29話 追憶の終点
カチカチ
時計が時間を刻む。
この世は無限に続くかのようだが、
人の命は無限ではなく限られている。
時間とはつまり死へのカウントダウンと言えるのでは無いだろうか。
もし、自分が死んでしまったらどうなるのだろうか。
魂となるものが体を抜け、次の転生へと輪廻を紡ぐのだろうか。
それとも、死とは無に帰り大地の糧になり脳が死んだ状態では
思考は停止し心も消え去り何も無くなってしまうのか。
自分という存在の消滅…考えただけで恐ろしい。
話の終る頃に美咲は疲れて眠ってしまった。
頭を撫でながら折角感動の話をしてるのに寝るなよ…
と突っ込みを入れていた。
最後の方は後々また話せばいいかと美咲をそのまま寝かせ
寝顔を眺めている。
「今日はご苦労様…ありがとな」
キーン コーン カーン コーン
17時を報せるチャイムが鳴ったと同時に保健室に校医の
進藤先生が入ってきた。
「よかった起きているようだね。
…えっと字は違うが読み方が一緒だから
尚也君と呼ばせてもらうよ」
「はい…構いません」
「おや…彼女は寝てるのかな?
…仕方ないか疲れているのだろう」
「そうですね…色々無理をさせてしまいました」
校医の進藤は尚也を見て少し驚いた顔をしていた。
まだ中学生なのに大人びた喋り方や雰囲気を
出しているからだ。
「今日の事は魔法管理省から人が派遣されて
調査を行うということだ。
そして、君には近々事情聴取もある」
判っているかのように美咲の頭を優しく撫でている。
この子は一体どんな生き方をしてきたのだろうか。
そんな疑問が頭を過っていた。
「とりあえず、家で安静にしていれば下校しても
構わないが?」
「…おそらく1日は動けないです。多分」
「おかしなことを言うね。異常はどこも無いはずだ」
「…説明するのが難しいんですが、無理な魔法を使った
結果その反動で1日は体の感覚が殆ど無い状態になります」
「……そうか…
詳しくは判らないけど車を出したほうが良さそうだ」
用意をしてくるといい保健室からでて行った。
しばらくしてドアの前が慌ただしくなり、
ノックが聞こえたので入室を促した。
「なおや~元気か~?」
恐る恐る勇二が猫背になって辺りを観察するように入ってきた。
「失礼します…新堂君大丈夫なの?
もうホント先生…一時はどうなっちゃうかと…」
「勇二・紀子ちゃん心配掛けたね…
安静にしていれば問題はないよ」
紀子ちゃんと呼ばれた存在は尚也のクラスの担任で 如月紀子。
クラスの皆から紀子ちゃんの愛称で呼ばれ親しまれている。
「水嶋さんは寝ちゃっているのね……
私には彼氏もいないのに……
膝枕なんて…
…羨ましくなんてないんだから!」
「紀子ちゃん誰も突っ込んでないから」
勇二が突っ込む…。
「ゴホンッ
まあそんなことはいいんだけど!
今日は新堂君のおかげで大した被害もなく
収まってホントによかったわ。
本当なら…酷いことになっちゃってたわね。
皆に代わってお礼を言うね。
ありがとうっ…
そして、もうあんな無茶はしちゃダメよ」
紀子は尚也の頭を撫でながら大丈夫?と言葉の節々に
入れて、心底心配していた。
「尚也…俺もアレには肝が冷えたぜ…
紀子ちゃんに抱きつきそうになったよ」
「抱きつこうとしないの!」
「冗談はともかく、いい?
2.3日は休んでしっかり休息を取るのよ?
私の携帯教えておくから何かあれば
連絡ちょうだい!」
テッテレ―
尚也は紀子の携帯アドレスをゲットした!
同時に電話番号もゲットした!
赤外線通信だから当然だが…。
おふ…羨ましいぜと勇二が目で訴えていた。
そんなことをしていると美咲が目を覚ましだした。
何かのセンサーでもあるかのように!




