39話 贈り物
1時間目の授業が終わり教室から職員室に戻る途中に
担任の如月紀子は尚也とすれ違ったが声を掛けれる
様な状態ではないことを察し、1度頭を撫で中庭に
向かった。
中庭には軍服を着たエミリーがまだ佇んでいた。
「新堂君のあんな顔初めて見ちゃったんだけど、
エミリーさんうちの教え子に酷いこと言うの
やめてほしいんだけど?」
「すまない…だがしょうがないこともある
私も上の命令で動いているので」
「何を言ったかは知らないけど。
ここは軍じゃないわけ…生徒に対する
言い方には気をつけてほしいわ!
次の授業があるので失礼します」
紀子は尚也と同じく言いたいことをいい、
そして中庭から出て行ってしまった。
エミリーも年端のいかない少年にもう少し
接し方を変えるべきだったかと思案しながら
帰途につくのだった。
しかし長年軍隊で身についた習慣は早々変えれるもの
ではない。
学校の屋上はいつも鍵が掛かっており通常入る
ことができない。
屋上は昔生徒が転落したこともあって出入りは
禁止されている。
しかし、どこにでも例外はいて尚也は少し前に
ドアに鍵が刺さったままの状態で見つけたので
こっそりくすねた。
時折、屋上に来て空を見上げていた。
そのまま教室に帰ろうとしたが、紀子にあんな
接し方をされては自分がどんな顔をしているか
何となくわかったので屋上へを足を向けて
心の安定を図っていた。
「♪♪♪」
携帯の着信音がなりポケットから取り出す。
最近でたばかりのスマートフォン…
表示画面を操作し指を縦や横にスライドさせながら
メールが来ていることを確認する。
(Form 水嶋美咲)
(尚也君大丈夫?軍の人と話が終わったら連絡してね。
クラスのみんなも心配してたし、私もね(^_-)-☆)
美咲からのメールを確認すると返信をし、話は終わったけど
気分転換に学校の屋上で寝ていることを伝えた。
「♪♪♪」
(From 水嶋美咲)
(ホント?わかった~今から行く(^^))
そんなやり取りだけで心の重しが少し軽く
なったような気がしている。
風が心地よく髪を揺らす、しばらくして今が授業中であることを
思い出していたが、まさかサボってくるとは思わなかった。
ギィィッ。
屋上のドアが開けられ足音が近づき声がかかる。
「尚也君…お疲れ様
はい。フルーツオレ買ってきたよ。
私はイチゴオレだけどね(^^)」
「サンキュー」
凄く甘い組み合わせだが尚也の頭には甘い
糖分が心地よかった。
少し他愛も無い話をし、本題へとの段階を踏む。
「それで軍の人?だったよね。話は封印のことだったの?」
「そう…軍は封印の解除を決定したから、それに協力しろって話。
まあ今の俺が協力できることはないから断ったけど」
尚也は思い出し嫌な気分になったが表情に表わすことなく
淡々と話を続けたが、不意に美咲の手が頭に触れた。
無理しなくていいんだよ?と言わんばかりに頭を撫で
美咲は尚也の隣に行き自分の肩に頭を置くように寄せた。
「尚也君は1人で抱え過ぎだよ?
私はいつもそばにいるんだからねっ」
そう…美咲はいつもそばにいてくれる。
そして自分1番ほしい言葉を掛けてくれる。
尚也は微笑みを浮かべると鞄からポケットに
移して置いたケースを取り出し、美咲の前へとだした。
「美咲…これちょっと作ってみた」
「高級そうだけどどうしたの?」
「開けてみて…」
渡された高級そうなケースを恐る恐る受け取り中身を確認する。
そこにはピンクで輝いたチェーンにクリスタルの様な輝きを
持った透明な花があった。
びっくりして尚也の顔とネックレスの両方を何度も見ていた。
「それ美咲へのプレゼント」
「でも高そうだよ…もらえないよ~」
「感謝の印でもあるんだ。もらってくれないと困る。
チェーン部分は確かに買ったけど、その花の部分は
俺の手作り…魔術作り?だから大丈夫!」
そう言って尚也はネックレスを持ち、美咲の首へと掛けた。
「凄く綺麗でこのチェーン凄く可愛い…
花の部分が冷たくて気持ちい…
尚也君ありがとう!一生大事にするね!」
掛けられたネックレスと嬉しそうに見ている美咲をみて、
尚也の心も今日の空と同じく快晴になっていた。




