義母の悲鳴と何も聞こえなくなったスマホ
「あの! 待ってください! 本当にすみません! あ……」
ノドカの代わりに長谷川さんに謝り続けたけど……
ため息をつきながら部屋に帰った……
怒りながら扉を閉める音が聞こえてきたな。
はぁ……
明日の朝また謝ろう……
「あはは! 行っちゃったね。でも都市伝説なんて笑っちゃうよ!」
ノドカがバカにしたように笑ってるけど……
「……壁が薄いんだから全部筒抜けだぞ」
「……でも都市伝説だよ? タカちゃんだって変だと思うでしょ?」
「ノドカはあの木箱が見えないからそんな事が言えるんだ……」
「また木箱? お母さんもタカちゃんも私に嘘をついて怖がらせようとしてるんでしょ?」
「そんな事あるわけないだろ!」
「そんなに怒らなくてもいいでしょ? あ、お母さん? え、喧嘩? してないよ」
「……ノドカ。お義母さんに木箱を開けるなって伝えてくれ」
「はぁ……まだそんな事を? 腐る物だったら困るでしょ?」
「ノドカ……あの木箱は普通じゃないんだ。変な感じがしたし……」
「はいはい。お母さん。開けたらダメだって。え? 水分があるような重さ? 果物みたい? 運んだ時に中の物がコロコロ動いたの?」
「水分があるような重さ? コロコロ動く?」
何が入ってるんだ?
「そうだね。ごみに出すにしても開けないとね」
「あぁ! ダメだって!」
「もう……タカちゃん大丈夫? 都市伝説なんて信じてるの? (ギャアアアアア!)」
……!?
スマホからお義母さんの悲鳴が聞こえてきた!?
「お義母さんは大丈夫か!?」
「あはは! もう、二人して悪ふざけが過ぎるよ。私を驚かせる為に打ち合わせしてたんでしょ?」
「そうじゃない! 行くぞ! 何かあったんだ!」
「……え? もう……やめてよ」
「いい加減にしろよ! 冗談なんかじゃないんだ!」
「……え?」
「いいから急げ!」
「もう……冗談……だよね?」
「お義母さんに何かあったらどうするんだ!」
「何それ……」
「いいから急げ! 俺は先に行ってタクシーをとめておく!」
慌てて外に出ると長谷川さんが扉の隙間から覗いている。
「あ……さっきは……すみませんでした……妻は部屋の電気を消したりしてて後から来ます……さっきの電話……聞こえてましたよね? 義母の悲鳴が聞こえて……それからずっと無言なんです」
「……動画……ありますよ」
「……? 動画?」
「『都市伝説木箱』で検索してください」
「……え?」
「俺はこれ以上協力しませんから……あなたの奥さんは最悪ですね」
「あ……すみません。さっきはバカにしたような態度を……」
「それだけじゃないですよ。母親殺しなんて……」
え?
母親殺し?
あ……
ノドカが来たから扉を閉められた……
母親殺しって……
どういう事だ?
タクシーに乗り込むとノドカの実家に向かう。
「ダメ……通話中なのに何も話さないよ」
ノドカがスマホを見ながら呟いた。
「ノドカ……さっき……長谷川さんが……」
「……何?」
「ノドカが母親殺しって……」
「……? 何それ?」
「分からない。でも木箱を家に入れたり、中を見たりしたのが関係してるんじゃ……」
「本当に冗談やめてよ!」
「運転手さん。あとどれくらいで着きますか?」
「そうですねぇ……十五分くらいですね」
「十五分……」
「お客さん……すみません……話を聞いてしまって……」
「……え? あの……」
「今の木箱の話って昨日の夜のテレビのやつですよね?」
……テレビ?
……?




