16話 永き眠りへ
レン以外が転移魔術で外にでたころ
洞窟内部では封印の発動が本格的に始まっていた。
無言でレンは尚也をみる。
尚也は振り向き悲しそうな顔をしていた。
その表情でなんとなくわかった。
「もう時間切れなんだね・・・」
その言葉は地上の尚也にも影の尚也を通じて聞こえている。
尚也は祈り残りの力を振り絞り洞窟内部にいるもう一人に力を送り込んだ。
その結果尚也は力を使い果たし意識が途切れた。
影の尚也がレンに話しかける。
「僕自体が封印魔術だから、できることが限られる
尚也から送られてきた力でも、この状態では転移魔術も
使うことができない。しかし仮死状態でここに君を留めて置くこと
はできる。助けが早く来ることを願ってる ごめん」
助けがくるということは封印も解くことになる。
それでも生存の選択肢を残してくれた尚也をレンは感謝をしていた。
「ありがとう・・・またいつの日か会おうね」
レンの目には涙が浮かんでいた。
帰れない悲しみ。
友たちに会えない淋しさ。
何もできない悔しさ。
そして、全力を尽くして守ろうとしてくれる目の前の彼に最大の感謝を。
いつしか目覚めた時にそばに居てくれるだろうかと想いを馳せ。
尚也の言葉を待つ。
「 永久に優しき眠りを エターナルコールドスリープ」
影の尚也が魔法を呟くと、レンを何かが優しく触れてくる。
温かく強い意思を感じて安心して
そのまま身を任せ、
その瞳を閉じ光に包まれていった。
「タス・・ケ・テ」
それは暴走しているものの最後の声だった。
小さな声であるけれどが確かに尚也の心に響いた。
「……」
瞳は見開いたまま諦めたようにずっとこちらを見ていた。
影の尚也はそのまま光に吸収され封印として溶け込んでいる。
そして同時に封印が完成し、ソレを包み込み球体が出来上がった。
その瞬間圧縮された魔力が外へ解き放たれ
洞窟はその反動に耐えられず崩れ落ちた。
崩れ落ちた洞窟の奥深くには球体のらしきものが佇んでいた。
表面に六芒星が刻まれていた。
最後の声を尚也は夢の中で聞いていた。
「助けて」
確かにそう言っていた。言葉が喋れたのだろうか。
暴走の節々で片言だが何かを喋っていた様にも感じ取れる。
そして、転移しようとしていた僕たちに何か言いたそうに
見ていた黒い瞳が印象的だ。
アレは一体何であったのだろうか?
封印してしまい、後はもうわからない。
結果的にレンまでも一緒に封印してしまった。
禁呪を使った自分の身体もどうなったか
何もわからないまま深い眠りについた。




