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たっくんのお弁当  作者: 榛名のの(春夏冬)
37/42

37話 ノリさん達が取って来た仕事

 夢道館での3Daysコンサートが終わると、吉川さんはアズ・クラにラチられ、渡会さんが僕に付き合ってノリさんのダンススタジオでのダンスレッスンを半日みっちりして、海外に連れてかれた!

 白い砂浜と透き通るようなマリンブルーの海には人っ子一人いない。


「コラ!撮影始まるまではテントの下にいろ!日焼けするだろうが!」

 

 渡会さんに怒られた。

テントの下に戻ると皆、暑くてバテてる。

大河俳優の三澤由樹矢(21)の新曲のプロモーションビデオの撮影で、三澤由樹矢のバックダンサーの2人の内の一人が僕。

 波打ちぎわで踊りまくるんだそうな。

中性的な顔のダンサーを探していたら、まんまと応募してきた僕を採用したようだ。

 もう一人のダンサーさんは男装の麗人レベルの20才くらいの女性。

かなり激しいダンスで不快な事に振り付けがエロい!もう一人のダンサーさんは怒って帰ってしまうところだったが、報酬アップで何とか怒りを収めたのだ。

 ノリさんも好きでこんな振り付けにしたわけじゃないだろうし、ギブアンドテイクの精神で行こう!


撮影が始まると三澤由樹矢が振り付けに格好付けて微妙な場所を撫でるように触るのだ!

 ダンスが激しくてよかった。余計な事を考えなくてすむ!

 大貴兄ならぶちのめしてるだろう。例え撮影中でも。

 通しで30分踊り狂うのを、6回繰り返し、監督が納得いかないから明日も撮影だと言われて僕は、渡会さんに三澤由樹矢にセクハラされてる事を相談すると渡会さんは、アズ・クラがこの島に持ってる別荘に泊まることにした。身の危険を感じたノリさんと女性ダンサーのIchikaさんも付いてきた。

 僕以外、料理が出来ないらしいから、今日は簡単にシーフードカレー。ナンを焼いたら結構皆食べた。ラッシーを作って食後に給仕するとIchikaさんに頭を撫でられた。


 ノリさんは三澤由樹矢の新曲を流しつつ、間奏部分の振り付けを考えている。

 三澤由樹矢のワガママらしい。


「3人で高まって行く様子をもっと大胆に、ねえ?エロガキめ!」


Ichikaさんと僕は振り付け出来たものを見て嫌悪感で顔を歪めた。


「ここはソロで踊るようにするから、うんとセクシーに踊り狂いなさい」


「「それならO.K.です!」」

 

ダンスレッスンを見てた渡会さんがちょっと赤い顔をしてたが、見なかったフリをした。

 矢田部さんに殺されちゃうからだ!


夜中過ぎに真琴に電話して無いことに気付いたが、時差がわからないから、諦めた。

 ごめん、真琴。僕、セクハラされてる。真琴の物なのに。

電話しないことよりそっちの方が気に掛かる。


翌日日が昇るとすぐ、撮影が始まりセクハラをものともせず踊り狂い昼までに撮影を終わらせてスタッフさんに挨拶するとお土産を真琴宛てに送って飛行機に飛び乗り日本へ。

 帰国したその足で有名通販雑誌リッセンのモデルのお仕事に。僕が担当するのはメンズの子供服、キヨちゃんにきたえられてなかったら、何していいか、判らなかっただろう。

2~3回着替えて街なかで撮影したら、渡会さんに急かされて次の現場へ。

 次の現場はお料理番組のアシスタントだった。台本貰ったけど、覚える時間が足りなかったから何の料理かだけ教えてもらってほとんどアドリブでやり切った!

 その結果、来週もまた来るよう言われた。

渡会さんが驚いていた。


次の現場へ向かうタクシーの中で渡会さんがお話するには。


「あの料理研究家の先生。偏屈で有名なんだぞ?同じアシスタント使ったことないから続けられるよう、頑張れ!」


「はい。了解です!」


今度は、大阪まで空の旅の間にアンケート用紙に記入。

 好きな食べ物?家族で食べる食事、と。基本的に好き嫌いないから嫌いな物は、何にしよう?


「渡会さんの食べられないものって何?」


「ドリアンは嫌だったな!しばらく匂いがとれなかった」


ドリアン、と。

好きな芸能人 アズール・クラーロだよね!

嫌いな芸能人 三澤由樹矢と。

好きなスポーツ サッカー

好きな言葉 よく頑張ってるな!


