8話 レッスン①【ロールキャベツとハンバーグ】
「中身が一緒だから、同時進行で進めるわね!まず、大きな鍋にお湯をたっぷり沸かします」
「ハイ!」
「キャベツを丸ごといれまーす。ハイ!ドボン!」
「ええー?!」
「ハイ!具を作りまーす!タマネギとニンジンみじん切りして!」
「済んだら、それフライパンで炒める!」
「お徳用ミンチ3パック使うよ!!大きなボウルに移して、塩コショウはこのぐらい!はい、混ぜて混ぜて!」
ナイロンの手袋つけて、混ぜる、混ぜる!混ぜる!!
「炒めたお野菜と溶き卵、パン粉はミルクでふやかして、ミンチに混ぜる!」
ああ。だから塩コショウ利かせてたのか!ちょっとどうかと思うくらい入れてたもんな。
パン粉結構入れるのな!ミルク控えめで、卵多いな。
「デロデロになりません?」
「ならないわよ!なったら、パン粉で調節なさい!」
ミンチだねは、全部混ざったら3分の2にナツメグを混ぜてハンバーグだねに、残りはロールキャベツだねに分けられた。
ハンバーグだねを空気を抜く為、大きな小判型にしたら手のひらを真っ直ぐにして、右手と左手を行き来させるキャッチボール(?)を行い終わったら、軽く形を整えてバットに入れて一杯になったら、ラップして冷蔵庫へ。味見にお昼ご飯に焼いてみることにした。
「今度はロールキャベツよ!茹でたキャベツを水で色止めしておいたわ!さあ、丁寧に1枚づつ剥きなさい。なるべく破らないように剥くのよ?」
「イエッサー!!」
芯から1枚づつ剝がしたら、キヨちゃんがキッチンタオルで丁寧に水気を取ってくれて、ハンバーグも勝手にひっくり返してる。
一家に一台!キヨちゃん!
15分もかかって解体したキャベツをやり切った感一杯でみてると、キヨちゃんに足蹴にされた。
「今からだよ!何終わった顔してるんだい!」
「ソウデシタネ、カタジケナイ」
「まず、キャベツの芯を出っ張ってる部分を削ぐ!巻きにくいからね。はい、やる!」
「イエッサー!!」
面白かったが、すぐに終わった。
「あとは葉っぱの大きさに見合った肉だねを巻くだけだよ。一番外側のは拳の半分くらいに俵型にして葉っぱの根元に置く!肉だねが隠れるくらいに巻いたら左右の端を肉だねに合わせて中央に折る!あとは一気に巻く!」
「紐は?」
「綴じ目を鍋底にしてたら、問題ない!巻くとき破らないようにキツメに巻くこと!」
へぇ、そうなんだ!ロールキャベツ食べたこと無いから、楽しみ!
大鍋の底を塞ぐように綴じ目を下にして詰めたロールキャベツをヒタヒタの水で煮る。沸騰したらコンソメのキューブを水の量に応じて入れて、ゆっくりコトコト煮る。
「あんまり、キャベツ剝ぐのが遅いから、ハンバーグのソースの味付けしちゃったよね!」
ガーーーーン!!
「何とぞ、何とぞ、ご教授よろしくお願いいたします!」
「そんな大したもんじゃないよ!ああ、お腹空いたね!食べてから、たっくんが気に入ったら教えてあげるよ!」
レタスを洗って水切りしてハンバーグに添える。朝ごはんで余った花麩のみそ汁をキヨちゃんに捧げる。僕は朝飲んだからいらない。
ご飯を茶碗の縁ギリギリまで盛りいただきますだ。
ハンバーグに箸を沈めるとあふれる肉汁、香ばしくてどこか懐かしいソースの香り。かぶりつくとナツメグがお仕事をしてるが嫌ではない。むしろ、美味しい!
