57話 脅威と未知
パチパチ
「まさか分身が戻ってきているとは
記述もあまり当てにならないものだ」
エミリーは拍手しながらロックと共にこちらに歩いてきた。
「以前自己紹介はしたが、合衆国軍 エミリー・ムーア中佐だ。
隣にいるのがロックハート・ブラウン君だ」
「尚也…久し振りだな。シェラと紗菜も2年振りくらいになるか」
「尚也…すまなかった。俺は子供で現実を受け入れられなかったんだ。
そして、君に八つ当たりしてしまっていた。本当にすまなかった。」
3人は驚きを隠せなかった。当時のロックなら
そんなことは言えなかっただろう。
彼もこの5年決して遊んでいた訳ではなく、
自分をしっかり磨いていたのだと確信させた。
「ロック・・・お前」
「尚也、俺も一緒に戦わせてくれ」
尚也はフッと笑うと手をだし握手を求めた。
それを見たロックは嬉しそうにそれに答えた。
シェラと紗菜も握手の上に手をおき4人で分かち合った。
「それにしても尚也…随分とその…可愛くなったな」
「…まだ自分の顔を見てないからわからないけど?」
「そうね!ほぼユウと変わらないわね。女顔よ♪」
「なおやくん今度お買い物行こうね♪」
シェラと紗菜は楽しそうに買い物で何を着せようか
相談しているのだった。
それをみてロックは笑っていた。
まるで事件が起きる前の4人に戻ったかのようだった。
「ゴホンッ そろそろいいかな?新堂尚也君で間違いはなさそうだな?
この前と大分変ってしまっているので」
「ええ、やっと元通りです」
「単刀直入に言わせてもらえれば、今現地は魔物が溢れ出て対処の仕様がない。
なんとか協力してもらえないだろうか?」
「俺は忠告したはずです。こうなることを」
エミリーの表情は固くなっていた。
幾ら忠告を受けようと軍人として上の命令は
絶対なのだ。それを無視しては組織の崩壊を
招いてしまう恐れがある。
「君の言いたいことはわかっているつもりだ…
ただわかってほしいのは私も命令されて動いている身
だということだ。なんの権限もないんだ」
「そうですね エミリーさんを責めても何もなりませんね。
それじゃいくつか条件があります。それを上に伝えてください。」
1つ 大統領との面会
1つ 報酬一人10億円
1つ 自分及び仲間への安全の保証
1つ 魔術に関わるものへの待遇強化
「あとは・・・またそのとき思い付いたらで」
その報酬額を聞いて全員が驚いていた。
誰もが10億なんてものを用意できるとは思わない。
しかし、尚也の顔は真面目で冗談を言ってるとは思えなかった。
「10億なんて今以上の被害がでたら安いものでしょう」
「報酬の件は伝えるにしても安全の保証とはどういう意味かな?」
「貴方の考えはわかりません、そして、合衆国だけに言えることじゃありませんが
利があるうちは利用し、自分達に害があると判断したら抹殺しかねないでしょ?」
エミリーは少年に脅威を覚えた…その年でそこまで考えていることに。
そう合衆国では昔からやられていることだった。
必要でなくなったものは抹殺して自分達への脅威を取り除いてきた。
「わ…わかった出来るだけ譲歩しよう…
その代わり湧き続けている魔物をどうにかしてほしい」
シェラが前に出てきてエミリを指さし…。
「ホントにわかってないのね!エミリー中佐。
いい?本当に恐ろしいのは出てきてる魔物じゃないのよ。
その中心にいるモノなの!」
「あれは到底人の敵うモノじゃありません…」
「以前戦った俺達が言うんだ間違いはないな」
魔物が湧き出している…つまりその根源とは何か?
それをすら軍はまだ解明…遭遇していない現状に
シェラ達は憤りを感じられないではいられなかった。
「穴か何かから噴き出してるわけではないのか…
中心に存在してる何かが魔物を量産してるというのか…」
エミリーは信じられなかった。
ただでさえ、魔物達にすら押されているのにその中心に魔物を
上回る何かが存在するということに。




