりましょか」
「おし、全軍出撃するぞ――――――――」
「「「おお――――」」」
遠目で戦闘を見ていた後方の魔術師達はその戦いに魅せられ今か今かと
やる気をみなぎらせていた。
「あら…すごいやる気だこと」
「ガハハ、久し振りに燃えるわい」
「あら…私の可愛い子よおいでーーーー氷幻狼ーーーー」
上空に大きな魔術陣が出現しその上に白銀の狼が姿を現す。
「ワォォォォォン」
遠吠えが終わると魔術陣を蹴って前線の戦場を勢いよく駆け出し蹂躙しだした。
その隙に1部隊は多少後退し戦線の立て直しを図っていた。
「あら…暴れちゃって可愛い」
「急いで登るぞ」
一方尚也達は最前線で奮闘していた。
「キャッ」
「シェラちゃん!」
シェラは吹き飛ばされそうになったのを尚也に受け止められていた。
「シェラ無理に前に出ちゃダメだ!
もう直ぐ後方の部隊が到着するそんなに急がなくてもいい」
「ありがと!でもここまで魔物の数が多いなんて」
「前は魔力の開放だけだったのにね」
「俺らだけじゃ頂上に行くのは無理だな」
しかし、少し前に比べたら魔物の数が大分減った様に見える。
このまま後方部隊と合流して一気に球体に取りつきたいところだ。
依然球体は静かに浮いており何ら変化するようには見えない。
球体の中がどうなっているのか昔みた光景を4人は思い出していた。
「尚也…前のアレが出てくると思うか?」
「…あの球体をみてると前以上になってそうだ…」
「あーもう、どうなってるのよ」
「でも私達なら…ね」
「紗菜の言う通り…レンも俺達を待ってるよ!」
レンの事を思い出した途端4人に更なる活力が沸いていた。
しかし、その時魔術が尚也達に向かって紡がれていた。
「ーーーー雷撃(サンダ―ボルト)ーーーー」
「え?なんだ?うわ…」
ロックが異変に気づき振り向いた瞬間白い閃光が既に向かってきていた。
「ーーーー土障壁ーーーー」
「え?誰が撃ったの?」
間一髪で紗菜が地属性の魔術で防いでいた。
「紗菜…助かったぜ」
「報告にあった魔法を使ってくるって守護者なの?」
「そうらしい…だけどーーーー暴風竜巻ーーーー」
「グアアァァァァァ」
尚也の風の魔術に体中切り刻まれ叫びをあげて吹っ飛ばされていった。
それを始めとし、守護者がかなりの数湧き出してきていた。




