56話 ユウの再生
尚也はおもむろに手刀を自分の左腕の肘から少し上のところを
振り下ろした。
その瞬間腕がドサッと地面に落ち、瞬く間に血の海が広がる。
いきなりのことに全員唖然としたが腕が落ちたことを認識
し出すと倒れる者もいた。
「ーーーー再生術ーーーー」
血の海に驚きや悲鳴をあげる周囲に構わず、その激痛に耐えながら
尚也は自分の腕の傷口に復元の魔術を施す。
そして、復元が終わると落ちた腕に向かって魔術を唱えた。
「ーーーー再生術ーーーー、ーーーー復元術ーーーー」
腕がみるみるうちに人の形になり骨・筋肉・血管などが復元…
再生されていくのがわかるもはや人智を超えた力と言っても
過言ではないかもしれない。
そして尚也と同じ人間が出来上がっていた。
そして目を瞑り魔力を高めて行き、手を横に振ると下から魔術陣
が出現していた。
「ーーーー同調離魂ーーーー」
尚也の体が光だす、本来ならもう一人の自分の分身を
作り出すが最初からユウを分身として作りだし精神を
しっかりその分身に安定させ必要な情報を分身のユウに
送り込む。
「ユウ…目を開けてごらん?」
尚也は優しく導くように話しかけていた。
ユウは言われた通りゆっくりと眩しそうに目を開けた。
「なおや?どうして?」
「ユウ…君が消えることにみんなが反対なんだそうだ」
「ユウちゃん」
「ユウ…」
美咲とシェラが声をかけると…
グラウンドでユウを励ます声が所々で上がる。
美咲は手と手を組み会わせ神に願いを乞ような感じで祈っていた。
「俺を信じて、そこの体と融合をするよ」
「…うん」
短い返事だったが、ユウは嬉しそうに微笑んでおり
すべてを任せる覚悟をしていることがわかった。
「――――――――――」
2つは重なり光の柱ができ六芒星が上から徐々に降りてきた。
尚也はその六芒星を補助するように手を掲げゆっくりと六芒星
を下に降ろして行くと、中からユウが最初に出現したように膜が
掛かっており、六芒星が消えると同時に膜も消え去った。
そして、ユウはそのまま倒れかけたが尚也が受け止めていた。
「大丈夫か?もう目を開けていいよ。
ユウ…体が安定するまで暫くは安静が必要かもしれないな」
尚也に抱き抱えながら少し辛そうにユウは目を開いていた。
「…なおや…ありがとう…グスッ」
「お礼はいいよ。けど俺の代わりに美咲のそばにいてやってほしい…」
「え?…どういう…」
尚也の言葉にユウは不安を覚えたがそれを問う前に
美咲が飛び込んできたが尚也がそれを制止していた。
「ユウちゃん!」
「こらまだ本調子じゃないんだ」
他のメンバーも抱きついて喜びたそうだったが、
ユウの辛そうな顔をみると、今は戻って来れただけでも
十分と喜んでいた。
「美咲…進藤先生と一緒にユウを保健室へ」
「…うん 尚也君は?」
「俺はそこのお客さんと話がある」
尚也は目線をグラウンドの端に移すと鋭い眼光を向けていた。
そこには金髪の少年と軍服の女性がこちらを見つめていた。
「ロック…」
「エミリーさんも一緒だね」
シェラと紗菜も前へでてきて話し合いに参加するつもりだ。
美咲はユウを見つめ…今は尚也よりユウを優先すべきだと
判断し、進藤先生と彩見と鈴を伴って校舎にある保健室へと
向かった。他の生徒や教師もユウの無事が判ると早々に授業に
戻っていった。




