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第2話 井伏鱒二と眼鏡

故井伏鱒二が1975年にノーベル文学賞の候補になった話が話題になっている。

意外な事実扱いされているが、自分は学生のころ井伏がノーベル賞の候補になった話はすでに聞いている。


広島に投下された原爆の惨禍を描いた『黒い雨』で候補になったのだが、黒い雨はあまり社会的モチーフを主題にしない井伏の中ではかなり異色作だ。

黒い雨で井伏を社会派と思った外国の読者が『山椒魚』や『川』を読んだらきっと驚くだろう。


井伏は短編の名手で、自分はその中でも目の悪い足軽を主人公にした時代劇短編が好きだ。

まだ眼鏡がない時代、目が悪い人は身体障害者も同然だった事実を鮮やかに描いている。

主人公は自分の目が悪いことを仲間に悟られまいと悪戦苦闘する。

井伏自身目が悪かったから思いついた話であろう。

苦いユーモアをたたえた名編だが、情けないことにタイトルを忘れてしまった。


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