42話 パンドラの箱
空は雲一つなく晴れていた。
合衆国軍はその天気に導かれるように軽い足取りで
洞窟のあった場所へと向かっていた。
今や洞窟とは呼べない状態にある。
連日の工事で瓦礫などが撤去され、
封印のある場所まで掘り起こさている。
20メートルくらの深さだろうかすっぽりと円柱状の
穴が開き螺旋階段のように道が出来ていた。
魔術師と武装した軍隊が次々と内部に侵入し、
封印の解除作業の最終段階を迎えようとしていた。
「工事の重機や作業員を撤退させろ!
封印の解除は11:00に行う。全員配置につき待機を命ずる」
将軍は大きな声を張り上げ的確な指示をだしていく、
中佐もフォローし準備は着々と進んでいた。
そこへ一報が入る。
「報告します!封印の綻びからγ(ガンマ)らしきモノが出現しました」
「魔術師に対応させろ!武装している兵士は敵を魔術師に近づけるな!」
封印の近くで小さい戦闘が始まるが敵の出現した数が少なく
直ぐに鎮火を見せた。
報告が直ぐにあがり、負傷者・死亡者共になしということだった。
そして、11:00に近づくにつれ全員に緊張が走りその場を静寂が
支配している。
将軍は中佐に目線を送り…始まりの合図を促すと頷いた。
「リード・パーカー殿!最終の封印解除をお願いします」
「はいはい。了解っと」
リード・パーカー。合衆国のお抱え魔術師である。
魔術学院を首席で卒業したが、のんびり屋の上に態度が悪いのが
上層部に嫌われている一因であるが、本人は気にして無い。
魔術師のランクは5階級ある。
ウォーロック(見習い)
⇒ソーサラ―(ソーサレス)
⇒メイジ
⇒ウィザード(ウィッチ)
⇒ワイズマン(セイジ)
リードはウィザードにあたりかなりの術者なのがわかる。
そして、封印に手を翳し魔力を練る。
「幾重にも紡がれし力よ 過ぎ去りし時を在るべき姿に!ーーーー魔術解除ーーーー」
発動したことを確認しリードは下がり様子を見つめる。
光の魔術陣の六芒星が浮かび上がり上空へと登り消えて行く。
すると幾重にも紡がれていた光が花の開花の様に開きだした。
それを見て殆どの者は見惚れ美しさに酔いしれ、危険がある
ことなんて忘れてしまっていた。
開花が終わると光が無散し、中からどす黒い球体が出現した。
球体は脈を打つみたいにドクドクと大きくなったり小さく
なったりを繰り返した。
ドーンッ
その破裂音は静かにでも凄まじい勢いで周囲を暗闇で染めた。
それと同時に人形や守護者が溢れ出てきた。
「うあああああああ」
「え?え?」
既に前線にいた者の何人も殺されていた。
その事態に恐ろしさに叫ぶ者や、
事態をまだ把握していなく混乱する者が続出していた。
5年の歳月で封印内部で溜まっていたものが噴き出したのだ。
「全員落ち着け――戦えるものは迎撃しろ――」
「風よーーーー暴風竜巻ーーーー!」
物凄い風の突風が容赦なくそれらを蹂躙するが、
数が違った…吹き飛ばしてもすぐに次が出てきていた。
しかし、リードの魔法のおかげで他の魔術師達も落ち着きを
取り戻し兵士達と共同で迎撃にあたることが出来た。
「業火の炎よーーーー業火ーーーー」
「黒き呪縛をーーーー重力場ーーーー」
「風よーーーー風刃ーーーー」
所々で魔術師達が応戦し戦局を何とか維持しているが、
魔力も無限ではないのだ。
そして、そのことを嘲笑うかのようにボコボコと
出現が止まる気配すらない。
「全員最終防衛ラインまで撤退――至急本部に来援を要請せよ!」
「将軍これは…」
中佐が言わんとしていることは将軍には既にわかっていたが、
それを言ったところでどうすることもできないことを分かっていた。
「今は撤退が優先だ!
リード殿ー範囲魔法を頼む。
敵の進行を一時的に止め、弾薬をありったけぶち込む!」
「大地に無限の気流をーーーー降下気流ーーーー」
上空から穴に突風が入り螺旋の道以外の地に物凄い勢いで
降り注いだ。
その影響で一時的に出現は止まり撤退を完成させ、
穴に弾薬を打ち込み取り敢えずは防衛ラインまで逃げ果せた。
だが銃撃などの物理的手段は殆ど効果を発揮していなかった。




