28話 希望の兆し
日本に戻ってきた尚也は力を失い、居場所も失い、
友も失い、そして両親さえ失っていた。
しかし、何年も見習いの魔術師として修行を
するのが当たり前だったため、その習慣は抜けず小学校に入った
相変わらず、鍛錬と魔術の写しを読み漁る日々が続いている。
そして施設を出る時、写しを持ち出す口実に他の魔術書も
色々持ち出していた。
その中の一節に。
「これってまさか…」
そこには小さく魔力の繋がりについて書いてあった。
魔力は分離されても小さな糸で繋がっている。
消費してしまった魔力には繋がりはないが、
封印術などは術者の意思を反映するため、
封印が解けたことが判るという記述だった。
「……」
「あの時、僕は魔力を送った…では…
繋がってるのであれば…こちらに!」
思い立ち頭の中で魔術構想を練りそして、
言霊にする。
『我が封印されし力よ、
真の姿をわが身に再び宿し、その姿を顕現せよ!ーーーー封魔降臨ーーーー』
唱え終えても何も起きなかったが…
暫くすると頭上から光が降り立ち
尚也を纏うように包み込んだ。
「せ…成功だ…いや…でも…」
よく魔力を感じてみると以前の3割も
力が戻ってはいなかった。
10分くらい光に纏われそれが消えると共に
身体に大きな異変が生じ、いきなり体の力が抜け
尚也は倒れた。
意識はあるのだが肝心な身体の手や足に感覚はなく
そのままの状態が丸1日続いた。
水も食事も丸1日摂らなかったこともあり
喉がカラカラで食事も沢山食べた。
「これじゃあ 万が一の時しか使えないな…
しかし…少しだけど魔力が戻ってる…
初歩的な魔法なら可能か…」
尚也は魔力を少しでも増やすための練習に明け暮れた。
しかし、小学校では他人に干渉せず
いつも一人で暗いは尚也は周囲から距離を取られ
やがてイジメの対象となっていた。
そんな子供達を尚也は冷やかな目で見るようになり
より一層孤立していった。
そして、中学に入りみんな新しい生活に目を輝かせて
いるが尚也だけは変わらず一人孤独を生きていた。
そんな中、ある女子生徒が彼に光をもたらすことになる。
水嶋 美咲。
彼女は何の価値もないと思っていた尚也の
そばに居たいと言った。
それは今の尚也にとって人生を変える言葉だった。
そして、彼女との出会いが彼を大きく変化させて
行くことになる。色々な意味でだが。
それまでの尚也は自分自身のことで精一杯だったが、
美咲と出会い心の余裕が生れ、それまで諦めかけていた
レンのことも何とかできないかと色々視点を変えて
考えるようになっていた。
現状の結論では、封印が解かれない限りレンの冬眠を解く
ことはできないと判断せざる終えなかった。
掘り起こすことも探すこともできずに…。
そして、封印を解くにしろ今の自分では魔法も
碌にに使えない。
今はただ、もっと自分を高める必要があることを
再認識させられていた。
そして、封印は今も崩落した瓦礫の底の広間で静かに眠っていた。
尚也をずっと待ってるかのように…。




