4話 魔術と覚醒
この中学校の生徒数は約400人程になる。
その目線が今1人の生徒と侵入者へと向けられている。
「おい あいつ大丈夫なのか?」
「私たち助かるの?」
「今のうちに…」
しかし、閉鎖されたドアは何かの力で開かなくなっている。
何人かの生徒や教師はドアを開けようと必死だ。
壇上では校長は何がおきているかわからない様子で
ほかの教師と話し合っている。
再び、衝撃がこだまする。
「ドゴォォォーン」
体育館の床が斧で削られていた。
その信じられない威力に全員恐怖に身を竦ませた。
「なんとかよけているが…
そろそろ反撃といきますか!」
「光よその輝きで、彼の者の動きを封じよ!
ーーーー聖鎖ーーーー」
守護者の下に綺麗な金色の魔術陣が展開されその中から
金色の鎖が守護者に向かって放たれていた。
守護者はその鎖に動きを封じられ脱出しようともがいている。
「ググァ 愚かなこの程度か!」
「俺にも準備ってもんがあんだよ
そのための時間稼ぎだ!」
そういうと尚也は詠唱に入りだした、
何かに祈るような詠唱が続く。
「我が封印されし力よ、真の姿をわが身に再び宿し、
その姿を顕現せよ! ーーーー封魔降臨ーーーー
光よ 彼の者の貫く槍となれ
ーーーー聖槍ーーーー!」
詠唱が終わり………
しかし…何も起こらなかった。
これを使うと使用後に大変なことになるんだよなー
と思いに耽っていると。
ホーリーバインドから抜け出し守護者は二ヤリと笑いながら斧を
振りかざし尚也へとその矛先を向けた。
誰もが終わりだと思った瞬間、尚也に変化が起きた上空から
光が舞い降り尚也へと降り注ぎ、槍が目の前に浮いていた。
その槍は本来投げるものだが、魔力を圧縮し接近戦用に
アレンジした魔術だ。
その槍を持ち尚也は守護者へと静かに目線を動かした。
誰もが目の前で起きていることに信じられない
様子で見ていた。
この世界に魔術は存在していたが、
限られた人間の能力として一般的ではなかったのだ。
今から100年前に魔術らしきものを使える人間が産れた。
その時には異能だのと蔑まれたりしたのだが
この100年でその認識も払拭されている。
今では魔術を教える学院を国が進んで作り、
国に有益な魔術師を育成している。
「あまり悠長に構えてられないな!食らえ!」
斧を持ち向かってくる守護者をなぎ払う
金属の擦れ合う音がすると同時に斧の刃の部分が半分折れて
体育館の側面に突き刺さった。
それだけでは終わらずもう一方の斧が尚也を狙う。
左の斧が尚也の肩へと振り下ろされる、槍の柄でなんとか
防いだように見えたが肩から血が滲んでいた。
柄で防いだが相手に力負けし、
そのまま肩へ一撃をくらってしまった。
「ぐあ…くそ…1本斧を折ったがこっちもこれじゃーな
もうちょっと手加減しろよな」
肩からはかなりの出血が見られる。
遠くで美咲の叫ぶ声が聞こえるが答えてあげるほど余裕はない。
一進一退の攻防は続き、尚也も守護者も満身創痍になっていた。
スピード、力など覚醒している尚也も格段に上がっているのだが、
それでも守護者との力の差はほぼ拮抗していると言っていい。
「そろそろ決着といくか」
「汝を殺し目的の成就へと」
お互い睨みあい一瞬の攻防が始まる。
「 彼の者を凍てつかせる刃を
ーーーー氷剣ーーーー 」
尚也は剣に力を集束させる
「 死して我らの糧になれ 」
尚也の渾身の一撃を、守護者もまた片方の斧を両手で持ち
渾身の一撃向かえを撃つ。
ガーンと大きな音を立て、
身体がドサリと地面に倒れた…。