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見ないでください。

作者: 古瑠璃
掲載日:2025/12/29

 私の脚は醜い。

 初めて意識したのは、小学2年生の時だ。

 まず、友達に「私、スカート似合ってるよね…?」と、聞いてしまったのが間違いだった。

 友達は何の悪気もなく、真面目な意見として、私に「ううん。似合ってないよ!」と満面の笑顔で言った。

 その純粋な言葉は私が思うよりも大きなショックを与え、そこから私は脚を出せなくなった。

 私はスカートが似合わないのだと思うようになり、次第に脚自体が醜いのだと思うようになった。

 半ズボンも履けず、スカートなんてもってのほか。

 家族にすら脚を見せることができない。

 今でも、長ズボン以外を履くことが恐ろしくて仕方ないのだ。


 私の腕は醜い。

 中2の冬、毛穴をつねって毛を押し出すようになってから腕はかさぶただらけになった。

 勿論痛いし、家族に隠すのは困難だ。

 それでもやめられない。

 どれだけ腕が醜くなるとわかっていてもやめられない。

 だから私の腕はいつまでたっても醜い。

 腕を長袖で隠せなくなったら私は流石にやめられるのだろうか?


 私の顔は醜い。

 人一倍ニキビの量が多く、薬を飲んで落ち着かせている。

 それでもニキビがなくなるわけではないし、やはり少しはできる。

 問題はその後だ。 

 ニキビを潰し、顔を掻き、かさぶたを剥がす。

 みるみるうちに私の顔は醜くなっていった。

 やめたくてもやめられない。

 無意識のうちに顔を触り、かさぶたを剥がしている。

 私の顔は、きっと、このまま醜くなる一方なのだろう。


 私の笑顔は醜い。

 笑うと頬の肉が持ち上がり、まるでアソパソマソの様だと笑われた。

 その名前で呼ばれ、からかわれた回数なんて数え切れないぐらいだ。

 いつかもっと綺麗な笑顔を作れる時が来るのだろうか。


 私の腹は醜い。

 運動音痴でからかわれるから運動時間はどんどんと減り、それに比例するように私の体重はどんどんと増えた。

 ぽっこりと出た、デブではないが痩せてもいない腹がとてもだらしない。 

 風呂にはいるたび、目を伏せたくなる。

 想い人でもできたら少しはダイエットをするのだろうか?


 私の口内は醜い。

 我慢をするたびに口内を噛む癖のせいで口内炎と傷だらけだ。

 痛いけどやめられない。

 やめたくてもやめられない。

 やらないとと我慢ができない。

 歯医者に行く日までやってしまうのだから治すのはもう難しいだろう。


 私の心の中は醜い。

 吐き出せない感情と、発せられなかった意見が混ぜ合わさってドス黒い塊になっている。

 夢に出てくる鉄球はきっとこいつだろう。

 一度触れれば悲しみ、憎しみ、怒り、後悔、寂しさ、焦りなど、様々な感情が流れ込んでくるのだ。

 私の吐き出せなかった想いが夢の中で怒っているのだろう。

 いつの日か、全ての想いを吐露できることを祈っている。


 私の性格は醜い。

 何でもすぐに面倒臭がり、嫌なことからは逃げ、すぐに言い訳を探す。

 上手く隠せていた本質が、最近では隠せなくなっているから余計に困る。

 どうすれば─。


 この様に、私という人間はあらゆる所が醜い。

 わかっていても直せない。

 直したくても直せない。

 直すことすら面倒臭い。


 だから、私を見ないでください。


 居ないものとして、見えないものだとして、聴こえないものだとして、私のことを見ないでいただきたい。


 どうか、お願いします。


 私を見ないでください──。

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