23話 魔術の代償
部屋の中は静まり返っていた。
窓のカーテンがフワフワと風になびき、
もうすぐ太陽が真上に登ろうとしていた。
「どういう事ですか?!」
「なおやくん…?」
尚也はローレンの胸ぐらを掴む勢いで叫んだ。
紗菜は声を掛け心配そうにローレンを見ている。
シェラは窓側に立ち、外を見ながら黙って
話を聞いているのだった。
「説明をするから落ち着きなさい」
「…すみません」
尚也は頭に血が上っていたのを気付き
すぐさま謝罪をした。
「君は何故いくつかの魔術が禁呪と呼ばれて
いるかわかっているかい?
魔術師は自分の内にある魔力を消費し、
様々な属性を活かし、魔術という超能力を
使用している。そして、それは魔力を消費した
としても無理をしなければ、人体に害を及ぼす
ことはないとされている。知っているね?」
「はい…魔力の保有量は個々で違いますが、
消費し過ぎたとしても極度の疲労感を伴う
だけで一定の休息を取れば回復します。」
「だが、禁呪は違うのだよ…」
ローレンの表情に真剣さを増し、部屋に只ならぬ
雰囲気を醸し出していた。
禁呪とは一般的な魔術と違い、未知数な部分が多く
幾度と研究をされたが、未だに解明されていなく。
人体に及ぼす影響が計り知れないとして
その使用を禁止している部類のものである。
「禁呪は極めて高い確率で人体への影響がある
そして、君が今回使用してしまったあの魔術…
術者の力を半分に分け、極めて高度な分身を
作り出すことのできる魔法だ。
しかし、そんな人間の力の範疇を超えたことをして
無事でいられたらおかしいと思わないかい?」
普通の魔術でさえ100年前は人の域を
超えているとされていた。
その域をまたさらに超えようとすれば…
それは…その代償が支払われないわけがない。
「僕はどんな…」
「君の話を聞いた限りで…
あくまで憶測での話だ…
君は分身を作りなおかつ、最後の力で分身に
力を送り込んでいる。間違いはないね?」
「はい…あの時は夢中で…」
「そうか…
本来なら力は平等に分かれはずだ。
しかし、君はその力さえも
譲渡してしまっている。
この魔術の欠陥は…
1度分かれた分身は力は…
戻らないという点なんだよ
そして…逆に君は分身の劣化版になり
能力の…ほとんどを分身に与えてしまった…
そう…君は…もう…
魔術師と呼べる魔力は…
魔術は使えないということなんだ。」
「「「え?」」」
「そんな…なおやくんがどうして!」
「なおやが魔術を使えないなんて…」
紗菜とシェラが悔しそうな顔でローレンを
見つめていた。
「現に今尚也からは魔力を感じ取れない」
「そんな…まさか…
風よ ウィンドー!………」
シーン 尚也が壁に向けて魔術を放ったが
何も起こることもなく静寂に包まれた。
自分の手を見て信じられない光景に
ただ…ただ…涙を流していた。
「なおやくん…」
「なおや…」
ローレルが考える時間が必要だろうと
ドアを開け外に出て行った。
彼女達は心配そうにいつまでもそばにいた。




