33話 友との再会
魔術の使い方を教え魔術を行使した状態を維持し
その状態を変化させつつも失敗しないように制御すること。
この作業を繰り返すことで魔法になれるとともに
魔力の総量も増加が見込まれる。
本来、魔術はその場で行使するものであり、それの応用といった
取り組みは今までにはない手法だった。
美咲が魔力の鍛錬を始めて次の日の昼すぎ頃、
二人は部屋で昼食を済ませ寛いでいた。
しかし、アパートの前には仁王立ちしている一人の金髪の
少女と地図を見ながら2階の奥の部屋を指をさしている
黒髪の少女がいた。
そして先に階段を上がる勇二の姿があった。
「すみません…こちらのアパートの方ですか?
新堂尚也さんは2階の奥で…」
話が終わる前に勇二が2人に向かって話しだした。
「俺はここに住んでないけど尚也ならダチで2階の
奥だぜ。今から行くとこだったし、一緒にどう?」
キラリを前歯を見せ清々しい笑顔を見せるが…
それが彼女達に何らかの影響を与えたかは神のみぞ知る。
彼女達はやっぱり合っていたんだとばかりに勇二を
押しのけて急いで階段を上がっていった。
「ちょ…スルーとかアリエナイヨネ」
そしてチャイムを押した。
「は~い」
「今…女の声がしたわよね…」
「確かに聞こえたよね…」
表札を見直し間違いではないことをお互いに
確かめ合い緊張を一気に高めながら声が聞こえた
ドアへと再び視線を向ける。
無論勇二はいない存在として…。
ドアからハイハイちょっと待ってくださいね~
と声が再び聞こえドアが静かに開けられる。
ガチャッ。
視線を合わせ3人はしばし沈黙するが、
美咲がそれを破った。
「…えっとどちら様でしょうか?」
「あなたこそ誰なのよ!」
「……」
金髪少女は急に怒り出し、黒髪少女は美咲を
ジッと見つめ目を潤ましていた。
「え?新堂尚也の彼女ですけど…」
「はあ?彼女?冗談も程々にしてほしいものだわ!」
「ちょっと…言い過ぎだよ?」
金髪少女に黒髪少女が服の裾を引っ張り、
落ち着いてと宥めていた。
すると中から声が聞こえてくるのだった。
3人の目線が部屋の奥へと移る。
「…お~い 誰だった~?」
「…なおや?…ちょっと失礼するわね!」
「え?え?ちょっと?」
美咲が混乱している間に金髪少女は部屋に
ズイズイ入り込み、尚也の目の前に仁王立ちしていた。
尚也はいきなり入ってきた金髪の少女に驚き、
何が起こったのかわからない様子で首を傾けていた。
「なおや……どういうことなのよ!
…紗菜になおやを見つけたって連絡受けて
怪我をしていたと聞いたから、全てのことを置いて
急いで飛行機で飛んできたのに、彼女?
彼女と同棲しているってどういうことなのよ?!」
「まさか…シェラか?」
「そうよ…忘れたなんて言わせないわよ!」
強がった言い方をしているが、声が震え、目に
涙を溜めて必死に訴えているのがわかる。
その少女は以前とは比べ物にならないほど
美少女になっており、その金髪の神々しさが
より美しさを引き出している。
「忘れてなんていないよ…ただ…」
「ただ?…」
「えらく綺麗になって驚いてる」
「な…なに言ってるのよ///」
顔を真っ赤にしてシェラと呼ばれた少女は
何も言えなくなっていた。
ようやく尚也のいるリビングに美咲と黒髪の
少女と透明人間が入ってきた。
「なおやくんお久し振りです。」
「紗菜か…久し振り。
紗菜も以前よりも可愛くなったね」
「かな?///」
「尚也君さ…感動の再会はいいけど…
彼女の目の前でナンパしないでくれる?(^^)」
首がギギギッと音をたて人形の首の様に
美咲へと顔を向ける。
そこには見てはならない魔王が存在していた。
「美咲さん落ち着いてね…」
慌ただしい対面だったが紗菜とシェラは尚也との再会を果たした。
そう昔、心に刻んだ想いを。
そして、勇二の存在は忘れ去られていた。