「これが手作りのハンバーグ、かぁ!キヨちゃん、美味しいよ!」
「うん、美味しく出来てるね!頑張ったぞ!たっくん。ただね、焼くときに半生にならないか心配何だよね。カリッと焼くのは最初だけ、あとひっくり返した時と!あとは、ウスターソースとお砂糖と日本酒のソースで弱火で蒸し煮しなさい。中央をつまようじで刺して透明な汁が出て来たら出来上がり。頑張りなさい」
「ええー?!ウスターソースと砂糖とお酒でこんなに美味しくなるんですか?!キヨちゃんすごい!」
「ふふふ、若かりし時の遺産よ!当時は貧乏だったから、色々工夫して旦那様を食べさせてたの。たっくんが受け継いでくれるなら頑張った甲斐があったわね。お弁当のおかずに困ったら、おにぎりか、混ぜご飯、炊き込みご飯も時々ならいいかもね。あ、そうだ!一日デリカでバイトしてみない?揚げ物一日やってたら、慣れるわよ!」
「!!お願いします!」
「じゃ、日曜日の朝5時に迎えに来るわ!ロールキャベツは、キャベツがクタクタになったら、煮えてるから、取り分けるときはトングで優しく摘まんでお皿に載せなさい」
「待って!ポテトサラダと野菜の肉巻き教えて下さい!」
「後でメールするわ!今日はこれから、大事な用があるの!」
「あ、ハイ!失礼しました!」
「また、明日ね!」
「ハイ!ありがとうございます!」
キヨちゃんを玄関でお見送りして、巨大なクーラーボックスに入ってる肉の山をどうしようか悩んでいると、キヨちゃんからメールで指示が来た!
「牛バラ肉は、全部、焼き肉のタレに浸けろ?……ええー?それって美味しいの?」
6パック分を大きなタッパーに入れて某大手メーカーの焼き肉のタレをヒタヒタになるまで注ぐ。蓋をして冷蔵庫へ。
何故か業務用冷蔵庫だったのが、最大の謎だったけど、ちい兄の占いの結果だったといまならわかる。
「アー!クリームチーズが入らないよ!」
キヨちゃんにメールするとチーズケーキのレシピが返信された。
「ええー?!作るの?僕が?お菓子を?!」
レシピ通りにヒイヒイ言いながら生地の部分を作り、耐熱皿にカステラをスライスして敷き詰めて生地を流し込みオーブンで焼く。
それを6回繰り返してたら、大貴兄と3つ子が帰って来た!
「「「ああ!おかしつくってる!」」」
一番最初に焼いたのはもう冷蔵庫で冷やしている。それを出して1ピースづつ皆で食べた。
「「「おいしい!たっくん!」」」
「いや、マジで美味い!甘さ控えめなのもいい。底のカステラ生地が甘いからな。あ、そうだ!卵焼きちょっと甘さ控えめにしてくれって。それ以外は問題無い」
大人にはさすがに甘すぎたらしい卵焼き。あ、そうだ!夕飯も卵焼きとコロッケだっけ!
ジャガイモを茹でてる間に甘い卵焼きを作る。さすがにもう慣れて焦がさなくなった。
コロッケは、子供用に小さく作って、ミンチが無いのでミックスベジタブルを入れて具にした。
揚げてる片方でロールキャベツをあっためる。
今夜はごちそうだ。
「「「「「いただきます!」」」」」
コロッケと卵焼きが食べたいと言ってた寧々も凛々も、ロールキャベツに夢中だ。
キャベツ切ったらお肉が出て来たから惹かれたらしい。真琴は卵焼き一直線だ。
ナイフで小切れにしてやったロールキャベツをそれはそれは汚く食べ汚しながら、楽しんでいる。……仕方ない。まだ3才だもの!
その割に真琴は綺麗に食べる。
僕は、寧々と凛々の食事のフォローをしながら、大貴兄が食べ終わるのを待つ。
大貴兄はフォークとナイフで器用にロールキャベツとコロッケ、皿盛りしたご飯を食べている。時々ロールキャベツのお替わりに席を立つ。
「フ~、ごちそうさまでした!初ロールキャベツ美味かった!姫君たちのお世話、代わるから喰えよ!」
ロールキャベツをよそいに行くと後1つしか残ってなかった。大貴兄!!!覚えてろよ!




