1話 日常
ふと、目が覚めた。
ベッドの横にある机の上の目覚まし時計は
7:00を指している。
時計がアラームを知らせる20分前だ。
目をこすりまだ寝ている頭を呼び起こす。
「起きるか・・・」
何故か起床20分くらい前に起きることが多い。
アラームを切り、カーテンを開け今日も1日の始まりを、
その日光で光合成をしたような雰囲気を醸し出す。
チュン チュン
雀が可愛くチョコチョコとベランダで遊んでいるのが見える。
顔洗い、トイレを済ませ、朝食の準備をする。
ただ最近のゲームなどと違って主人公だから料理が上手いということはない。
パンを焼き、バターを塗り…齧りつく!
ドリンクは紅茶だ…ただ、砂糖をたっぷり、
しかしミルクティは苦手だ。
「なんかニュースでもやっているかな」
TVをリモコンで操作し電源を入れる。
「ピッ・・・・
・・・の天気予報は晴れ時々曇りで山間部は時々雨が
降るかもしれませんのでご注意ください」
淡々と天気予報や何気ないニュースが流れてくる。
特に大きな事故や事件も報じず、
興味はないが芸能ニュースに耳を傾ける
「嫌いな芸能人ランキングずっと1位だった江頭2:50を破り…
島○伸介さんが1位になりまし・・プツン」
そこでリモコン操作し電源を切った。
「平和だなぁ」
別に、平和がダメなわけではない。
むしろ平和が長く続くならそれはもう、
彼が強く望んでいることであり、
幸せなことのだと再認識させられることだ。
5年前のことがふと脳裏に浮かんだ。
いまごろ何故思い出したのだろう・・・
と思いながら紅茶を嗜む。。
紅茶とTVの音がそのまま部屋に響かせていく。
この部屋は広いとは言えない2DKのアパートで
独り暮らしをしてもう3年程立っている。
それにしては殺風景な部屋なのかもしれない。
必要以上にものが置かれていない…
がある一室には色々な書物やメモなど
何かを調べているようなものが散乱していた。
ある意味異質な…。
「ピーン ポーン
ガチャ ドンドン ドンドン」
チャイムが鳴ったと同時に玄関のドアが開けられ
中へと入ってくる足音が聞こえる。
玄関から入り次のドアを彼女が開ける。
ガチャ…
「おはよう 尚也君」
「おはよう 美咲」
椅子に腰を掛け紅茶を飲みながら挨拶を交わす。
美咲と俺が呼んだ彼女は、同じ中学の同級生で
同じクラスで 水嶋 美咲。
どうして部屋に入ってきたかと言うと、
合鍵を渡してあり自由に出入りを許している。
髪は肩まであるが、ショートのほうがいいと常々本人は主張するのだが、
俺は長い髪の方が好きだから伸ばしてほしいとお願いしている。
顔は可愛いといわれる部類で学校では結構人気もあったりする。
「尚也君!またパン1枚なの?もう…
朝はもっとちゃんと食べないとダメだよ!」
腰に手をやり、人差し指をこっちに向けて決めポーズをする。
「料理は苦手なんだよ。
美咲がいつも朝作りに来てくれよ」
「ホント?私ここに住んじゃおうかな。
あっそれってもう新婚さんみたいだね!」
顔をカッっと赤くし、
クネクネしながら妄想の世界に入りだした。
妄想に入りだすと長く、
意外に頑固なところもあるので度々喧嘩にもなる。
やれやれと思いつつ、
時計を見るとそろそろご登校の時間が迫っている。
「ほら、冗談言ってないで学校いくぞ~」
「あっ 待ってよ~もう冗談じゃないのに~~」
部屋のドアの鍵を閉めて、登校していく。
2階建のアパートで2階の角部屋の表札に
新堂 尚也 と書いてある。
3年前に建てられ、洗濯乾燥機付きのいい物件と言えよう、
ただ、アパートなだけに壁が薄く音も響いたりするので
デメリットもある。
学校へは30分程度の道を歩く。
景色は特に普通だ…都会でもないし、
田舎というほどでもない。少し歩くとコンビニがあり、
大きな書店や、スーパーもあったりするので暮らしに困ることはない。
いつも通り、美咲と2人で何気ない会話を
楽しみながら登校していくのだった。