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30話 二人の夜

何か騒ぐような音が耳に入っていた。

何やら楽しそうな声が聞こえそれに

呼ばれるかの様に意識が浮上していく。


「う…う~ん…私寝ちゃったのかな?」


未だ半覚醒の美咲に尚也が声を掛ける。


「20分くらい寝てたかな。可愛かったよ」

「えへへ」


物凄く嬉しそうに照れ笑いしている美咲に

傍観している2人は苦笑いをしていた。

人の気配に気が付き美咲は振りかえった。


「え?…

 有田くんに紀子ちゃん…

 今の…見てないよね…?」

「この状況で見てないって言って信じるのかよ!」

「水嶋さん!……」

「な…なんですか?」

「羨ましいぃぃいいいいいいい」


紀子ちゃんは彼氏いない歴年齢であった。

そのキャラが無くなれば十分可愛いんだから

モテるんじゃないかと心底思う尚也達であった。


「ごめん 尚也君寝ちゃって…」

「いいよ 美咲も疲れてるしね…

 今日はそろそろ帰ろうー

 進藤先生が車で送ってくれるみたいだから

 勇二ー俺を担いでくれ」

「「「え?」」」

「え?なんとか話しと手を動かすくらいはできるけど

 全身の感覚が1日は戻らないんだよ」

「そ…そうか。わかった!」


ガラガラ 

ちょうど保健室のドアが開き進藤先生が入ってきた。

車の用意ができたようだ。

進藤先生の車はワンボックスの高級車っぽかった

円の中に三又のマークがある。

勇二に担がれ荷物を紀子が持ちその後ろから

美咲が連れだって車に乗り込んだ。


「如月先生あなたは来なくても構いませんよ?」

「え?…私だけダメなんですか?

 可愛い生徒のために今日は介護をするつもりで

 来たんですよ!しかも男の子の独り暮らしと

 きたらもう…フフフ♪」


この人は…という面持ちで皆が紀子をみていると

美咲が負けじと攻勢にでた。


「な…尚也君の面倒は彼女の私が見るから

 紀子ちゃんは帰っていいよ!」

「不純異性交遊は認めないんだから!」


いい加減にしろと進藤先生が紀子ちゃんを追い出し

車を出し始めると外で紀子ちゃんが何かを叫んでいたが

それを知る者はいない…。


「俺も紀子ちゃんとおとま『ぶへぇ』」

「スパーン」


美咲のハリセンが勇二の顔面に当たり車の柱に頭を

打ち付けもがいていた。

尚也は保健室での自分を思い出して…いた。


車は発進し夜の道をヘッドライトが照らしている。

窓に映る光の幻を見ながら取りとめのない話を

していた。


「尚也君、君は一人暮らしらしいがご両親は?」

「5年前くらいに他界して天涯孤独の身なんです」

「それはすまない…」

「いえ…そこの右に曲がったとこのアパートです」

「中々良いところに住んでいるな」


カッチ カッチ

ウィンカーの音がして車が曲がりハザードを点けて止まる。

進藤先生が車のドアを開けて勇二に担がれて2Fの奥の部屋に

向かい美咲がカギを開け中に入る。


「結構綺麗にしているんだね」

「美咲がたまに掃除してくれるので…

 お茶でも飲んで行きますか?」

「いや…今日はおいとましよう…

 私も疲れたからね」

「尚也~俺も帰るわ

 マジ今日は疲れたしな」

「先生ありがとうございました。

 勇二もサンキュー」


お邪魔しました~と二人は階段を下り、

勇二は家まで進藤先生に送ってもらうようだ。

長い1日は家に着いてようやく終りだと感じていた。


「美咲も疲れてるし、帰っていいよー」

「私、今日は帰らないよ?家には電話したし、

 了解も得たから大丈夫だよ。」

「そっか…悪いな」


私がそばにいたいからと付け加え美咲は台所で

何かを作り始めていた。

そんな美咲に尚也はいつも助けられているなと

感謝をしていた。


「尚也君♪トイレ行きたくなったら言ってね。 

 お手伝いするから(^^)」

「おぃいいいいい」


そして実際、尚也の悲鳴がアパートに響き渡った。

そして1日は終りを告げていた。

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