これが田舎暮らし!? このおばあさんが特殊なんだよな!?
「あの……おばあさん?」
生きてる人間だよな?
見た事ないくらい小さいおばあさんだ……
「ん?」
「もしかして大家さんの奥さんですか?」
「……? 大家の奥さん?」
「……? えっと……あれ?」
違うのかな?
「カボチャができたから持ってきた」
「……え? カボチャ?」
「旨いぞ? カボチャの煮物を作れるか?」
「……え? カボチャの煮物?」
「結局煮物が一番旨いんだ」
「……え? あ……はい……」
『はい』って言わないとダメな感じだ……
「やっぱり、そうだろ? 作れるか?」
「……いいえ」
毎晩スーパーの半額の弁当を買って食べてたからな……
お金を貯めて結婚式を挙げるって決めてたから……
ノドカ……
今頃どうしてるかな?
俺の近くにいたら危ないから病院にいた方がいいのは分かるけど……
お義母さんがあんな事になったのに酷い事ばかり言って傷つけた……
謝りたい……
でも今動いたらノドカも悪い奴に狙われるかも……
「ほれ兄ちゃん! カボチャを切れ」
「え?」
「年寄りにはカボチャは硬いんだ」
「あ……はい……」
包丁……
久しぶりだな。
あれ?
本当だ。
カボチャってこんなに硬いのか……
右腕しか使えないから難しいかも……
「よしよし。じゃあ、あとは鍋にぶち込んで煮るだけだ」
「え? そんなに簡単なんですか?」
「ははは! そうだ。大体の物は鍋にぶち込んで煮りゃできる!」
「……そうなのか。料理って難しいと思ってたけど簡単かも」
「ははは! 調味料はどこだ?」
「あ……今引っ越してきたばかりで何もなくて」
「そうか。じゃあ鍋を持って家に来い!」
「……え? あ……でも……鍵をもらい忘れて……」
「鍵? ははは! そんなもん誰も持ってねぇぞ!」
「……え?」
「鍵穴があるから、家のどこかにはあるんだろうけどなぁ……どこにあるんだか……一回も掛けた事がねぇからなぁ」
「え? あの……防犯とか……大丈夫なんですか?」
「防犯!? ははは! 盗まれて困るような物なんかねぇだろ!」
本当に鍵を掛けないのか……
田舎ってすごいんだな。
そういえば自己紹介がまだだった……
「えっと……俺は田村貴司です。おばあさんは……」
「この集落は皆、名字が小犬丸だからなぁ。そうだ! 『ウメちゃん』って呼んでくれ」
……ウメちゃん?
じゃあこの家の鍵もないのか。
って、そうじゃないっ!
普通に考えてみろ!
変だろ!?
知らないおばあさんが勝手に上がり込んでお茶を飲んでカボチャを切らされて……
これが田舎……なのか?
すご過ぎる……
俺……
これから毎日こんな暮らしをするのか?




