46話 ユウ
光の球体の上部に六芒星が出現し回転を始めていた。
その回転は渦のように光を吸収し動きを止め六芒星
の柱となった。
柱は少しずつだが下に下がる動きをしていた。
そして人より少し上くらいの位置で制止し、
一気にその速度を速めた。
六芒星が下へと速度を増したとき、
柱から人の頭らしきものが確認できる。
頭がでて…順に顔…肩と下がっていく
まるで人が一度分解され再構成されたかのように。
膜のようなものが張りついており
その顔は確認できなかったが服は白い布を
一枚羽織っているらしいことがわかる。
魔方陣が足まで完全に降りたとき バシュっと音を
たて霧散した。
張りついていた膜のような物も同時になくなり、
周囲から驚きの声が聞こえてきた。
「あれ・・・尚也君は?」
「あれが尚也なんじゃねー?」
「「「……」」」(全員の無言)
…髪は腰まであり、黒髪で、誰がどう見ても先ほど
天から降りてきた天使がそこに立っていた。
天使はゆっくりと瞳を開ける…その瞳の威力は半端ではなかった。
目を開けた瞬間…倒れる者…奇声を上げる者…恍惚の表情を浮かべる者
…プールに飛び込みに行った者…まさに体育館は戦地と化していた。
そんな中、美咲と勇二はその威力に耐えながら…
「俺と付き合ってくれま『ぶほっ』」
美咲が欠かさずハリセンで勇二を張り飛ばした。
びっくりしたように天使は勇二と美咲を交互にみて微笑んでいた。
「聞くことがちがうでしょうが!
な…尚也君は?」
「みさきちゃんだー」
「え?え?」
天使に抱きしめられた美咲は何が何やらわからず瞬きを
パチパチとしていた。
しかし、ほかの生徒はその行為に嫉妬のオーラを噴出させていた。
天使は美咲を一通り堪能すると勇二に向けて一言言った。
「あっ!モブだ!アハハ」
「アハハじゃねーよ!サブキャラだって…え?」
それは何処かで聞いたようなフレーズだと美咲と勇二は
考えていた。
そうそれは朝尚也と勇二がしていた会話そのものだった。
目の前の天使は尚也なのか…では尚也はどこにいったのか…
そんな疑問が美咲の頭をぐるぐると駆け巡っていた。
「みさきちゃんごめんね。
ちょっとテンションあがりすぎちゃった」
「ちょっと待って!貴女は誰なの?尚也君は?」
「わたしはユウ…もう1人のなおやでもあるよ」
ユウと名乗った少女は同時に尚也でもあると言った。
頭をフルに回転させ先ほど起った状況を急いで整理する。
尚也と天から降りてきた天使は何やら話をし、口づけを
すると一緒に繭の中に入った…そして、天から降りてきたのを
尚也の失った分身だと仮定すると、融合し失われた力は戻るはず、
しかし、尚也は現れず少女がでてきた。
それは何を意味するか考えただけで恐ろしかった。
「尚也君はどうなった?」
「なおやはいるよ?いつも一緒だからここに」
手を胸にあて、心の中にいるのだと説明する。
美咲の顔はその答えに愕然となった。
ここにいる…ユウの中に尚也がいて、
それは吸収されてしまったのではないかという確信。
そして、聞きたくない言葉が紡がれた…。
「アハハ なおやを吸収しちゃった。えへへ」
「「おぃいいいいい」」




