20話 崩落の後
チュンチュン 鳥の囀りが朝を告げている。
昨日の事が嘘のような穏やかな暖かさを感じる。
窓の外では真っ白なシーツが風に揺られ、
台所ではトントントンと包丁の音が聞こえ
美味しそうな匂いがしていた。
朝食のメニューはベーコンにスクランブルエッグ
そして何故か味噌汁があった。
子供達は昨日の疲れのせいかまだ誰も起きてはいない。
しかし、何時までも寝かせて置くわけにもいかず、
ローレンは部屋に行き声をかけ朝食ができた事を促すと
一人一人と起き上がり顔を洗いに行かせた。
だが、尚也だけピクリともせず起きる気配がなかった。
「尚也?・・・起きなさい尚也!」
何度起こしても起きる様子はなく。
もう一度よく観察すると1つの事がわかった。
以前は目の前にいるだけで魔力が感じ取れたのだか
いまの尚也からは少しも魔力を感じることができなかった。
「なんてことだ…専門医に診せるしかないか…」
「ローレン先生……」
紗菜が何かを言いたそうにこちらを見ている。
ロックとシェラも顔を洗って戻ってきて、紗菜の頭を撫でていた。
「とりあえず朝食にしよう…話はそれからだ
救助ももう少し日が昇ったら町の人も協力をしてくれるそうだ」
「わかりました…」
重い空気の中椅子に座り食べ始める。
ショックで食べれないかと危惧していたローレンの
気遣いは無用のものだった。
昨日の昼から何も食べておらず空腹が勝ったのだ。
朝食が終わりようやく話をする時間がきた。
「さて君達が昨日言っていたことは覚えているかい?
疑っているわけじゃないが錯乱しているようだったし、
確認の意味も込めてだ」
全員が無言で頷き、
ロックが昨日の様子を語りだした。
「昨日裏山の洞窟に探検していたんだ」
それから洞窟内の内容を覚えている限り詳しく話をし、
化物がいて戦い尚也が自分達を守るために
危険な禁呪を使って外に転移させ、
化物を封印したということだった。
「レンは転移しなかったのかね?」
「レンはみんなををまもるために転移する瞬間に化物の動きをとめたの」
その結果レンは転移陣から出てしまい取り残されたらしい。
そう言ってシェラは悔しそうな顔をしていた。
「でもなおやがどうしてか洞窟をこわしてしまった」
「ちがうよ きっとレンちゃんを助けるためになにかしたのよ」
「なにかってなんだよ!」
「さなをせめたってしょうがないでしょ」
ロックは尚也がレンを置き去りにしたまま、
洞窟を壊したと思っているようだ。
しかし、紗菜は尚也がレンを無視してそんなことを
するとは到底思えなかった。いや、思いたくなかった。
シェラも尚也から光がでて洞窟に入り
破壊したように見えたが信じたくはなかった。
ローレンは尚也が2人になったと聞いてある禁呪の
名前を頭に浮かび挙がらせていた。
まさかアレを成功させてしまうとは…
感嘆と同時に落胆していた。
しかし、あの魔術は術者の半身を使うもの…
そして使った半身が戻ってきたという事例は残されていなかった。
「尚也はきっとレンを助けるために何らかの手段を取ったはずだと
私は思うが…崩落した洞窟は広い、君達が1時間以上掛けて
潜った先に辿り着ける保証はない。」
コンコン ドアがノックされ救助の準備ができたことの知らせだった。




