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たっくんのお弁当  作者: 榛名のの(春夏冬)
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4話 ごはんの日

ウチに車が来た!

毎月10万円ローンの新古国産車の白いワンボックスカーだ。

 幸い事故までに大貴兄は運転免許を取ってたし問題ない。

 これで保育園への三つ子の送迎と大貴兄の足が確保された。

僕は自動車学校へ50ccのバイクの免許を取る為に通っている。

 バイクの免許が取れるまでバイトはお休み。

そんな僕に一大イベントがやって来た!

保育園から帰って来た三つ子が、乾いた洗濯物を畳んでる僕の所に来て小首をかしげながら、言うのだ。


「「「あした、おべんとうもってきて、っていわれたけど、たっくんつくれる?」」」


マジか?!給食じゃない日があるのか?!

 動揺を何とか押し隠しちい兄のようににっこり笑う。


「大丈夫だよ。楽しみにしててね!」


「「「わあ~い!おべんとう!おべんとう!」」」


大貴兄が買い物に連れて行ってくれた。

まずは、本屋でキャラ弁の本を買う。

ワンコインショップでキャラ弁作りに必要なノリカッターや型抜き、キッチンばさみなどを2000円分買う。

スーパーに行きスライスチーズ、焼き海苔、混ぜご飯の元、子供用の赤い小さなウインナー、ブロッコリー、パプリカの赤、黄、ピーマン、人参、桜でんぶ、ふりかけ、ウズラの卵。


「俺にも作って!」


「ハイハイ!」


だいぶ料理にも買い物にも慣れたので鮭の切り身のお徳用パックとほうれん草とぶなしめじを買ってフィニッシュ。

 帰ってすぐ今日のお昼に安達さんに習ったキャベツのミルフィーユ風をキャベツとミンチを交互に両手鍋に底から重ねて蒸し焼きして作る。一品だけじゃ足りないのでタマネギのみそ汁を作る。

野菜ギョウザは焼くだけにしておいたから、フライパンが満杯になるほど入れて少しの水を回し入れて蓋をして焼く。

あとはマカロニサラダをカマボコを短冊切りして塩もみしたキュウリと共にマヨネーズで和える。隠し味に少しだけレモン汁を垂らす。

 作れるようになったと言っても手際が悪いのでモタモタする。7時半に帰って来たのにもう9時だ。

 ねむねむになってた三つ子が、夕食を見てはしゃぐ。キャベツのミルフィーユは食べるのが難しかったようで、三つ子はギョウザとマカロニサラダに夢中。顔いっぱいにご飯を付けて食べ尽くしたらハシを握りしめたまま寝落ちしてしまった。

 大貴兄と僕は三つ子の顔を拭き、1階奥のキングサイズのベッドに運びパジャマに着替えさせた。後は布団に入れて再び、夕食の続きに戻った。


「今日も安達さん来てたのか?」


「うん、キャベツのミルフィーユ風教えてもらったんだけどチビ達には食べづらかったね」


「美味いぞ!あー、ギョウザとマカロニサラダも食べたかった!」


「また、作るよ!」


「じゃ、風呂にお湯張るから、ちゃっちゃと片付けちゃって、先に風呂入れよ」


「ありがとう!大貴兄」


洗い物は慣れている。

ちゃっちゃと終わらせて、汚れたダイニングテーブルを台拭きで拭いてフィニッシュ!

 あ、麦茶、タイマーで仕掛けとこう!

すぐ無くなるし、お弁当なら麦茶が必要だろう。明日はバイクの免許の試験日。頑張るぞ!


お風呂に入って洗濯物を洗濯機に放り込むと3つ子達が、眠っているベッドにお邪魔して眠る。

2時に目が覚めたのでソッとベッドから降りて部屋からでる。

 隣の部屋にあるウォークインクローゼットで、適当な服を着て洗面所に行き身仕度を整え、キッチンに移動して母さんチョイスのピンクのフリルのエプロンをつけてまずは炊飯ジャーにお米を一升洗って仕掛ける。

 30分は給水させて、その間にほうれん草とぶなしめじのバター炒めを作り、グリルで鮭の切り身に塩を振って焼く。焼き加減はグリルにお任せ!

