47話 限られた時間
アハハと笑うユウの前で頬に一滴の涙を
流している少女がいた。
吸収しちゃった…もう2度と会うことができない。
そう考えただけでその少女は今にも絶望に陥ろうと
していた時…
「みさきちゃん待って!ウソだから泣かないでね?
いまからちゃんと説明するよ~」
美咲の涙をみてユウは慌てて自分の置かれている状況を
話しだした。
何故この様な状態になっているか…
ユウの出現で分身のデータが書き換えられてしまい
一気に融合しようとすると拒否反応がでてしまう。
その為に一旦体をユウに預け体が慣れた頃合いで元に戻す。
本当はユウの体は1度尚也に吸収されてしまっているため
実体は無かったのだが、拒否反応を防ぐために繭の中でユウの
情報を元に復元されていた。
「それで元に戻れるの?」
「だいじょうぶだよ!わたしはなおやの魔力によって
分身でも生かされてたの。でも魔力はなおやに戻った。
だからわたしは限られた時間をいっぱい楽しむ!」
ユウは手をいっぱいに広げ空を掴む勢いで天を仰いでいた。
その表情は何の迷いもなくただ嬉しそうだった。
「なおやがね…楽しんでこいって(^^)
みさきちゃん泣かないでね!なおやにはすぐ会えるよ」
その言葉には何故か嘘偽りなど存在していないように聞こえた。
美咲の涙を白い服の裾で拭うとユウは美咲の頭を尚也のように
撫でていた。
「そう…尚也君らしいね」
(ありがとう)
空耳だったかもしれない。
しかし、美咲には尚也の声が聞こえた気がしてユウを
精一杯抱きしめていた。
「たぶん一週間くらいだからよろしくね!みさきちゃん」
そしてユウは美咲と腕を組んで体育館から出て行ってしまった。
その状況に全員が置いて行かれた状態になり…詳細を知って
そうな勇二へと白羽の矢が立ち…体育館に勇二の叫び声が
響いていた。
美咲はユウを保健室に連れて行き、校医の進藤先生と担任の
如月紀子に経緯を話し協力を仰いだ。
「しかし、世の中には信じられないことがおおい」
「ホントよね~こんな可愛い子はじめてみたわー」
進藤と紀子はユウを見ながら各感想を述べている。
ユウは保健室のベッドに寝てみたり、バンドエイドを
美咲に貼ってみたりとまるで子供の様にはしゃいでいる。
「とりあえず一週間は存在してるわけでしょ~?
服を買わないとね。私服・パジャマ・制服・下着…」
紀子が色々用意しようと言いだし、進藤が近くの
ショッピングモールへ車をだし買い物へ出かけてた。
ユウは珍しそうに色々な物に興味を示した。
中でも1番のお気に入りはクレープだ、両手に2つ抱え
嬉しそうに持ったユウをみて定員は…プライスレスと言った。
何故か色々な服やその他の代金は学校の経費になっていたのは
校長が許可をだしたらしいからだとあとで聞いた。
買い物が終わり美咲はユウを1人にはできないと自分の
自宅に連れて行き、姉妹の様に一緒にお風呂に入り
一緒に寝たのだった。
ところが…思わぬところで悶絶していた者がいた。
ユウの目に映る物はまた尚也にも見えていたのだ…。
次の日の朝、美咲は隣で眠るユウを見ていた。
その寝顔はもう悶えてしまいそうな可愛さで美咲自身
思っていた以上にユウを受け入れている自分に納得せざる
得なかった。
「貴女は尚也君でもあるんだから当たり前だよね チュッ」
美咲はおでこにキスをすると時計をみてあと10分今の
幸せな時間を謳歌していた。




