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27話 無言の帰路

施設をある少年が追い出されてから数時間後。

太陽は傾き綺麗な夕日を空が映し出している。

紗菜とシェラは実習を終えいつものようにその少年を

迎えに来ていた。


「なおや~実習終わったわよ~」

「……」


シェラが少年の名前を呼ぶが何時ものように

返事が返ってくる気配はない。


「どうしたの?シェラちゃん」

「なおやのヤツいないわ!」

「シェラちゃん…ヤツって…」

「細かいことはいいの!それよりなおやを探すわよ」

「う…うん」


その時紗菜は部屋の中に違和感を感じたがシェラの声に

気を取られた見逃してしまっていた。

各部屋を回り尚也を2人で探したが一向に見つかる気配はなく、

職員が何か言い難そうにしているのを何となく感じ取っていた。

部屋に戻るとロックが戻ってきていた。


「ロックーなおや見なかった?」

「また書斎で本でも読んでるんじゃねえ?」

「書斎はまだ行ってなかったわね」


紗菜は先ほどの不安を拭い去れていなかった。

何かがオカシイ。いつもと同じ部屋なのに…。

そして、気がついた…


「え?…」

「「どうしたの?」」

「何で…なおやくんの荷物がないの?」

「「え?」」


尚也のベッドは綺麗にメイキングされており、

机の上に沢山置いてあった本が1冊も残されていなかった。

それに気付いた2人も驚いていた。


「え?どういうこと?」


シェラが混乱してると開けっぱなしにされていた、

ドアの所からローレンの声がした。


「それは私から説明しよう」

「ローレン先生なおやくんはどこに?」

「尚也は日本に帰国させたよ」

「帰国?すぐ帰ってくるの?」


紗菜とシェラは尚也に何かあったのではと勘違いしていた。


「いや…ここには2度と帰ってはこないよ

 尚也はこの施設で預かれないことになった。

 魔力が戻らず、実習も君たちの妨げになる。

 そして、これはしょうがないことなんだ…」


ローレンは自分に言い聞かせてる様に話してる感じだった。

そのことを聞いたシェラが真っ赤になり怒り出した。


「何それ…魔力を失ったのは私達のせいでもあるのに

 追い出した…仕方がなかったですって!」

「そんなの酷すぎます!」

「何で私達に一言も無いのよ…何でなのよ!」


シェラは頭にきてローレンに掴み掛かった。

紗菜も懸命に訴えていた。

そこに一番予想できない言葉が聞こえてきた。


「修行の邪魔だったんだからいなくなって当然だろ」

「「……」」

「パーン」


シェラは振りむきロックの方に向かい右手を振りかぶり

ロックの頬へと打ち付けていた。


「あんたは一体なんなの?

 なおやが守ってくれたから私達は…グスッ

 ここに居るのに…なおやが1番辛かったのに…

 何で何でよ…いつまでレンをなおやのせいにしてんのよ!」


シェラはロックに掴み掛かり胸を何度も何度も拳で叩き

泣きながら懸命にロックに訴えていた。


「そうだよ…

 レンちゃんを好きだったからって

 そんな言い方はないよ!

 レンちゃんのことは誰のせいでもないんだよ」

「……」


「3人とも落ち着きなさい!

 尚也のことは上の判断でもある。

 私でもしょうがないんだ。理解してくれ」


ローレンの声でシェラもロックの胸ぐらを離し、

話に耳を掛け向けていた。


「一言も無かったのは君達は実習中で外に出ており、

 尚也の飛行機の時間まで殆ど残されていなかったことだ。

 今頃ご両親の元に着いていることだろう。

 一生会えないわけじゃない…また何処かで…」

「なおやくん……」

「……」

紗菜は泣きながら心配そうに尚也の名前を呼ぶと、

ロックは顔を下に向け涙を堪えていた。


「まだありがとうも言えてないのに…

 …なおやのバカ――――――――」


シェラは悔しさと自分の無力さを噛みしめていた。

またそれは…紗菜も同じ思いだった。

いつか…絶対に会いに行くと心に刻むのだった。




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