初恋は何才で誰だった? 3才でうちの兄だった。ちなみに今の僕そっくりの顔で長髪だった。女の子と思ってて、バレて馬鹿笑いされた手痛い失恋の思い出がある。


「へぇ、その顔で長髪なら美少女だろ!」


「綺麗なお姉さんだと思ってうっとり見てたら見つかって家族全員の前で公開処刑されました。ちい兄は、自分に恋愛感情を向けた者には男女関係なく容赦なかったです」


「俺にもその気持ちはわかる!子供だからといって迂闊な約束をしたら痛い目に遭うからな!」


渡会さんもひどい目に遭ってそうな顔だもんな。


その後も微に入り細に入り続くアンケート用紙3枚をなんとか埋めて、渡会さんに渡すと渡会さんはチェックして嫌いな芸能人の欄を消していた。


何でだよ!!


大阪に着いたらナンバーワールドジャパンというテーマパークで今人気沸騰中のお笑いコンビ丸安の2人と最新のアトラクションやテーマパーク内の露店を食べてチェックする楽しそうなお仕事らしい。


……しかし、目論見は外れた。

お笑いコンビ丸安の2人は、調子こいているイヤなヤツらだったのだ!

 絶叫系アトラクションには、必ず僕を最前列に一人で座らせてリアクションを実況中継する根性の悪さ。

楽しそうなのには自分達が乗っている。

 僕をパシらせ、美味しいものは2人で分け合って食べて、僕にはくれない。

 テーマパーク内のレストランでも一切食べさせてもらえなかった!


これが芸能界……。覚えてろよ!お前ら。ビッグになってやる!


空港に行くタクシーの中で渡会さんが僕が食べたかったバーガーをナンバーワンジャパン内で買っていたらしく、何気なく渡してくれた。

 僕は泣きながら齧りついた。


渡会さんは僕の背中を撫でながらジュースを差し出して、アズール・クラーロも未だに芸人にイジられるから、あまり気にしないようにしないと自分がツラいぞ、とアドバイスを下さった!


「イジられて美味しいな、俺!って思えるようになれ!」


それはすぐにはムリっぽい。

 何とか泣き止むとヒンヤリくんを目の上にペタンと貼られて次の仕事場へ。

 大人気パニックアトラクションゲーム系テレビ番組「脱走中!」の脱走するメンバーに選ばれたらしい。

Mチューバー枠で。

 ステージは閉店後のショッピングモール内。僕はすっかり人間不信になり誰とも話さずにゲーム開始を迎えた。檻から出される時、ベテランお笑い芸人の手川さんが手のひらにグッとメモ用紙を押しつけて来た。

 びっくりしてると似合わないウインクして、手川さんは檻から遠ざかる。僕も誰もいない方に逃げ回る。追跡者は全部で20人、近くに来ると探知機が鳴る。

 逃げる。

繰り返して3時間後、ボーナスイベントが発生したことを館内放送で告げられた。


【捕まった仲間を助けて賞金をゲットしよう】


持たされた携帯に手川から連絡が入る。


『メモ読んだか?!』


「忘れてました」


『ああ!もう!!渡り廊下に捕まったヤツらがいるから、そこを目指せ!』


「ありがとう手川さん」


探知機が反応している。僕はとりあえずその渡り廊下がある階に階段を使って駆け上がった。

渡り廊下は呆気なく見つかって手川さんが追跡者の気を引いてる内に檻から捕まった仲間を助けたまでは良かったが、ペイント弾で撃たれて、ゲームオーバー。

 明け方の4:00に撮影終了。


手川さんが走って来た。


「たっくん、真琴くんが連絡くれって、お料理配信で泣いてたぞ!連絡してやれよ!」


サァーッと血の気が引く。

 まだ、寝てるから2時間後に!

お料理配信を確認すると、ぶすくれた真琴が梶さんに抱っこしてもらいながら、子供用携帯を印籠の如く突き出して泣く。


【たっくん、どこいっちゃったの!おでんわできないよ。ぼく、いいこにするからおでんわして!うわあああああん】


梶さんが真琴をあやしながら、画面に向けて一言言う。


【たっくん、何とかしてくれ】


4日前の配信だった。

 横から見てた渡会さんが僕の携帯をバッグから取り出し僕に握らせた。


「今すぐ電話しろ!」


電話すると、すぐに真琴が電話に出て怒り出す。


『たっくん!まいにちでんわするっていったじゃない!なにしてたの!ぼくおこってるんだからね!』


「ごめんね、真琴。2日ほど外国に行ってて電話出来なかった。許してほしい。お土産おうちに送ったけど届いてる?」


『リンゴくんとジェルミさんときのうたべた!おいしかったよ、ありがとう!たっくん、ぼくのことあいしてる!?』


「愛してるよ。誰よりも。真琴、寂しくさせてごめん。今度もし、海外出張するときはお電話してから行くね?お土産に美味しいのお家に送るから楽しみにしてて」


『たっくん、だいすき!もうちょっとねるね』


「起こしてごめんね、おやすみ」


梶さんに電話してMチューブのお料理配信に生存報告をして欲しいとお願いしたら、甘くないお土産を買うように言われた。

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