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60話 報告と惨状

エレン達の死をかけた攻防のおかげで防衛線の維持が可能になり

第2陣の救援と同時にエミリーも帰還していた。

コンコン


「失礼します。日本から調査を終え帰還しました」


エミリーはカイルに向けて敬礼をし、部屋にいるもう1人に目線を移した。


「ご苦労だったな。こちらも大変なことになった。

 既存の魔術師が半減し魔術師を率いてもらっていた

 エレン殿に副官東雲殿…2つ名の魔術師の何人かは行方不明だ。

 第2陣の救援が来なければ壊滅していたとこだ」

「それほどの被害がでたのですか?」

「ええ、私達が駆け付けた時には大分収束していましたが

 未だ予断を許さない状況ですね」

「失礼ですが…あなたは?」

「これは失礼しました。私は合衆国魔術管理省のレイス・ラミレスと申します」


レイス・ラミレス 51歳

合衆国魔術管理省所属・階級はワイズマン

事実上の魔術師のトップである。

温和な顔立ちだが冷静沈着であり物事を見通す目に長けている。

その知識も豊富だが実力も兼ね備えており魔術師で知らないものはいない。

2つ名を専門家スペシャリストと呼ばれている。


「私達が来る前、対象が変化を見せた様で

 多くの死者がでましたがエレン達のがんばりで被害も最小限でした…

 今は各国の2つ名とウィザードの増員で防いでいます」


レイスはエレンの話をする時、本当に悲しそうな顔をしていた。

あと1歩早く来ていれば彼女達を助けれたかもしれないとレイスは悔んでいた。

彼女達はレイスの教え子でもあり優秀な部下でもあった。


「私の報告も申し上げてよろしいでしょうか?」

「ああ頼む…頼みの綱だからな」


エミリーは尚也の復活とその強大な魔力にユウを再生させた

知識やその魔術精度などわかる範囲で細かく話した。

封印をしたのは溢れ出る魔物ではないことと、

そして、肝心な条件突き立てられたことをカイルに

報告すると机を叩いてカイルは叫んだ。


「何?条件?今はそんな状況じゃないだろーが!」

「しかし将軍、彼は封印を解くのに反対し、情報も提供していた。

 にも関わらず、我々は勝手に封印を解いたのです…」

「それは…上の…我々の責任だな…」


カイルは勢いを失いドスンと椅子に座り考えるような姿勢を取っていた。


「私もその尚也君に興味もありますし、条件を呑んではどうでしょうか?」

「しかし…」

「カイル将軍…

 はっきり申し上げます。今のままでは我々は恐らく壊滅します。

 その少年が何らかの鍵となる手段を持っているならそれに縋りたい」


しばらく考えた末にレイスの率直な意見にカイルはやむを得ないかと頷き、

大統領に連絡を入れ、提示されていた4項目の条件を呑むことの承諾をもらった。


そしてエミリーは尚也に連絡をし、大統領との面会は今司令所として使われている

施設に決定し、条件を受け入れる事とともにできるだけ早くこちらに赴いてきて

欲しい旨を伝えたのだった。

そして、一緒に戦ってほしいことを軍部総意として伝えた。


レイスは魔術師達の司令部…エレンが使っていた部屋に1人の補佐官と共にいた。


「で、このナオヤシンドウとは何ものなんです?」

「私も会ったことはないし分からないよ、ただ報告書によると

 小さい頃からかなり規格外だったらしい…あれを封印した本人だ」

「あの溢れ出てる中心に存在するモノですか?」

「そうらしい。そっちを封印したみたいだよ。

 今私達が対処してるのは言わば抗体に似てるのかもしれないね」


レイスは1つの不安を抱いていた。

尚也が封印した存在…それはどこから来たのだろうか。

いきなり沸いて出てくるようなモノじゃない…。

可能性は限りなくあるが、それは現実が伴わないことも入れればだが、

現実的に考えると…レイスの頭の隅に以前読んだ文献のことが

過っていたが…まさかそんなことはないだろうと頭から追い出していた。


「リーネ補佐官、また明日から忙しくなる。早めに休んでおきなさい」

「はーい、では失礼します~」


リーネ・ウォーカー 26歳

合衆国魔術管理省所属し階級はウィッチ

レイスの補佐官として事務全般を任されている。

髪を後頭部で括り、しっかりとスーツを着てエリートな雰囲気がでている。

2つ名はない。


エレン達の戦いから一夜が立ち事態は収拾に向けて動き出しているが

予断は許さず気を抜けないことは明らかだ。

そして、尚也達にもエミリーからの連絡が入り…事は加速しだした。





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