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25話 断腸の思い

尚也が起きてすでに一週間が経っている。

魔法が…魔力もほぼない状態だと知って一時はショックを

隠せないほどであったが、子供ということもあり

立ち直りは意外と早い段階で訪れていた。

尚也の身体はまだ自由に動かない状態であり半年間分の

リハビリが必要であった。

紗菜とシェラは暇を見ては、尚也のリハビリの手伝い

を一生懸命していた。

ロックはそれを傍から見ていたが、彼自身仲直りのきっかけが

掴めず、未だ険悪な雰囲気であった。

そんな日が続いていった。



それから半年が経ち、尚也の身体も既に自由が

取り戻されて、元気に外を走れるほどであった。

だが、魔力は一向に戻ることはなく、それでも

ローレンの魔術の授業にみんなと一緒に参加していた。

そんなある日、ローレンが尚也を書斎に呼んだ。


コンコン 

ドアをノックする音が響く。


「尚也か?入りなさい」


中からローレンの声がし、入れと促した。


「失礼します。先生何かご用ですか?」

「まあそこの椅子にかけてくれ」

「はい…」


不安になりながらも椅子に腰をかけてローレンの言葉を待ったが、

何やら押し黙り言いにくそうにしていた。


「尚也…落ち着いて聞いてほしい。

 君が目を覚まして半年になる。しかしだ、

 君の魔力は戻ることもなく、ただ講義を聞いて

 いるだけだ。他の子の実習の妨げにもなる。」

「どういうことですか?」

「…上からの決定で言い難いのだが、これ以上君を

 この施設に置いておくことはできなくなった。

 事件の詳細がどうあれ、現実的に君は魔力を失い、

 ここは魔術師の育成施設でもある。

 上はこれ以上見込みがないと判断した。

 君には今日ここをでていってもらう。

 親元にでも帰ってくれ…

 それが望みでもあっただろう。」


尚也はそれを聞いて一瞬何を言われているかわからなかった。

ローレンは尚也の顔を見て悲しそうにするが

一呼吸すると真剣な顔に戻っていた。


「そんな今になって追いだすんですか?

 まだ何も終わってないんです…

 レンを助けることだって…」

「君はまだそんなことを言ってるのか?

 今さらレンを助けるなど戯言はやめなさい。

 もう魔術師としての君は終わったんだ。

 普通の生活を親元に帰っておくるんだ…

 これは決定事項だ!」


ローレンは心の中で泣いていたが、

今は同情をしてやるわけにはいかない。

これから尚也は違う人生を歩んで行かなければ

ならない。未練など残してはならない…と。


「どうしてそんなことを言うんだ…

 何で助けてくれないんだよ…

 必死になって頑張ってきたのに…」

「……出て行く準備をしたまえ……」


沈黙が重くののしかかる。


「僕は…もう用済みなんですか…」


尚也は泣き叫びながら必死に訴えていた。

自分は頑張ってこれからもみんなと一緒にやって

行くんだと、そして魔力を取り戻しレンを…

助けて見せるんだと。

それを支えに辛いリハビリも克服したのだと…

ローレンはそれを撥ね除け有無を言わさない。

そして、ローレンに尚也の言葉は届かないのだと

悟らされた。


「そうだ…君は用済みだ」

「で…出て…行き…す……グスッ」


そう告げると、尚也は拳を握り歯を噛みしめ悔しいさと

悲しさを抱いて書斎を出て部屋に一人向かっていった。


ローレンは尚也の去ったドア見つめて、

机に拳を振り下ろし一人の子供さえ守れなかった

自分を一生責め続けていくのであった。


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