30分後に炊飯ジャーの炊飯のボタンを押す。

 昨日買って来たキャラ弁の本を見ながら人参のグラッセやブロッコリーやパプリカの茹でたものを作り、冷ましたり、水で色止めをして型抜きで抜いたり、果物ナイフで絵の形に切り抜いたり、水色とピンクの薄焼き卵焼きを何枚か焼いたりとご飯が炊けるまでにする細々した事がてんこ盛りだった。

 ご飯は1時間後に炊き上がり、早速シソ味の紫色のゆかりの混ぜご飯を作り、色目が地味なので朝ごはんにおにぎりで食べることにした。昨日の残りでタマネギのみそ汁が残ってるのでそれと、ベーコンを敷いた目玉焼きに千切ったレタスとミニトマトを添えて食べさせる。

 大貴兄の月刊少年漫画雑誌ぐらいある大きな弁当箱にはまず、3分の2にご飯を詰めてその上にカツオのふりかけをかけて焼き海苔を載せた海苔弁にあと3分の1におかずの焼き塩鮭とほうれん草とぶなしめじのバター炒めとミニチュアの人参グラッセにブロッコリーを刺して葉っぱに見立てたニセ人参を6個入れてかさ増ししてそれでも空いてる場所にゆで卵の飾り切りをいれた。

 

「ふう~。埋まった!あ、ゆで卵にマヨネーズを絞っとこ!」


大貴兄はマヨラーだからな!

さて、三つ子のお弁当は、寧々と凛々はち○かわ海苔弁、真琴は、リ○とガ○パールのお花見バージョン。型抜きした食材をせっせとピンセットで組み合わせるのは大変だったけど面白かった!

 でも、海苔弁とスライスチーズっていう組み合わせに不安がある。

良く冷ましてから蓋をして適当なハンカチで包んでそれぞれのフォークとスプーンのセットと水筒に冷たい麦茶を詰めてそれぞれのお遊戯バッグに入れて出来上がり!


「もう、5時か。洗濯しよう!」


大貴兄のお弁当は大きいから大貴兄のスカーフで包んで割り箸を添え、大きい水筒に冷たい麦茶を半分入れた。全部は飲めないっしょ!

 バイクの試験の問題集で復習をしながら、洗濯機が止まるのを待つ。

 出来上がりのお知らせ音と共に大貴兄が起きて来た。


「おはよ!大貴兄」


「ん、おはよう。今日もありがとうな」


「どういたしまして?」


「なんで疑問系なんだよ?朝ごはん作っといて、寧々達風呂に入れるから」


「え?!一日くらい入らなくても大丈夫だよ。大貴兄」


「あのな、そう言って母さんが寧々達を保育園に送り出したら、ウチはネグレクトの疑いをかけられてえらい騒ぎになったことがある」


「ごめん、ネグレクトって何?」


「……虐待だ。育児放棄もそれに含まれる。三つ子の語彙力の無さで周りの大人がどんどん誤解して児童養護施設へ1日預けられたら、俺達に会えないって気付いた真琴が、ギャン泣きして騒いだから、保育園側の誤解だってことで翌日には返して貰えたんだ」


なんだ、それ!怖っ!


「だから、やれるときにやっとかないと痛い目に合う!お弁当頑張ったな!ありがとう洸」


「これからも頑張るよ!大貴兄!」


登園まで、お風呂騒ぎでずっとばたばたしてたから、車の中で食べるようベーコンエッグはサンドイッチに、おにぎりは食べこぼししないくらい小さなサイズの丸型にしてお出かけ用のバスケットに入れて飲み物はアン○ンマンの紙パックミニリンゴジュースで。

 今日は僕もお出かけするので、車に乗ったら寧々と凛々のお世話に終始した。

 真琴はかまわれるのを嫌うから、ナプキンを長袖のシャツの襟首に差し入れるだけにした。

 保育園は、ちょっと家から遠くて、時間がかかるので、三つ子の身仕度を整えるのに助かった!


大貴兄が車を保育園の駐車場に止める。結構若いお父さんお母さんやおばあちゃんおじいちゃんが居る中、子供の僕と大貴兄は明らかに浮いていた。

 保育士さん達がそれを上がり口で出迎える。


「寧々ちゃん、凛々ちゃん、真琴ちゃん、おはよう!」


「「「おはようございます!ミミせんせい!」」」


寧々がミミせんせいとやらに、早速お弁当を持って来た自慢話をする。


「そっか!ちゃんと持って来たんだね、ごはん。今日はカレーだから楽しみにしててね!」


……カレー?!ってことは、白いごはんを持って来いってことだったのか!!


 僕は今までの苦労が一気に疲れになって襲って来たのを感じた。

 それをみた大貴兄がミミせんせいに寧々達が言ったように伝えて今日はお弁当を食べさせて下さいとお願いしていた。

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