53話 世界への救援
その日、世界中に臨時ニュースが流され人々を混乱に陥れていた。
「緊急の臨時ニュースをお伝えします。
本日合衆国より世界各国へ向けて緊急救援要請が発せられました。
詳細に寄りますと、遺跡に封印されている球体を見つけ調査している
最中、封印が解け中から黒い淀みと共に未確認の魔物が大量に出現。
当初軍が対応したが物理的な武器が効かず、魔術による攻撃が現在
有効ということがわかり魔術での攻撃をメインに食い止めている状況
だということです。しかし、出現している魔物の数が多すぎる為
対応している魔術師の数では防ぎきれないと判断、そして各国への
救援要請へと踏み切った模様です…。専門家をお呼びしています…」
どのメディアもそのことを取り上げ、中には現地取材を行おう
とするジャーナリスト達が動き始めていた。
世界中の魔術師の救援要請…
未だかつてそんなことがあったためしがない為、その危機感をより
大きくしていた。
美咲の通っている学校でもその話は持ちきりになっていた。
「そんなにのんびりもしてられないわね」
「そうだね…」
シェラと紗菜は真剣な顔で廊下での噂に耳を傾けていた。
しかし、平和はどこにでもあるようだ。
「アハハ モブおっはよー」
「…モブ…それは主要キャラクター以外の、
その他大勢のこと。群集キャラ、背景キャラともいう…ぉは」
「小日向ーお前いちいち説明いれてんじゃねーよ」
ユウは元気に朝の挨拶をしていた。
ユウを筆頭に美咲、シェラ、紗菜が一緒に登校している。
それに鈴が加わりモブのキャラ説明を細かくしている。
勇二は後ろの二人をみると顔色を変え、すーっとユウを通り過ぎ
シェラと紗菜の前に行き…
「2人とも久し振りだね!おはよう!」
勇二は元気な声で清々しい顔をし挨拶をするが、シェラと紗菜には
何も映っておらずそのまま教室に入って行った。
「どんだけスルーだよ…」
「アハハ わたしがよちよちしてあげるね」
「ユウちゃー『ぶは』」
「あまり甘やかすと調子に乗るよ」
勇二は頭を撫でられたのがチャンス!と思い、ユウに抱きつこうと
突撃を図ったが美咲のエルボーが見事に胸に刺さりそのまま崩れ落ちた。
チャイムが鳴り担任の紀子が教室に入ってきて、シェラと紗菜が1日体験入学を
するため協力を仰いだ。美少女2人の突然の来訪に男子生徒は興奮の絶頂に至って
いたが次の説明で重い空気と化した。
「彼女達2人はね、魔術学園の生徒さんなのよ。変に手をだして痛い目みても
先生は責任とらないからねー。あと校長が可愛い子に変なことしたら
退学にしてやる…って息巻いていたわ」
男子生徒全員先のプール地獄をを思い出していた。
死に物狂いで這ったあの俺達の涙と青春を…。
ホームルームは終わるとシェラと紗菜への質問攻めとなり
教室は臨時ニュースのことなど関係ないような雰囲気になっていた。
隣や他のクラスからも現役の魔術学園生を見に廊下も人で溢れかえっていた。
そしてお昼になりメンバーは保健室へと避難し昼食を取っていた。
「君らここは食堂じゃないんだぞ」
「先生いいじゃん。一緒に食べれば」
「ごはんだー」
「…だー」
進藤先生が保健室に来た面々に今日は特別だからと釘をさしつつ
ユウの隣を陣取りご飯を交換したり、食べさせたりしている。
それを見たメンバーはやれやれと言った表情だ。
「ユウ…君は可愛いな…私の所に来てもいいぞ」
「えへへ♪かわいい?」
「先生冗談に聞こえないからやめてください」
「あれは本気ね」
「本気だ」
「本気ですよね」
「…私も…ほしい…」
「「「「「……」」」」」
進藤の言葉に美咲が注意するがそんなことは耳に入らない
かのようにユウに接している。
鈴の本音にそれぞれの意中はどんなことを考えていたのかは
想像に任せよう。
「午後からの授業はなにがあるの?」
「午後は体育があるよ」
「プールがいいよおー」
「今日はソフトボールでしょ」
ユウはプールがよかったと残念そうにしていると進藤が
今度大きいプールに連れて行ってやろうと耳打ちしていた。
それを聞いたユウは跳ね上がる様に喜び進藤に抱きついていた。
進藤は頬を赤く染め嬉しそうな表情をしている。
全員が私も行きますからと言ったのは説明するまでも無い。




