11話 邂逅
いつも遊んでる5人組で裏山の洞窟に探検に出掛けた。
何もないただの洞窟のはずであった。しかし、先日の
落盤で今までなかった道が新たにできていたのだ。
そうとは知らずに5人組は洞窟の中に楽しそうに
入っていった。
「なんかおかしくない?」
「こわいのかよ?」
「そ そんなんじゃないもん」
男の子はからかうように女の子に言うと中に走っていった。
「「「「まってよー」」」」
慌てて他の4人も後ろからあとを追っていった。
洞窟に入ると外とは違い光一つない暗闇の世界だ。
「わがてにひかりを ーーーー小光ーーーー」
先程女の子をからかっていた男の子が光の初期魔術で明かりを灯す。
「ロックくんすごい」
「へへ このくらいかんたんだぜ」
ロックと呼ばれた男の子は自慢げに笑うと 「いこうぜ!」と
先を促す。
「まっくらでなにもいないね?」
「さな~なにかいたらこわいよ~」
「ざいほうでもかくされてるかもよ」
紗菜と呼ばれた子は髪と瞳は黒くポニーテール
が印象的だ。警戒心が強いのかやたらと
周囲に気を配り子供だとは思えないほどである。
その名前と容姿から東洋人であることがわかる。
紗菜の服を掴みながら歩く怖がりのシェラと
その後ろからレンという女の子が歩いている。
シェラは金髪碧眼のお嬢様ぽい子だ。
負けず嫌いで自称正義の味方であるが、
いまは唯一の敵である幽霊に対して怯えていた。
一方、レンはショートカットで実にボーイッシュな顔立ちが
印象に残る。レンは北欧の出身と聞いたことがあった。
後ろから尚也が声を掛ける。
「くらいからころばないようにね」
「「「 うん 」」」
3人が一斉に返事をする。
前のからロックの急かす声が聞こえていた。
「なにしてるんだよーはやくこいよー」
「まってよ~」
ロックの紹介を忘れるとこだった。
読んだらわかったと思うが、ガキ大将気質だ。
みんなを引っ張り良いことでも悪いことでも
面白そうなら首を突っ込みたがる。
そして1番が大好きだな…。
ここの施設に来た時にはその性格に、
大分助けられていた部分があったと思う。
暗い道を光の魔術で照らし奥へ奥へと進んでいく。
この洞窟はこんなに深かっただろうか。そんな心配が心に降り積もってくる。
「まだおくにいくの?」
「そろそろかえろうよ~」
「そのほうがいいかもね」
「も もうすこしすすもうぜ!」
徐々に不安の声が高鳴る中、
ロックは頑なに行くと言って聞かなかった。
みんなも不安とはいえ子供の好奇心はあった。
奥になにかあるのだと思えば進みたくもなる。
いまから思うとあの時点でロックはアレに引き寄せられていたの
かもしれない。
もうかれこれ1時間以上歩いたのだろうか。魔術師として訓練をしているからと言って
慣れない洞窟の中暗闇を歩く疲労は計り知れないだろう。
前方でロックが何かを見つけたようだ。
「おい なんかあったぞ」
「もうくたくだだわーやすんでもいい?」
「うん きゅうけいにしようよ」
紗菜とシェラとレンは大きな石を見つけそこに腰を降ろしている。
顔に大分疲労の色がでていた。
「癒しの光よ ーーーー治癒ーーーー」
尚也は3人に向けて治癒魔術を使った。
「「「ありがと」」」
「どういたしまして」
3人の顔色は大分良くなりなんとか引き返せそうだ。
(最悪の場合転移魔術で脱出すればいいか。)
3人ばかりを気にしていたせいで、重要なことを見逃していた。
本来ならロックが駆け寄ってきて騒いでいるはずなのに。