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5話 決着と現実

一瞬の攻防が終わり、

両者とも動かずにいる。

数秒だが永遠とも思える時間の中で片方の身体が

ドサリと落ち、倒れたほうの身体から煙が

出て風に吹かれ風化して無くなってしまった。


「ふう~ なんとかなったか…

 だけど、俺もひどくやられたな…」


尚也の身体から光が消え、剣も消え去った。

光で見えてなかった傷の部分がようやくあわらになる、

肩からの出血に加え、攻防がどれだけ激しかったかを

物語るように血だらけである。

最後の一撃も腹部に食らっており、

かなりの出血がみられた。


「くっ、なんとか…治療を…しな・い・・と」


ドサッ

尚也の意識はそこで暗闇の中に落ちた。

彼の名前を呼び続けているものがいるとも知らずに。

尚也が倒れて数秒後、生徒達が落ち着きを取り戻しつつあった。


「倒したみたいよ?」

「あの子大丈夫か?」

「近付かないほうがいいって」


などと色々な声が周囲から聞こえてくる。


「尚也君!尚也君…なお…やぐん」

「なおや…どうなってるんだよ…おい…」


2人が早々に駆け寄ってきた。

肩と腹部にはひどい出血がみられた。

しかし、みたこともないひどい状態にどうしていいか

分からず美咲は泣き出してしまった。

勇二はなんとか止血しよう近くに来ていた生徒に

大きな声で助けを呼ぶ。


「おい お前!校医を呼べ!血が止まらねーんだよ」

「わ・・わかった ちょっと待ってろ」


ドアは守護者がいなくなったことにより開放されていたが、

先ほどの生徒が連れてきた校医は怪我をみて絶望していた。


「おい 校医だろ 早くなんとかしろよ!」 


勇二が悲痛の思いで叫ぶ


「酷すぎて…手に…負えないわ」


そう言って彼女は神に祈るしかなかった。

尚也のいる一角に生徒や教師が集まりだしていた。

血だらけの尚也を見て、泣くもの、感謝するもの、

嘲るものなど色々な言葉が飛び交っている。

美咲が泣き叫んでいる。勇二も泣き叫んでいる。


「どうしたらいいの?このままじゃ死んじゃうよ…」

「先生どうにかならないのかよ 尚也が!」

「今救急車を呼んだわ。

 ここでできるのはちょっとした止血くらいしかないわ。

 いい?ずっと声をかけてあげるのよ 諦めないで!!」


そうやって声を掛けながら心の底で

もう助からないと思っている自分に心底悔しかった。

自分は医療を学んできた。

医師免許を取ったが病院にはいかず、

昔からの夢だった校医になった。

そして生徒達の力になれたらとずっと自分なりに

頑張ってきたのだ。

しかし、目の前のこれはなんだ、

瀕死の重傷の子に諦めないでといいながら

手の施しようがないといってる。

もう祈るしかない。        


(誰か…この子を助けて!!)



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